08/14(火) 黒田・小森・西嶋トリオ@代々木ナル

08/14(火) 黒田・小森・西嶋トリオ@代々木ナル に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. Haboob II - 砂嵐 - (黒田京子作曲、小森 ss->cl->ss、約13分)
02. Pastoral (小森慶子作曲、小森 cl、約11分)
03. Apanhei-te, Cavaquinho! - つかまえたぞ、カヴァキーニョ! - ( By Ernesto Nazareth、小森 cl、約3分)
04. Andre de Sapato Novo - 新品の靴のアンドレ - ( By Andre Victor Correia、小森 cl、約3分)
05. A Serpente - 蛇 - (西嶋徹作曲、小森 cl、約9分)
06. ホルトノキ (黒田京子作曲、小森 ss、約15分)

約61分

2nd Set:
07. "Calendario Do Som - 音のカレンダー -" 8/14 〜 9/21 〜 11/20 ( By Hermeto Pascoal、小森 cl、約7分)
08. L'Affrontement des Pretendants - 王位継承権者たちの対決 - ( By Louis Sclavis、小森 cl、約8分)
09. In Harmonicity - 非調和性 - (黒田京子作曲、小森 ss、約8分)
10. 白いバラ (黒田京子作曲、小森 cl、約13分)
11. Hope for Peace (西嶋徹作曲、小森 ss、約10分)

約58分

黒田・小森・西嶋トリオ Member:
黒田京子(pf)
小森慶子(ss,cl)
西嶋徹(cb)


長らく夢見た音楽の形が実現した夜、そんな心地さえする黒田京子さん、小森慶子さん、西嶋徹さんのトリオ編成ライヴ、御三方のそれぞれのオリジナルとトンでもなくヴァラエティに富んだ他の人の曲を、丁寧に、繊細に、そして力強く演奏して下さった今夜、奇跡は起きるのだと、夢は適うのだと実感させていただきました。素晴らしい曲と演奏で、そんな想いを抱かせて下さった御三方、黒田京子さん、小森慶子さん、西嶋徹さんに限りない感謝を捧げます、ありがとうございました。会場にいらして下さったお客さんも皆さん本当に音楽好きの素晴らしい方々ばかり、開演前にご挨拶しているとそれだけでも幸せな気分に浸れてしまう、空間を共有し、共に素晴らしい音楽を楽しむことが出来て幸せでした。会場となった代々木ナルも、美紗子ママが相変わらずお元気そうで何より、いつものように御三方の演奏を見守る視線が厳しくも温かい。そして、この素敵なトリオの旅立ちの日は、偶然にも小森慶子さんの誕生日に当たりました。奇跡は起こり、運命は巡る、このトリオは、もっともっと、更に素晴らしい音楽をこの先に生み出して下さることと思います。

トリオの初めの一歩は黒田さんの「Haboob II - 砂嵐 -」、西嶋さんの力強いベースラインに載る小森さんのソプラノ、クラリネット、激しく巨大な黒田さんのフレーズが御二人のサウンドを翻弄するように吹き抜けていく、ここから既に圧巻のトリオ演奏、初めの一歩にしては力強く激し過ぎると思いつつも、それだけこの3者が目指す頂は高く険しいのだと納得させる力強さであり、激しさでした。

2曲目は、個人的には既にクライマックス、小森さんの「Pastoral」、牧歌的という意味のこの小森さんのワルツ、3年前のここ代々木ナルで、黒田・小森デュオのこの「Pastoral」の演奏に出会ったあの時のことをしみじみと思い出す。本日は西嶋さんのコントラバスによる極上の低音を加えつつのこれまた素晴らしい演奏、小森さんの柔らかいテーマ演奏が、西嶋さんの豊かなボーイングの上に載って奏でられ、黒田さんがリリカルなこぼれるようなフレーズを差し込む、自然にじわっと涙が滲んでくる素晴らしき演奏でした。

3,4曲目は、最近の小森さんのブラジル嗜好を反映してショーロの名曲2曲、言わずと知れたナザレの名曲「Apanhei-te, Cavaquinho!」とコレイラの「Andre de Sapato Novo」、普段はどうしてもフルートで聴くことが多いこれらの曲も小森さんのクラリネットで聴くとこれまた堪りません。その上、西嶋さんのコントラバスと黒田さんのピアノがそれを支えるのですからこれまた極上そのもののショーロ演奏、そして演奏後に黒田さんが驚きのお知らせを!何と、現在修行旅行から帰国中のコスモポリタンな歌姫、松田美緒さんから共演の打診が来ているそうです、これは楽しみですね。黒田さんも「皆さん聴きにきて下さいね、お二人もよければ一緒にやりましょう」と小森さん、西嶋さんにもお誘いを、なんて楽しみな展開でしょう!!詳細は、ミュージシャンそれぞれの WEB ページにての掲載を待ちましょう!!

5曲目は西嶋さんの「A Serpente」、いや確かに小森さんのクラリネットでこの素晴らしい曲を聴いてみたいなとは思っていましたが、いきなり初顔合わせできますか!な嬉しい驚き!と同時に、この西嶋さんの名曲はブラジル音楽を意識して書かれ、そして何と言ってもかなりの難曲、最近クラリネット演奏機会が少なくなってきている印象の小森さん、大丈夫か?の心配も全くの杞憂、素晴らしい演奏に仕上がっていました!でも、もっともっとこのトリオでの演奏で磨いて、更なる境地に連れて行って欲しいとも実感させていただきました。我侭過ぎますかね?

1st 最後を飾るのは、黒田さんの「ホルトノキ」、これまた待ってました!!そして結果、このトリオでの演奏は「ホルトノキ」演奏史上最高の描き方であったように思いました。全てが豊かで、繊細で、丁寧で、圧倒的に美しく、音による壮大な風景として描かれていた気がします、素晴らしい限り。


2nd 冒頭は、本日小森さんの誕生日ということもあって、粋な演出とも言える選曲、エルメート・パスコアルが '96年の1月から一日一曲を書き綴った「Calendario Do Som - 音のカレンダー -」から、本日小森さんの誕生日 8/14、西嶋さんの誕生日 9/21、黒田さんの誕生日 11/20 のそれぞれをメドレーで演奏、なんて素晴らしいのでしょう!!演奏後には、黒田さんから誕生ケーキ、そのロウソクをクラリネットで吹き消す小森さん、私もこのタイミングで準備した花束をお送りさせていただきました。

2曲目は Louis Sclavis の「L'Affrontement des Pretendants」、このトリオの演奏はやはり絶品!またもや至極!堪能させていただきました。

3曲目は黒田さんの「In Harmonicity」、冒頭の調和そのもののテーマ演奏から、間奏部にて3者3様、それぞれにしっかりと芯を有した形で、かつ阿らない、非調和性を保った形で、これまた見事に演奏されてました。

4曲目は、翌日15日の終戦記念に向けるかのように、ナチスドイツの前に殺されていった白いバラの人達へ向けて黒田さんが書いた「白いバラ」、これまたこのトリオならではの美しい、叙情的な描き方、素晴らしかったです。

5曲目最後はこれまた平和へ向けての想いを感じさせつつも実は禁煙の曲と言う西嶋さんの「Hope for Peace」、偶然にもこのトリオの3人が3人とも、元喫煙者、現在禁煙継続中という巡り合わせ、本日のライヴを総括するように見事に演奏していらっしゃいました。


心の底より思いっきり堪能させていただきました。でも同時に、直ぐにでもこのトリオの”次”が聴きたくなりました。是非とも”次”、よろしくお願いしたいところです。



n.p. 小森さんからいただいたモチーフ集 CD-R