03/07(水) Nozzles vs 橋本晋哉、黒田・喜多・西嶋トリオ

03/07(水) Nozzles vs 橋本晋哉@渋谷公園通りクラシックス に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. Auguries of innocence (木ノ脇道元作曲、Quintet、約9分)
02. Canzon ( By Salomon Rossi、Quartet、約3分)
03. Caillarde "Zambalina" ( By Salomon Rossi、Quintet、約2分)
04. Motet "FACTUS EST REPENTE" ( By Tylman Susato、Quintet、約4分)
05. 即興1 (木ノ脇 & 橋本 duo、約2分)
06. Sacrae Cantion "O vos omnes" ( By Carlo Gesualdo、Quintet、約4分)
07. "Grimoire"「呪文集」 (橋本晋哉作曲、Quintet、約4分)

約37分

2nd Set:
08. 即興2 〜 ( 多久 & 橋本 duo、約4分)
09. 〜 Firecracker ( Martin Denny 作曲・細野晴臣編曲、多久 & 橋本 duo、約6分)
10. 渋谷の螺子[ピッコロ4本のためのミニマルミュージック] (木ノ脇道元作曲、pfl x 4 Quartet、約5分)
11. Fnugg ( By Oystein BAADSVIK、橋本 Solo、約3分)
12. 即興3 (斎藤 Solo、約6分)
13. Duskbringer (木ノ脇道元作曲、Quintet、約9分)

Encore:
14. Grasshopper (坂本龍一作曲、木ノ脇 pfl, 多久 afl, 古田戸 fl & 橋本 srp Quartet、約3分)

約46分

Nozzles Member:
木ノ脇道元(fl,pfl,afl.bfl,etc.)
斎藤和志(fl,pfl,afl,effects.)
多久潤一朗(fl,pfl,afl)
古田土明歌(fl,vo)

Guest:
橋本晋哉(tuba,srp)


Nozzles、木ノ脇道元さん率いるフルート・カルテット、毎回ゲストを呼んで、年に3、4回程ライヴを行っていらっしゃるようで、リーダーの木ノ脇さん、Nozzles のメンバーである斎藤さんが以前より気になっており、一度、オーケストラ以外での演奏をチャックしたいと思っておりましたし、今回のゲスト、Tuba 奏者、橋本晋哉さんも、また別で気になる存在であった為、@クラシックスでの本公演は、どうしても外せませんでした。

ある特定な方向性で権威筋の保証及び評価がついている音楽を取り上げて”現代音楽”とするのは、勿論理解していますし、そのように一般的に捉えられているのも承知済みな上で、個人的には、今現在オリジナル曲を書きつつ、そのオリジナル曲の表現を中心とした音楽活動を行っている音楽一般を”現代音楽”と勝手に捉えていまして、そのオリジナル曲がポピュラーフォームであれ、4ビートジャズフォームであれ、アラヴ古典であれ、それはそれぞれのフォームに則って、インスパイアされて、下地として生み出された”現代音楽”であって、等しく捉えられるべきだと考えています。言い換えると、ある音楽に対して、その音楽は”現代音楽”だから、”ジャズ”だから、”ポップス”だから、”メタル”だから、素晴らしい/つまらないではなくて、その音楽そのものが素晴らしい/つまらないであるべきだと思うのです。

本日の橋本さんをゲストに加えた Nozzles の公演は、その現場にて生み出された”音楽”そのものが途轍もなく素晴らしかったのです。このような形で音楽表現に触れると、技術は表現を拡張、進化、深化させる重要な要素だと痛感します、勿論全て魂がキチンと込められた上でのお話しではありますが。

ライヴの冒頭は、木ノ脇さんが厳かに登場し、ロープの先に木片をつけたようなものを回転させて風切り音を起しての曲への導入、後を追うようにしてステージに出てらした橋本さんがチューバを用い、循環奏法で豊かで粒立ちのよい小波のような倍音を風切り音に送り込んで何ともいえない自然そのものを感じさせるアンビエントな音響空間を作り出します。頃合を見て、楽屋から斎藤さんと多久さんがフルートを使用しての撥音を巧みに織り込みつつ歩みを進めステージに現れます。そして、古田土さんが美しきソプラノヴォイスで William Blake の詞「Auguries of innocence [童心占微]」を歌います。私的には、探していたものが今、この瞬間にあるこを知った思いで、その音楽そのものの美しさに心震わしました、素晴らしい限り。

その後、折角橋本さんを招いたのでということで、橋本さんに Serpant を使用していただいて、ルネッサンス期のイタリアやベルギーの作曲家の曲を演奏し、最後に橋本さんのオリジナル曲"Grimoire"「呪文集」という、フラメンコテーストが入りつつも、その起源であるアラヴ音楽のフレーバーも感じさせて下さる素晴らしい曲にて第一部を終えます。

第二部は、即興から入り、YMO で御馴染みな「Firecracker」に繋ぎ、ピッコロ4重奏による超音波並の倍音が凄まじいミニマル「渋谷の螺子」、圧巻の橋本さんチューバソロによる「Fnugg」、そして斎藤和志さんのソロ!このソロはフルートにて「未知との遭遇」のフレーズを吹きながら楽屋から現れ、マイクにエフェクターサンプラーを繋ぎ、フルートでの撥音やタンギングを巧みに多重でループさせながら変奏させてゆくソロで、ここでも圧巻の斎藤さんの超絶技巧が、自由な発想の元に見事に演奏に織り込まれ、その未曾有の表現を更に雄大に、更に深みを持たせて空間を満たしておりました。頃合を見て、残る4人が加わって木ノ脇さんのオリジナル曲「Duskbringer」にて本編を閉じる。

勿論、アンコールを期待する拍手が起こるが、その上で木ノ脇さんが「アンコールを演奏しても良いですか?」と優しく問いかける、観客の拍手は「勿論!!」と語らんばかりに強くなる!!アンコールは坂本龍一さんの「Grasshopper」、素晴らしい演奏でした。この素晴らしい演奏が奏でられ、その場に居合わせることが出来たことに深い感謝を捧げます。


次回は「単独!NOZZLES」と題して、結成以来初めて4人のみでのライヴを、8/5(日)@渋谷公園通りクラシックスにて、そして、「大増殖!NOZZLES」と題して、東京藝術大学フルート科有志8人を加えた12人編成での NOZZLES スペシャルライヴ!お見逃し無く!!



n.p. 木ノ脇道元「blower」



その後、大泉学園に移動、



03/07(水) 黒田・喜多・西嶋トリオ@大泉学園 in F に行ってきました。セットは以下、

2nd Set:
01. 白い薔薇 〜 (黒田京子作曲)
02. 〜 吹雪 (喜多直毅作曲)
03. 子供のための曲集から「清い気持ち」 ( By Peter Ilyich Tchaikovsky、約8分)
04. A Serpente (西嶋徹作曲、約14分)
05. ホルトノキ (黒田京子作曲、約13分)

Encore:
06. 枯葉 〜 In A Sentimental Mood 〜 Stardust (約9分)

約62+α分

Member:
黒田京子(pf,acc)
喜多直毅(vn)
西嶋徹(cb)


第二部の途中からになっちゃいましたが、どうしてもこのトリオの初演は聴いておきたかったですので、終演前に in F に辿り着けたのは何よりでした。

21:38に漸くお店に到着し、ドアを開けて入ると、喜多さんが「吹雪」のメインリフを弾いている真っ最中、聴く前から勿論予想はしていましたが、本日の初顔合わせ、黒田京子さんと西嶋徹さんの音の溶け合い方、音の相性の良さには思わずニンマリ、そうなのですよ、この音を夢見ていたのですよ!行き成りの幸せ気分、夢見心地。その御二人のサウンドの上を縫うように先鋭的に切り込む喜多さんのフレージングもまた素晴らしく、この時点でもうスッカリ満足してしまう自分がそこにいました、「吹雪」の演奏自体も13分ほどタップリ堪能できましたしね。

続いては、黒田さん選曲のチャイコフスキーの「清い気持ち」、以前この曲を一緒に演奏した黒田京子トリオのメンバーの御二人、本日の西嶋さん&喜多さん、そして御自身を思い浮かべつつ「清い気持ち」を思い入れタップリに演奏して下さいました。奏者三人の”清い気持ち”がそのまま現されたような、優しく、郷愁漂う演奏に心から感服。

そして、西嶋さんの超難曲「A Serpente」、これを初めて持っていらした時の林さんの「西嶋さんがまた難しい曲を書いてらしたのでが、うん、ホントいい曲ですね」との言葉を思い出します。恐らく初めての演奏となる喜多さん、黒田さん、大変です。かなり、苦戦しながらも、見事に御二人の色を織り込みつつ見事に完奏。

本編最後は、黒田さんの大曲にして傑作曲「ホルトノキ」を持ってきて、これまた素晴らしい演奏にて本編幕。当然のアンコール要請も「アンコール準備してないよぉ」と黒田さん、西嶋さんに「何やりたい?」と聞いた上で、「枯葉」と決定、演奏を始める。見事な演奏も途中で黒田さんが「枯葉は飽きたから別のものを」と「In A Sentimental Mood」に移行、喜多さんは「これ何の曲分からないよ」と冗談を飛ばしつつ、御二人のデュオ演奏を促がす。「あと、何かやりたいのない?」と再び西嶋さんに振る黒田さん、西嶋さんが「Stardust」に移行させ、喜多さんが加わって美しく大団円、素晴らしいトリオの見事な演奏でした。


このトリオの再演を切に望みます!どうやら、終演後空かさず5月に決定した模様です、このトリオは外しちゃ勿体無いですよ、お見逃し無く!!



n.p. 喜多直毅「VIOHAZARD」