01/11(木) 梅津・黒田デュオ@大泉学園 in F

01/11(木) 梅津・黒田デュオ@大泉学園 in F に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. 柏の木、大王の歌 (宮沢賢治作詞/黒田京子作曲、梅津 bcl、黒田 pf&vo、約14分)
02. Belfast (梅津和時作曲、梅津 cl、黒田 pf、約12分)
03. ちょっとBEBOP (黒田京子作曲、梅津 bcl、黒田 pf、約10分)
04. ガニツィアナ・ダンス (クレズマー曲、梅津 cl、黒田 pf、約12分)

約51分

2nd Set:
05. Moon Cat (梅津和時作曲、梅津 bcl、黒田 pf、約10分)
06. おさんぽ - Go for a walk - (黒田京子作曲、梅津 bcl->cl->bcl、黒田 pf->acc->pf、約11分)
07. 白い薔薇 (黒田京子作曲、梅津 bcl、黒田pf&vo、約11分)
08. クレズマー曲 (梅津 cl->pf-cl、黒田 pf、約7分)

Encore:
09. Standard (梅津 bcl、黒田 pf、約9分)

約52分

梅津・黒田デュオ:
梅津和時(cl,bcl,vo)
黒田京子(pf,acc,vo)


ほぼ20年の時を経て遂に実現した夢のデュオ初のライヴ!言わずと知れたマルチリードの巨匠、梅津和時さんと場を大切に音を紡ぐピアノの巨匠、黒田京子さん、御二人は様々な形でご一緒する機会が多く、まさに東京のミュージックシーンを長くリードして来たこの御二人、しかし、今までは御二人だけのデュオと言う形で音楽を織り成すことは無く、その不思議さにあれこれ考えを巡らすことも少なくなかったのですが、漸く実現しました。というよりは、恐らくお互いを音楽的に知り尽くした上で、時と機が満ちるのを待って今回実現したまさに運命のデュオ!その上、梅津さんは元々のご自身のベースである楽器、クラリネットバスクラリネットのみを用いる形、最近黒田さんとお話させていただく際にも、ヨーロッパや南米に比べて、温かみのある素晴らしい音色と表現可能性を有するクラリネットという楽器の地位が、日本においては低く、多くの聴き手のイメージとして行き成りディキシーランド・ジャズに飛んでしまうような現在の状況を何とか改善出来ないかというお話しをさせて頂いていたその折も折、この機会はまさに天啓でありかつ天恵です。

先ずは、黒田さんの曲「柏の木、大王の歌」からスタート、梅津さんはバスクラを用い、瞑想をするように目を瞑りつつ循環奏法にて楽曲の土台となる通奏低音のような低音空間を作り出し、そこに黒田さんのリリカルでダイナミズム溢れるメロディを呼び込む、黒田さんは宮沢賢治の詩を乗せつつ朴訥として力強い荘重なる音像に見事に仕立て上げてゆく、初デュオのライヴの冒頭よりこの確信を持ったかくあるべき音像を織り成すこの御二人、まさに流石の巨匠デュオ!この生み出された音楽の深い重みにただただ頭を垂れて敬服するのみです。

続いて、梅津さんの名曲中の名曲「Belfast」、黒田さんより「今日は基本的に梅津さんのオリジナル曲と私のオリジナル曲中心でございます。」に続き、梅津さんの柔らかく優しいヴォイシングを持った零れるようなクラリネットの美しいフレーズと粒立ちの良い煌びやかな黒田さんのピアノ伴奏によって演奏の冒頭を飾り、一通りのテーマ演奏後、ガラッと雰囲気を変えた厳しい厳冬の冬の吹雪を思わせる激しくアブストラクトな間奏を経て、ゆっくりと差してきた日差しを思わせる契機から徐々に温かみを持った展開に持ってゆき、最後に再び美しいテーマ演奏で纏め上げる。とてもデュオ演奏とは思えない微細な情景を細やかなタッチで描ききった最小単位によるオーケストレーションに感服の名演奏。


また時間見つけて更新します。



n.p. 梅津和時「Show The Frog」