06/17(土) 黒田京子トリオ@大泉学園 in F

06/17(土) 黒田京子トリオ@大泉学園 in F に行って来ました。先ずはセットから、

1st Set:
01. 即興 (約16分)
02. Anohi (翠川敬基作曲、太田 vn&vo、約18分)
03. おさんぽ - Go For a Walk - (黒田京子作曲、約9分)

約47分

2nd Set:
04. Valencia (富樫雅彦作曲、約25分)
05. 7th Day (翠川敬基作曲、黒田 acc、約8分)
06. 白い薔薇 (黒田京子作曲、約12分)
07. ちょっと BEBOP (黒田京子作曲、約5分)

約55分

黒田京子トリオ:
翠川敬基(vc)
太田惠資(vn,vo)
黒田京子(pf,acc,shaker)


何も特別なものは要らない、日常の中に黒田京子トリオのライヴさえあれば。日本即興音楽界が誇る達人3人が結集し、益々その表現領域を拡大し続ける至高の即興チェンバー・トリオ、黒田京子トリオのライヴが大泉学園 in F で行われました。今月2回目のライヴなのですが、前回の@横浜ドルフィーが Bojan Zulfikarpasic の来日公演とぶつかってしまい、聴くことが出来なかったこともあってどうしても外せなかったこのライヴ、勿論足を運んできました。このトリオのライヴには、軽く20回以上足を運んでいますが、いつも新鮮で心地良く、じわじわっと心の奥底に広がっていくような豊かな音のたゆたいを提供して下さるので、ついついどうしても足が向いてしまいます。以前は当たり前のように受け止めていた PA 経由の音も、一度でもこの至高のトリオでの豊饒な生音での演奏に触れてしまうと、無理に作られ、捻じ曲げられた、酷く無機質化させられた音にどうしても聴こえてしまうのです。勿論、単に生音であればよいという単純な話ではなく、御三方それぞれが持っていらっしゃる研ぎ澄まされた音と音との会話には、出来るだけ間に介在する余計なものを取り除くことが、その会話そのものを、紡がれた音そのものを出来るだけ純度の高い形で楽しむことが重要なのだと実感しています。

今日も、一人会場にいらっしゃるバンマス黒田京子さん、静かに、心穏やかにトリオの音を奏でるその時をジッと集中力を高めつつ、気を練りながら待っていらっしゃいます。いち早く”入り”を済ませ、いつものように控室とも楽屋とも言われる in F 近くの提灯横丁奥の居酒屋「嬬恋の里」でエネルギーを補給し、酔うほどに音が研ぎ澄まされていく酔拳的奏法の準備に怠り無い翠川敬基さん、もう御馴染みの、開演予定時間が過ぎても現れない巌流島における武蔵的な姿勢を貫く、孤高の弦聖太田惠資さん、まさかこれ程と思うほどに、性格も、音楽に対する想いも、あり方も、三者三様、3次元空間にて全く180度づつ異なる音楽性を有しているかのようなこの御三方。しかし、一旦音が奏でられれば自由自在にお互いを立てあいつつ織り成される極みにして唯一無二の音像。またまた本日も心の底よりたっぷりと堪能させていただきました。

本日のライヴで特筆すべきことは、「Anohi」における太田さんの自虐的回顧録ヴォイスによる「あの(失われた)日(髪?)」、このところより一層深みを増した「Valencia」25分拡大版演奏、翠川さんの美しき小曲「7th Day」における黒田さんのリリカルなアコーディオン演奏を挟んでの黒田さんのオリジナル2曲「白い薔薇」「ちょっと BEBOP」による大団円、と言ったところでしょうか。

第三幕も更に充実の演奏を奏でる黒田京子トリオ!次回は、いよいよ聖地、大泉学園 in F の開店「11周年」を記念するメモリアルデイを飾ります!興味と機会のある方は是非とも足を運んでみて下さいませ。


7/17(月)『黒田京子トリオ』黒田京子(p)太田惠資(vn)翠川敬基(vc)@大泉学園 in F ”開店「11周年」記念日”


n.p. FMT「Tango」