03/05(日) 喜多・黒田・佐藤・吉野@下北沢 Lady Jane

03/05(日) 喜多・黒田・佐藤・吉野@下北沢 Lady Jane に行ってきました。セットは以下、

1st Set:
01. 機械のカラダ (喜多直毅作曲、約10分)
02. 吹雪 (喜多直毅作曲、約9分)
03. 板橋区 (喜多直毅作曲、約10分)
04. ナオキチ・カルシラマ(喜多直毅作曲、喜多・佐藤・吉野 Trio、約7分)
05. タイトル無し (喜多直毅作曲、新曲、約7分)

約48分

2nd Set:
06. Once Upon A Summertime(「リラのワルツ」 By Michel Legrand、喜多・黒田 Duo、約7分)
07. Women's Dance ( By Milcho Liviev、約10分)
08. 絵の中の戦争 (喜多直毅作曲、約9分)
09. Utviklingssang ( By Carla Bley、約12分)
10. Antikythera (佐藤芳明作曲、約5分)

Encore:
11. タイトル無し (喜多直毅作曲、新曲、もう一度、約6分)

約61分

Member:
喜多直毅(vn)
黒田京子(pf)
佐藤芳明(acc)
吉野弘志(b)


発売が待たれる喜多さんの 3rd アルバムの主要メンバーのトリオに、吉野さんを加えたこのカルテット、やはり外す訳には行きません。この日午後にあった喜多・林デュオからそのままハシゴの形で足を運びました。ライブは、珠玉の楽曲が水を得た魚のように活き活きと空間を舞い踊る様をまざまざと見せ付けられた印象で、この素晴らしい豊穣で、鮮烈で、美しい音楽にただただ身を浸し、心より、その音楽を堪能させていただきました。まず1曲目は「機械のカラダ」から、ライヴ冒頭から行き成りこの曲が来るとは驚きでした。初演こそ、当時 Play Post Tango & More と称していた SALLE GAVEAU でしたが、その後磨き、完成させたのは 3rd アルバムの主要メンバーである喜多・黒田・佐藤トリオだったように記憶しております、2004年に初めてこのトリオ演奏に触れた時はまさに衝撃でした。こんなにも喜多さんの生み出す斬新で高度、かつ叙情的な音楽を演奏するのに相応しい組み合わせが、喜多さんから生み出される楽曲を待ち構えるように始動した事には、運命すら感じさせてくれます。そこに吉野さんが加わり、更にサウンドとアンサンブルに深みと厚みを加えて下さるのですから堪りません。そして続くは「吹雪」、これまた素晴らしい演奏でして、この曲の終演後には喜多さんが不思議なストーリー性を語っていらっしゃいました。「機械化された現代文明にアンチテーゼを唱えたところで、その機械の人類に対する裏切りによって戦争がもたらされ、そして遂には死の灰が吹雪のように舞い散る板橋区に、響く”板橋区”」という導入を受けて「板橋区」へ、余りに哀しく美し過ぎる展開、演奏に強く心を打たれました。考えてみると、以前より喜多さんのお書きになる曲には常にストーリー性が深く息づいているような気がしていました。既に発売前から大傑作の疑いの無い 3rd Solo、発売日までの期間を利用して、そのままコンセプトアルバムとして、映画やアニメーションへの展開を図った方が良いような思いさえ抱いてしまうような素晴らしい演奏でした。続いては、黒田さんが外れたので不思議に思っていると、何と久々の感がある「ナオキチ・カルシラマ」、トルコ風 9/8 拍子を用いた喜多さんの傑作曲、やはりキチっとした西洋音階を前提としたピアノは、確かにこの曲の雰囲気を壊してしまうことからのトリオ演奏、久々でしたが Play Post Tango & More や喜多さんのアラブ系ユニットで演奏しているより BPM 速く感じました。流石のこのトリオならではの演奏だった気がします。そして第一部最後には遂に出ました、喜多さんの待望の新曲です!まだ、書きたてのほやほやらしく、曲のタイトルさえついていません。奏でられた曲は、かなり力強い低弦の響きをベースにメロディがレイヤーをなして進行して行く形で、A、B共に違ったメロとベースを持ちながら原初的律動とも言えそうな朴訥とした力強さと激しさ、狂おしい程の叙情性を内包しているように感じ取られました。特に何処のと言う特徴は有りませんでしたが、民族音楽的な雰囲気が強い曲であるように感じられました。磨き甲斐のあるダイヤモンドの原石的な素晴らしい可能性を持った新曲であることを強く実感しました。


また、時間見つけて更新します。


n.p. 喜多直毅「Hypertango II」