09/03(土) VIGILANTE・Jeremy@中野 Sanctuary

09/03(土) VIGILANTE・Jeremy@中野 Sanctuary に行ってきました。セットは以下、

VIGILANTE:
1. Prisoner Of Fate (2nd)
2. Holy Prose (1st)
3. Tease Of Influence (2nd)
4. Cosmic Intuition (3rd)
5. Chains And Emotion (3rd)
6. In Search Of The Secret (3rd)
7. Chaos-Pilgrimage (1st)
8. Relapse Of Your Privacy (1st)

約45分

VIGILANTE Member:
丹羽英彰(vo)
大本浩史(g)
堀江一彰(g)
海野 真(b)
山市修也(dr)


Jeremy:
1. Black And White (4th)
2. Heaven Or Hell (4th)
3. Destory (4th)
4. Gross Injustice (5th)
5. Babylon (3rd)
6. The One (5th)
7. Evolution Theory (3rd)

約50分

Jeremy Member:
Cho Pil-Sung (g)
Mo Jung-Gil (vo)
Byeon Sung Woo (b)
Pak Sung Yol (dr)
Yung Mi-Sung (key)



遂に、韓国 ProgMetal の旗手とも言える Jeremy 初来日公演が実現しました!今年の4月に VIGILANTE との韓国にての共演時にも出ていた話らしく、昨今の一時的な韓流ブームから今は冷めてきて衰退といったようなメディアを中心としたバブル的な盛り上がりとは違い、日韓の文化レベル草の根外交は着実に進行しつつあるようです。Jeremy はいつの間にやら(変わったとは聞いてましたが)、Key と Dr がメンバーチェンジしたようで、Dr は、まだまだ懐の深さは感じられないもののテクニックは前任者である Woo Seung-Bo に比べてかなり上がっているようでした。Key は個人的には前任者である Cho Mi-Ran の方がセンス、テクニック共に上であるように感じましたね、近年の活動では Cho Pil-Sung に迫るコントリビューションをバンドにもたらしていたように感じていましたのでちょっと残念ですね。ただ、トリに出てきた木村さん(@TiananogueSeilane に加入されたようです)のプレイを熱心に見てらしたようですので、今後に期待と言った感じでしょうか。しかし、会場にはいつもは見られないような派手な格好をした熟女集団が多くいらっしゃっていて、どうやら Jeremy 目当てのようでした(終演後に Mo Jung-Gil 捉まえて記念撮影していたり)が、どうやってこのおばさん達が情報入手しているのか不思議でしょうがなかったですね、音楽ファンもあのアグレッシヴさだけは見習うべきかも知れません、おばさんパワーはやはり恐ろしいものがあります。あとは、当然、Jeremy を追いかけてきた韓国ファンがちらほらと、流石韓国では既に確固たる地位を築いている Jeremy と言ったところでしょうか。


まずは、VIGILANTE がオープニングの Mastermind に続く2番手で登場、「Prisoner Of Fate」で行き成り幕を開け初っ端から全力疾走と言った感じ、MC は必要最小限、曲間も殆ど開けず(チューニングタイムは「Holy Prose」と「Tease Of Influence」の間1回)短い時間に出来るだけ曲を演奏したかった意図が明確に伺えます。メドレーのように「Holy Prose」に繋げる辺りは、最近のオープニングで固定化しつつある形ですね。ここで、チューニングタイム、海野さんの MC が入ります、Jeremy は前日の入りの後、観光等に行かずに真っ直ぐに埼玉の VIGILANTE スタジオに直行し、VIGI メンバーとの旧交を温めたとのこと、日韓を代表する良いバンドの交流が伺えます。続いても、ガツンと「Tease Of Influence」を持ってきます、そして曲の終わりにスッと丹羽さんが舞台奥に下がり、3rd のインスト曲「Cosmic Intuition」からの流れを中盤のコアに据え、丹羽さんの MC を挟み、終盤に繋がるのですが、丹羽さんから「最近、昔からとてもメタル関係で世話になっていたおっちゃんが亡くなりまして、入りのときのロングスリーブはそのおっちゃんから貰ったものだったんだけど、今日はきっとそのおっちゃんが応援してくれてると思うんで、皆も俺達の旅について来てくれ」と「Chaos-Pilgrimage」へ、それを受けと思われる大本さんの間奏部インプロソロも情感たっぷりに、丹羽さんがお世話になったと言うおっちゃんへの鎮魂の想いを込められたかのようで、そのブルージーな響きが、空間に余韻を漂わせ、一瞬の静寂の後ライブ最後を締める「Relapse Of Your Privacy」が怒涛の暴風的に全て流し去ります。益々充実の活動を続ける VIGILANTE ですが、4th を睨んでか、随所にインタープレイ(特に海野さんと shu-ya さんとの間で)が見られ、非常に興味深く聴いていたのですが、同時にちょっと不安も頭を過りまして、その場の雰囲気を曲に取り込みインプロバイズして、その場でだけ存在しうる音楽表現へ昇華することが、余りと言うか全く存在しなかった HM/HR シーン(実際はその初期、ムーブメントを生み出してきたモンスターバンド達は当たり前のようにライブでしていて、それこそが”ライブ”だと認識されていた)においては、その硬直化した姿勢から、かなりの抵抗を受けるのでは無いかということで、そういう意味でもパイオニアである VIGILANTE の苦労は今後も続くと思いますが、彼らの信じる音のために、彼らの信じる音に大きな期待を寄せる先進的な趣向を持ったファンの為に、そして、その VIGI が切り開く道に続く将来のバンドやそのファンの為に、是非とも頑張っていただきたいと思います。微力ながら一ファンとして、彼らの歩みを追って、必要あれば支えたいとの思いを新たにしました。


そして、続いて3番手として Jeremy が登場します。余り、彼らの作品の流通が充実していない日本を考慮して、序盤に傑作 4th の曲を持ってきて、正に彼らのサウンドに慣れてもらって、後半に最新アルバムである 5th を持ってきて、それを挟み込むように唯一日本で発売された 3rd 収録曲を絡めるといった感じでしたね。Carmine Appice's GUITAR ZEUS Korea にも参加している、G.I. 出身者、Cho Pil-Sung の卓抜したプレイを随所に織り込みながら、Mo Jung-Gil も独特のハイトーンシャウトでバンドサウンドを引っ張ります。ただ、やはり Key の弱さも手伝って(と言うか実際は昔からですが)、Cho Pil-Sung の弾き過ぎがどうしても目立ってしまいます。他のメンバーがもっと頑張ってコントリビューションして行き、よりトータルな完成度を持つバンドになっていって欲しいところです。あと、昔に比べればかなり押し付けがましく無くなってはいますが、やはりそのクリスチャン振り(Jeremy はメンバー全員が敬虔なクリスチャン)には、閉口してしまいます。ただ、その辺を気にはしているようで、Cho Pil-Sung が MC にても「我々はクリスチャンで、その意味で皆に対するメッセンジャーである訳だけど、そんなこととは別に本当に心から皆に楽しんで欲しいんだ」と英語で言っていました(Cho Pil-Sung は US への留学経験もあって英語が話せます)ので、今後もっとストレート過ぎるサウンドに捻りを持たせると同時にクリスチャン臭さももっと消していって欲しいところです。そうは言いつつも、分かりやすいリリカルな楽曲をベースとしながら、Progressive な要素を随所に良い形で効果的に取り込まれた Jeremy サウンドには惹かれるところも多く、今後も益々期待を寄せて、出来れば彼らのホームタウンである韓国に足を運んで聴いてみたい( VIGI の shu-ya さんにお聞きしたところ、200V の電力は、かなり PA 機器のパワーポテンシャルが高く、結果的に良い音に繋がり易いとのこと)ところです。


n.p. Jeremy「Trival Life」