11/19(金) 鬼怒無月 Solo @大泉学園 in F

11/19(金) 鬼怒無月 Solo @大泉学園 in F に行って来ました。先ずはセットから、

1st Set:
01. 即興1:アフリカ風練習曲 (約10分、Acoustic )
02. 即興2 (約10分、Acoustic )
03. 即興3 (約12分、Acoustic )
04. My Back Pages ( By Bob Dylan、約5分、Acoustic )

約42分

2nd Set:
05. 即興4 (約14分、Dobro* )
06. 即興5 (約12分、Acoustic )
07. 即興6 (約17分、Acoustic )
08. Clawler-A (鬼怒作曲、約7分、Acoustic )

Encore:
09. Spoonful ( By Willie Dixon, 約6分、Dobro* )

約72分


実は今日は、この鬼怒無月さんのソロ、ROVO のレコ発、KBB のレコーディングライブと重なっていて、ROVO のチケットは当然入手済みでしたので、渋谷駅を通り過ぎるところまで迷ってました。が、やはり「鬼怒さんのガットギター」を取った形で、大泉学園へ。8時キッカリ位に駆け込んだところ、in-F は既に満席、マスターのご好意(すいません、予約してませんでした)で補助椅子を出して頂き準備万端、8時10分を軽く回った辺りでマスターから「じゃあ、そろそろお願いします」の声を受けて鬼怒さん「今日は即興を中心にやって行きます」とのこと、スパニッシュ装飾をホール周りにあしらったガットギター(恐らくラミレス、ピックアップを取り付けてギターの底にプラグを差す形)と、この日 M.C. にてギター豆知識を披露されたらした、Doburo 社製 Resonator Guitar(このギターの形をドブロギターだと勘違いされている方を多く見受けるとのことです、余り生産されなかった頃、Dobro 社しか作って無いような時期があった事からの誤解でしょうとのことで、当然、National 社製もあり Dobro Guitar というと商標なので注意して下さいとのことです)の2本を持って来ていらっしゃいました。1曲目は、この日に原稿を上げた現代ギターのコラムで取り上げた「アフリカ風練習曲」のテーマを用いての即興演奏、ガットギターを用い、アフロテーストを効かせたフレーズをアーシーなリズムで奏で、テーマは素朴なテーストながら、ネック上部の低音と下部の高音を瞬時に行き来しつつ、装飾音をパーカッシヴに絡め、かつ時折スィープ迄絡めてきます。とてもガットギター1本で奏でられているとは到底信じられない演奏が目の前で繰り広げられ、アフリカの草原を吹き渡る風のようなその音に身を任せる心地好さと言ったら、この上もありません!改めて言う必要も無いでしょうが、素晴らしい即興演奏でした。2曲目は、同じくガットギター(第一部はラミレスと思われるこの1本のみ使用されてました)で、ピックを親指と人差し指で支えてルート音を意識しつつベース風に奏で、残りの3本指でアルペジオ風、バンジョーロール風に動き回るこのアプローチで、フォークロック調のテーマを用いて、演奏は超絶的ながら、出音の耳触りは軽やかに即興演奏されてました。個人的にこのアプローチを取って下さるガットギター奏者が大好きで、鬼怒さん、スズキイチロウさん、加藤崇之さんが挙げられるでしょう、またもや素晴らしい演奏でした。流石にこの奏法を使用した後は指がボロボロになるようで、3曲目の前に、ちょっと長めの M.C. を取っていらっしゃいまして、ここでの話題は Black Stage、勿論、この日同時刻に Shibuya-AXROVO のレコ発をされてる勝井祐二さん、魂を操る司祭として暗黒音楽シーンに君臨する灰野敬二さんとのトリオで、このトリオでは延々3時間に渡る演奏をよく行ってらっしゃったそうです(個人的には怖くて2回しか見ていませんが、かなり凄まじいライブ、この夏の鬼怒さんのバースデイ・ライブで7年ぶりの再結成演奏をみせて下さいました)、そして3曲目の即興演奏は、一人 Black Stage とも言えそうな暗黒即興演奏でした。灰野さんとのデュオでは、控えめに灰野さんのブチ切れぶりを支えるようにサポートカッティング中心に弾いていらっしゃる鬼怒さんですが、このソロでは悪魔が乗移ったかのようにガットギターを破壊せんばかりの凄まじい即興演奏を行っていらっしゃいました。鬼怒さん、振れ幅広過ぎです。個人的には良い音楽ならどんなスタイルでも好きですが、この鬼怒さんの振れ幅の広さは、ジャンルや表現方向性に拘る一部リスナーを遠ざける一つの原因かも知れません。個人的には大拍手のスタンディングオベーションものなのですが...。一部最後には、Keith Jarrett の演奏から取り上げるようになった鬼怒さんのソロでは定番化しつつある Bob Dylan の「My Back Pages」、こちらも言うまでも無くリリシズム溢れる素晴らしい演奏でした。


取り敢えずここまでで上げておき、また時間を見つけて更新します。


n.p. Keith Jarret/Gary Peacock/Jack Dejohnette「The Out-Of-Towners」