09/11(土) eu @入谷なってるハウス

09/11(土) eu入谷なってるハウス に行って来ました。セットは以下、

大島輝之 Solo:
1. 即興

約20分

eu :
1. 江草#1 (植村作曲、約9分)
2. カライシラル (江草作曲、約5分)
3. Song: Our Underwater Torch ( By Squarepusher、約8分)
4. 試運転 (江草作曲、約5分)
5. 江草#2 (植村作曲、約7分)
6. 040705 (江草作曲、リアレンジ版、約6分)

eu with 大島輝之:
7. dok (大島作曲、通常 sim で演奏、約15分)

約69分


まずは、大島輝之(g)さんがガットギター1本を持って登場、これはかなり意外でした。大島さんと言えば、エレクトリックのイメージが強く、ギターを膝の上において、弦の間等にプリペアードしながら、エフェクト等も効果的に用いてアンビエントに独特の世界観を構築するイメージを持ってましたので、一体どうなるのだろうと見守ったところ、ガットギターを奏で、パラでライン接続していたと思われる白いハンディータイプのテープレコーダーにて録音し、その場で巻き戻してガットギターと合わせる形でした。何となくエレクトリック感、ディジタル感を払拭させたい意図が見て取れました。そんなアコースティック感を大切にしたアンビエントで心安らぐ清涼感を有した演奏が20分ほど続き、演奏を閉じました。この方向性もかなり面白いと思いますね、今後の大島さんの活動にも注目したいところです。

続いて、才気走る軽快なタッチで、世界各地の民族音楽に根ざした要素をものの見事に鍵盤を使って描く、ピアノ界の若き貴公子、江草啓太(pf)さんと、黎明期から先鋭的な日本のシーンを引っ張り続ける驚異のテクニカル理系ドラマー、植村昌弘(dr)さんのデュオ、本日が始動2回目のライヴ、前回の 1st ライヴ(@なってるハウス)は個人的な都合で見逃してしまったため、非常に期待を持って挑んだ本日のライヴ、流石にこのお二人でこそ生まれる、曲調は一見(一聴)して、軽やかで瑞々しいフュージョンサウンドを感じさせつつも、そこ彼処に鏤められたアバンギャルドな要素が、その中で煌びやかに光を放っていて、素晴らしい演奏に仕上げられていました。驚きは3曲目でして、なんと!ドラムンベース界の孤高の異端児、Squarepusher が、'99年に斯界に一石を投じた問題作「Maximum Priest」の冒頭に収録された「Song: Our Underwater Torch」を演奏していらっしゃいました。植村さんも本作には随分思い入れがあるようで、咽を枯らして辛そうな中、しっかりこの曲の解説だけは、咳をしながらも続けていらっしゃいました。植村さんがこのアルバムを好きだというのは、かなり意外でした。勿論、このデュオ向けに素晴らしいアレンジを施され、美しく演奏されていたのは言うまでもありません。5曲目「江草#2」は、植村さんの PON 時代の片鱗を垣間見せる変拍子バリバリの難曲、この2人、こんな超絶技巧曲をよく平気で演奏できるものですね、凄過ぎです。最後の「040705」は、前回にリアレンジを加えたとの事ですが、前回、残念ながら聴き逃したもので、「040705」が今回どのようにリアレンジされたかは、分からなかったのですが、今後は、続けてライブに足を運んで行きたいと思います。

最後は、3人の演奏で締め括りますが、「通常なら、3人で即興演奏で閉めるところでしょうが、我々は大島君の sim での曲を演奏します」( By 植村さん)、「この曲は、アンチ予定調和ってテーマでして、一見静かに始まりながら、突然...」( By 大島さん)、「そこまで言っちゃダメでしょう!」( By 植村さん)と言う形で、事前にネタバレしてしまったサプライズソング「dok」、大島さんが仰る通り、始めはガットギターが静かにアンビエントに奏でられ、そこに、ピアノが抽象的なフレーズを絡め、静謐な音響空間を形作り、植村さんは、ドラムセットに座りながら、じっと耳を傾け続け、後半に差し掛かろうという頃、突然、音響空間を切り裂くように激しいドラムが入ってきて、そのまま大島さんのギターも、江草さんのピアノも無調で大音量で、現代音楽風に合わせ、大団円を迎える形です。やはり、彼らは尖りまくってますね、素晴らしく先鋭的な演奏でした。


n.p. Squarepusher「Maximum Priest」