08/27(金) 藤井郷子カルテット@アケタの店

08/27(金) 藤井郷子カルテット@アケタの店 に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
1. An Alligator In Your Wallet (約8分)
2. 新曲1 (約13分)
3. 新曲2 (約7分)
4. Clear Sky --- For Christopher (約6分)
5. Champloo (約5分)

約45分

2nd Set:
6. 新曲3 (約15分)
7. Flying To The South (約11分)
8. The Future Of The Past (約21分)

Encore:
9. Tatsu Take (約6分)

約56分


メンバーは、藤井郷子(pf)・田村夏樹(tp)早川岳晴(b)吉田達也(dr) のカルテット。衝撃の 1st「Vulcan」('01年) を発表後も、海外ツアーも含みコンスタントにライヴ活動を進行させ、2nd「Minerva」('02年) 、3rd「Zephyros」('03年) と東ヨーロッパのヴァルカン半島周辺のジプシー系の民族音楽を基調とした変拍子、メロディを使用しながら、ジャズ、ロック、メタル、現代音楽とあらゆるジャンルの壁を乗り越えて、前進し続ける至高のユニット。今までの傾向からすると、今年度中に出るであろう新譜を見据えた新曲の仕上がり具合を実際に見たくて、ライブに足を運びましたところ、やって下さいました新曲3曲!そのどれもが、現段階で素晴らしいポテンシャルを有している気がしますし、ここまでやってしまったら、あと何処に向かう気なのでしょう?と思わせた 3rd を信じられないことに更に発展させ押し広げた表現領域に突入していらっしゃる印象を受けました。リズム隊の充実振りは相変わらず素晴らしく、吉田さんと早川さんという夢(禁断?)の組み合わせながら、早川さんのムラッ気が懸念材料だと思われるのですが、そんな杞憂をものともしない充実した演奏振りで、早川さんの気持ちかなり入っているようでした。特に2部1曲目の新曲3は、初演との事で、その曲に入る前のメンバー皆さんの緊張具合が見て取れましたが、他のメンバーがちょっとフレーズの練習などを行なおうとすると空かさず早川さんから「あー、ずるい!練習してるっ!」の言葉が飛び、1部でミスをされた藤井さんに対しても、1部終演後「止まんなかったよねぇ〜」と嬉しそうに突っ込みを入れていらっしゃいましたし、かなりこのユニットに対し気持ちが入っている様子が伺えました。藤井さんに「こんなに大っきな音で自信タップリにやってらっしゃるんで、間違いは無いと思いますけど...」とチクリとやられると、「後でスコア書き換えたら良いんだよ、ガハハハァ」と早川さん得意の俺様節をかませていらっしゃいました。そんな早川さんは、1部は5弦フレテッド、2部は4弦フレテッドで通していらっしゃいまして、特に2部2曲目の「Flying To The South」のベースソロでは、圧倒的な音量と唯一無二のフレージングで蹂躙しまくっていた印象です。勿論、既発表曲も素晴らしく、特に本編最後の「The Future Of The Past」は、楽曲自体の持つ複雑な構成音と変拍子、展開による構築美と4人の即興演奏が、信じられない程の高いレベルで共存している恐ろしいまでの演奏が織成されていました。11月には、関西ツアーが行なわれるようですので、ご興味の向きは、是非ともこの日本が世界に誇る至高の演奏に触れてみて下さい。この素晴らしい音楽に対する支持をニューヨーク・シーンやヨーロッパ・シーンに持っていかれ続けている現状は勿体無さ過ぎます。


n.p. Satoko Fujii Quartet「Zephyros」