08/05(木) 大澤・小森デュオ@横浜エアジン

eiji002004-08-07

08/05(木) 大澤・小森デュオ@横浜エアジンに行って来ました。セットは以下、

1st Set:
1. 即興1 (小森 ss ) with Chris Tonelli
2. Well you needn't ( By Thelonious Monk、小森 b-cl )
3. Hooveling ( By Dave Holland、小森 b-cl ) with Chris Tonelli

約41分

2nd Set:
4. 即興2 (小森 ss )with Chris Tonelli and 足立智美
5. Archaic Smile (大澤作曲、小森 ss )
6. 臥遊(小森作曲、小森 cl )with Chris Tonelli and 足立智美

約49分

特別ゲスト
Chris Tonelli: Voice
足立智美: Voice


大澤香織(pf)、小森慶子(ss, cl, b-cl) のお二人のデュオにカナダ出身、サンディエゴ在住のヴォイスパフォーマー、Chris Tonelli(voice) がゲスト参加すると聞き、会場に足を運んだところ、足立智美(voice) さんも併せてゲスト参加されてました。と言うことで、Piano & Multi-Reeds のデュオと Voice デュオの競演のような態を為したこのスペシャルライブ、先鋭的でかつファニーな音の数々に彩られた不思議な音楽空間が構築されており、その空間の中で楽しい一時を過ごしてきました。まず1曲目は、大澤・小森デュオに Chris を加えた形での即興演奏で幕を開けます。いきなりの驚きは、Chris の吃音とビブラートのバリエーションの多彩さです。Chris は、ホーミー等の伝統唱法を取り入れてベースにすると言う形は取らず、恐らく様々なトレーニング法にて試行錯誤をしながら生み出してきたと思われる吃音とビブラートの豊富なバリエーションで、独自の語法、唱法アプローチを取っているように感じました。かつ、指の角度と位置で微妙にコントロールされたビブラートを巧みに使用しながら、音像空間に対して取るアプローチが立体的であるとも同時に感じましたね。咽喉深部の反響ポイントもコントロールして変える事ができるようでしたし、咽の前面を反響版として、そこから直接マイクで音を拾ったりと様々なテクニックを駆使しながら、本当にユニークなヴォイス・パフォーマンスを見せてくれます。大澤さんのダイナミックな身体全体を使用してのアプローチと非常に相性が良かったように思います。勿論、小森さんも身体全体を使用し、音像空間にダイナミックに音を送り込んでいらっしゃいました。行き成りの素晴らしい3人のパフォーマンスに圧倒されてしまいました。2曲目は大澤さん得意の Monk ナンバーで、これはいつもの小森さんとのデュオ風にまとめるのかなと思いきや、1曲目のテンションをそのまま持ち込んだような、只でさえエキセントリックな Monk ナンバーを更にエキセントリックに演奏されてました。b-cl でこんな力強くたおやかでかつエキセントリックなアプローチを取ることができる演奏家は世界広しと言えども小森さんぐらいしか居ないのではと思わせる素晴らしい演奏でした。3曲目は、4小節のテーマを変奏させていく Dave Holland の「Hooveling」を Chris を加えた3人で演奏しますが、これまた1曲目の即興のようなバリエーションを持たせた素晴らしい3人の演奏で1部の幕を閉じます。2部の1曲目は、足立さんを加えての即興演奏ですが、導入は Chris 一人がソロを取る形でスタート、素晴らしいソロ・ヴォイス・パフォーマンスで、圧倒的な存在感で”場”を構築します。頃合を見て、足立さんが加わり、ヴォイス・デュオの態を為しますが、やはり足立さんと Chris のパフォーマンスは非常に相性が良く、お互いのアプローチを楽しみつつ2人の音像を空間的に相互に構築していきます。また、頃合を見つつ、小森さんが ss で2人に絡んでいき、更には、大澤さんも加えた形で4人による即興演奏、素晴らしいコラボレーションでした。2曲目は、またデュオに戻って、大澤さんの「Archaic Smile」を演奏しますが、こちらもいつもよりエキセントリック度が増していたように感じました。そして、最後は、小森さんの「臥遊」をこの4人で描きます。小森さんの絶品の cl にリードされつつ、4人がそれぞれに筆を取り、4人で音像の中に入り込みながら共同で全体サウンドを作っていく様は見ていて楽しそうであり、結果として描かれて行った音像は、限り無く美しかったですね。そんな素晴らしい絵を完成させた余韻を残しつつ、小森さんのテーマ演奏でフェイドアウトさせ静かにライヴを閉じます。また、是非ともこの4人での演奏の機会を作っていただきたい素晴らしいライヴでした。Chris Tonelli は、8/31(火)に松本健一さんの企画で「渋谷時代」、9/5(日)に馬車道ホールにて、巻上さん足立さんと共に「 3 Voices 」を予定しているようです。Chris の Voice は、Joseph Sarlo (g) のサイトで、2曲ほど視聴できますので、是非ともチェックし、ご興味の向きは、ライヴに足を運んで下さいませ。


n.p. Chris Tonelli「Unobtrusive」