07/29(木) Unbeltipo Trio @新宿 Pit Inn

eiji002004-07-30

07/29(木) Unbeltipo Trio @新宿 Pit Inn に行ってきました。セットは以下、

1st Set:
1. Method Panic (約12分、今堀:水色ストラト
2. UBT9 (タイトル無し、約12分、今堀:水色ストラト
3. UBT4 (約11分、今堀:ペイント・ストラト
4. JDvers3 (約9分、今堀:水色ストラト

約50分

2nd Set:
5. UBT8 (タイトル無し、約14分、今堀:水色ストラト
6. Joujoushka(約13分、今堀:水色ストラト
7. UBT3 (約13分、今堀:水色ストラト
8. UBT10 (約10分、今堀:水色ストラト

Encore:
9. 重力の虹 (約4分、今堀:水色ストラト、ソロ)

約61分


遂に始動しました!今堀恒雄(g)Tipographica 解散以来7年ぶりの待ちに待ったユニット、Unbeltipo Trio が遂にそのベールを脱いだのです。リーダー兼コンポーザー兼ギタリストは、勿論、今堀さん。もう、言わずもがなでしょうが、前世紀末に、日本に現われた奇跡のアーティスト! Tipographica という至上最強のバンドを生み出しながら、その表現領域は、史上最強バンドをして表現不可能と認めさせ、解散に至らせたという未曾有の領域に独り突入してしまった孤高の天才、その天才が、ニューアルバムを録音した際の基本トリオ編成での御披露目ライブを行なうと言うのですから、その場に立ち会うことができるなど、幸運中の幸運、この幸せは例えようも有りません。そして、その今堀さんが選んだ残り二人のメンバーが、怪物を超えた怪物ベーシスト、Ground Zero, Altered States, 是巨人, 大文字等、広く活動を展開し、先頃は灰野さん&吉田さんと超暗黒トリオまで結成&アルバム発表を行なった先鋭的な日本の即興音楽シーンが生み出した最強のファンキーベーシスト、ナスノミツル(b)大明神!そして、ドラムは、メジャーシーンの売れっ子ドラマーとして、多くのメジャーアーティストの裏方として引っ張りダコ状態、Original Love ではラテンフレーバーとダイナミズム溢れるドラミングをみせてくれている佐野康夫(dr)が叩いてますが、当初は個人的にかなり好きなドラマーながら、Unbeltipo Trio の一角を担うのは難しいとの意見を持っていましたが、いざライブを聴いてみたら、その凄まじさに圧倒されました!フレーズ毎に、拍子はおろか bpm まで叩き分けるのではとも思える正確無比なテクニカルドラミングと出音が凄まじい強靭かつダイナミックなグルーヴドラミングが共存しているのです。印象としては、先頃発表された HAYAKAWA の「hone」におけるツインドラムを一人で担っているかのような凄まじさです。実際、ふと思い起したのは、P.O.N. 時代の植村さん(現在はご存知のように HAYAKAWA での左チャネルドラマー&リーダーバンド MUMU を率いて活動されてます)のプレーでした。勿論、スコアを書いてる今堀さんあっての今回のプレーだと思いますが、今堀さんのスコアをキチンと叩けていること自体が驚異です(しかも、後の MC で今堀さんによって明かされましたが、この素晴らしい演奏を、たったリハ2回で実現させたそうです!この2人。バケモンでしょう、これは!)と言った訳で、フランクザッパ亡き後のアメリカ・ミュージック・シーンを一人で支え、かつ推進させている巨人が Mike Keneally であり、Mike Keneally Band なら、日本におけるその対抗馬筆頭は、今堀恒雄であり、Unbeltipo Trio なのだと改めて再認識させてくれた素晴らしいライブでした。とにかく、奏でられる音の一音一音全てが一切の無駄もなく精緻かつ巨大なオーケストレーションを為していて、トリオ演奏で、自由に動きつつ、その一部である場面を絶妙にカットアップして提示してくるのです。こう書くと、表現された音が抽象的で難解となってしまうように受け取られてしまうと思いますが、さに有らず、提示された音像は、美し過ぎるほどに美しく、激しく、リリカルでかつスピリチュアルなのです。この日の為に用意された曲は2部合わせて8曲(2回のリハで仕上げることができた全曲、よってアンコールは、今堀さんのソロで本人曰く「古い曲を演奏して寂しく終わりにします」と「重力の虹」を演奏されました)、その内、既発表曲(リフだけ)は、2nd Set 3曲目の「UBT3」で、今堀さんの個人名義で発表された「Unbeltipo」('99) の「UBT3」からリフを一つ取り出して本日の演奏としたようです。また、「UBT4」とループを変えた「JDvers3」以外は、現在レコーディングが終了(ナスノさん&佐野さん共に参加されてるそうです)し、CD 向けのマスタリング作業待ちとのことです。アナログ盤は既に発売されており、こちらの通販で購入可能ですし、この日も演奏された「Method Panic」と「Joujoushka」の一部が試聴可能となっています。待ち遠しくて堪らない新しい CD 音源も含め、今後の今堀さんと Unbeltipo Trio の動向からは目が離せません!


n.p. 今堀恒雄Unbeltipo