07/27(火) 太田・黒田・山口(太黒山)@大泉学園 inF

07/27(火)太田・黒田・山口(太黒山)@大泉学園 inF へ行ってきました。セットは以下、

1st Set:
1. 即興1(約22分、太田: ac-v -> el-v )
2. 即興2(約17分、太田:el-v -> ac-v )
3. 即興3(約7分、太田 ac-v )

約47分

2nd Set:
4. 山口ともソロ(約7分、ベーンパイプ使用)
5. 黒田京子ソロ(約7分)
6. 太田惠資ソロ(約7分、el-v )
7. 即興4(約20分、太田:ac-v )

Encore:
8. 即興5(約10分、太田:el-v )

約59分


メンバーは、太田惠資(vn), 黒田京子(p), 山口とも(perc) のトリオ、既にこの3人で、3度ほど演奏しており、以前より聴きたいと個人的に熱望していた非常に興味深い組み合わせのセッションです。山口さんは、最近は、NHK教育で4月に放送されていた「ドミノテレビ」で、陽気な歌のお姉さんううあ(UA)と共に、何でも楽器にしてしまう謎のパーカッショニストともとも(山口とも)として、その得意なキャラクターが広く知られていますよね。夏休みに合わせて再放送される(7/29 〜)ようですので、見逃した方は要チェックでしょう!そして、流石は inF ! 開演前&休憩中に流れていたのは、Roland Kirk の「Live at The Montreux Jazz Festival, 1972」、本日のライブの楽しみどころを踏まえつつ、直接的にはないこのマスターの佐藤さんの選曲には脱帽です!そして、注目の山口さんのパーカッション・コーナーはミネラルウォーター用のようなポリタンクとブリキの一斗缶、ビニール・チューブをセットに組み込んだ不思議なドラムセットを前面に、サイドには鉄板を張った小箪笥のようなパーカッションや塩化ビニールパイプで作られた楽器等、後方には、どう見てもオモチャの数々が所狭しと並べられています。まず1曲目の即興は、山口さんが自分のイスを回転させる音をアンビエントに奏でつつ演奏に導入していきます。太田さんは、アコースティック・バイオリンにて山口さんのエキセントリックな音に合わせるように自らもエキセントリックな音を奏で、また、ホーミー風な倍音ヴォイスも乗せてきます。黒田さんもパーカッシヴに合わせてきます。中間部にては、山口さんがスネアとクラッシュシンバルを使用しながら曲をクレッシェンドさせて行き、2人の激しい展開を呼び込みます。それに合わせ、太田さんはバイオリンをエレキに持ち替え、更に激しく煽りを掛け、黒田さんもリリカルなフレーズをパーカッシヴに情熱的に奏でます。2曲目は、太田さんのエフェクトをかけたエレキバイオリンが先導するような形で曲に突入、1曲目に続いて3人が繰り出す刺激的な音の数々、聴いていると、まるでパステルカラーに彩られた夢の世界へ迷い込んでしまったかのような不思議な感覚に捕らわれます。3人が楽しそうに音を交換/合わせあいながら築いていくこの音楽空間は余りも心地好く、心を捕らえて放してくれません。太田さんは、山口さんのゴムひもを使用してのダフ打ちに対抗するかのようにワニのオモチャを取り出し、オモチャを押して音を出したり、そのオモチャをボウ代りにバイオリンを弾いたりとやりたい放題、ふと気がつくと曲が終了し、「ここまでで、40分ちょっと回りましたね、どうします?」と他の2人に伺いをたてます。山口さんが徐に横を向き「じゃあ、3分やりましょう!」と演奏に入ります。小箪笥の天板に鉄板を使用したような不思議な楽器をマレット2本で叩き出すのですが、何故かしっかり叩く場所によって音程が別れているようです。他の2人も合わせつつ演奏が終わったときには、予定を超えた7分を経過していました。そして2部はちょっと趣向を凝らして、3人それぞれのソロで幕を開けることになるのですが、順番はジャンケンで決定します。その結果、勝ち抜けした山口さんが先発を買って出て、続く太田さんが、山口さんの直後は怖いとのことで3番手に、黒田さんは結果2番手となりました。山口さんのソロは、本人曰く「ベーンパイプという自作楽器です」とのことで、塩化ビニールパイプを切って音程に合わせて長さを変え、そのトップを揃えて、平たいマレットのようなブラシのような器具で叩いて音を出します。揃ったパイプの上を叩いて音を出すのですが、しっかり音程があり、途中、「サクラ」や「ずっころばし」などのテーマを使用しながら7分ほどの演奏に仕上げます。2番手は黒田さん、いつもの即興のように、語りながらピアノフレーズを挟み込んできます。山口さんの「サクラ」や「ずっころばし」を受けて、「ホタル」のテーマを持ってきて、リリシズム溢れる素晴らしい即興ソロに仕上げていきます。3番手は、太田さん、先日一緒にゲストで ERA のレコ発に参加した柏木さんを彷彿とさせるフレーズをサンプルしてロールをリフレインさせて音を重ねていく形で、不思議なバイオリン五重奏的音楽空間を構築します、かなり魅了されました。そして、また3人で即興演奏を行いライブ本編を閉じます。勿論、アンコールの要請を受けて、アンコールにも応えて下さいました。本日のライブ全編に渡って、素晴らしく刺激的で、演奏しているほうも聴いている方もワクワクし通しの即興演奏を堪能させていただきました。素晴らしき音楽家である3人に限り無い感謝を捧げたいと思いますし、また、機会を見つけて足を運びたいと思います。


n.p. Roland Kirk「the inflated tear」