06/28(月) Bondage Fruit @初台 The Doors

06/28(月)Bondage Fruit初台 The Doors に行ってきました。まずはセットから、

佐藤芳明 Solo:
1. ジャズのスタンダード曲(恐らく) 約5分
2. 佐藤さんのオリジナル(恐らく) 約6分
3. East (佐藤作曲)
4. Grana od bora (ボスニア民謡)
5. ブルースのスタンダード曲(恐らく)約6分

約30分


Bondage Fruit:
1. 水の木(ミニマル3部作:3)
2. Train
3. I/O
4. アフリカン・マカーム(旧題:ミニマル・アフリカン 、ミニマル3部作:2)
5. 新曲
6. ミニマル (ミニマル3部作:1)

Encore -
7. Locomotive (Bondage Fruit with 佐藤芳明)

約95分


客電が落ち、静かな佇まいで佐藤佳明(acc)さんが現われます。意外と言えば意外な Bondage Fruit のオープニングでの起用。持ち時間の30分をフルに演奏で費やしたい為か、M.C. 無しで一気に5曲を演奏します。1曲目は恐らくジャズのスタンダードですが、タイトル忘れました。佐藤さんの独特なコード変奏とリズムアプローチが行き成り爆発します。2曲目は初めて聴きましたが、恐らく佐藤さんのオリジナルだとは思います。ミニマル風な展開でテーマループを微妙に変奏させていく、エフェクト無でここまで音色や変奏のバリエーションを取れるのは見事としか言い様がありません。3曲目は佐藤さんのオリジナル「East」、東ヨーロッパをイメージしての曲ですが、奏でられるメロディとリズム(11/8)は明らかにブルガリア民謡をベースとしています。佐藤さんの趣向が伺える秀逸なオリジナルです。4曲目は佐藤さん絡みのライブではお馴染みのボスニア民謡をベースとした「Grana od bora」、美しく叙情的なテーマが郷愁を誘い、素晴らしきコード変奏とリズムアプローチを取った演奏に心惹かれます。5曲目は恐らくブルースベースのスタンダード曲ですがタイトル忘れました。蛇腹を叩きまくり、アグレッシヴな演奏で佐藤さんのソロライブを閉めます。結局、一言も喋りませんでしたが、楽曲と演奏が何より雄弁に語っていた気がします、オープニングとしては贅沢過ぎる30分でした。

続いて、Bondage Fruit、メンバーはご存知の通り、鬼怒無月(g), 勝井祐二(vn), 大坪寛彦(b), 高良久美子(vib, per), 岡部洋一(dr, per) の、結成当時('90年、少々メンバー変動有り)は無名の実力者集団、今となっては名実共に日本プログレシーン最強の5人。1曲目はタイトル無の新曲(ミニマル3部作:3)に「水の木」というタイトルがつきました。鬼怒さんは Buccus のレスポールタイプを使用、高速シーケンシャルフレーズで鬼怒さんがループを作り、そこにメンバー個々が様々なアプローチを取っていく、後の M.C. で鬼怒さんによって語られた通り、細部のアレンジを詰めて来たようで、バンド演奏を通しての構築美のグレードがかなり上がっていたように感じました。続く曲は「ゆったりとした曲」( By 鬼怒)「Train」、鬼怒さんは、Vanzandtストラトキャスターモデルを使用。アーシーなブルースフィーリングが込められた鬼怒さんのギタートーンが心に染み入ります。3曲目は「I/O」、鬼怒さんはドブロギターを使用。岡部さんのジャンベにより曲に導入、そんなアーシーな導入を受けた鬼怒さんのカントリー風シーケンシャルフレーズが爆発します。まさにカントリー・ミニマル!続いては「仮題:アフリカン・ミニマル」が「アフリカン・マカーム」(ミニマル3部作:2)にタイトル変更されてました。マカームはアラブ音階を意味しているらしく、自ら安易なタイトル付けと思っている鬼怒さんが「みんな、鬼怒無月ってバカだと思ってたでしょうけど、そう思っている以上にバカなんですよ、実際」と自虐的に語ってらっしゃいましたが、それに追い討ちをかけるように「なにカミングアウトしてんだよ」と勝井さん。大坪さんの味わい深いベースソロにより曲に導入、ドラムセットに組み込んだコンガを岡部さんが激しく叩きまくり、それを受けて鬼怒さんがレスポールを用い、アラビア音階を使用したシーケンシャルフレーズでループを構成します。間奏部の高良さんのビブラフォンと鬼怒さんのアラビア風ループがレイヤー構造を持って非常に美しいアンサンブルを生み出していました。5曲目には新曲を持ってきましたが、まだタイトルは付いてない模様。鬼怒さん的には、ゆっくり弾いたのでバラードだそうです。これを受けて勝井さんが、昔営業でデパートで3連チャンの演奏をしていたとき、レパートリーが無い中で「もっとゆっくりとしたバラード風な曲やって」と言う要求に、同じ曲をテンポを遅くして演奏したそうで、「だから、バラード=ゆっくりとしたテンポの曲で間違ってない」とのことでした。相変わらず2人の漫才は訳分かりません。新曲のバラードは、一般的な「バラード」のイメージで大きな要素を占める”叙情性”はそれ程有していないようでしたが、ミディアムテンポにより、変奏されていくチェンバー的要素が大きく見て取れました。素晴らしい曲と演奏だったことは、言うまでもありません。本編最後は、「Bondage Fruit と言えばこの曲と言うぐらいお馴染みな」(By 鬼怒)「ミニマル」(ミニマル3部作:1)、鬼怒さんはストラトを使用、個々の超絶的な演奏にて変奏されていき、クレッシェンドしていく様は、まさに「ボレロ」を彷彿とさせ、楽曲後半は、楽器がどんどん落ちていく形で、最後にベースが残り、フェイドアウトして演奏を閉じます。アンコールでは、佐藤さんをゲストで迎えた Bondage Fruit with 佐藤芳明として、「Locomotive」を演奏、佐藤さんのアコーディオンと勝井さんのバイオリンが音域とアプローチ的に被ることを考慮してか、佐藤さんは曲の導入部と後半部では、金属製のメガネ型カスタネットを2つ使用して演奏に加わり、間奏部にアコーディオンを使用。鬼怒さんはレスポールを使用し、ボトルネックにて、古き良きアーシーなスティールギター風フレーズを連発し、スピリチュアルにまとめる。素晴らしい演奏にてライブを閉じて下さいました。やはり、Bondage Fruit のライブは見逃せませんね!今年の8月に新作のレコーディングを開始し、出来れば年内中に新作を発表したい(By 鬼怒)とのことです。今後も、Bondage Fruit の動きからは、目が離せないところですね。


n.p. UA「SUN」