06/16(水) 是巨人@MANDA-LA 2

06/16(水) 是巨人MANDA-LA 2 2nd レコ発ライブに行ってきました。セットは以下、

RUINS alone:
「Classical Music Medley」「Tzomborgha」含む7曲

約20分

是巨人:
1. Arabesque (2nd)
2. Betwixt (2nd)
3. Quicksilver (2nd)
4. Four Holes In The Sky (1st)
5. Out Of Head (1st)
6. You Know What You Like (1st)
7. Doldrums (2nd)
8. Exodus (2nd)
9. Freestone (2nd)

約55分

是巨人 with 勝井祐二:
1. 即興1(約6分)
2. 即興2(約12分)
3. 即興3(約7分)
4. 即興4(約8分)

Encore:
5. Larks' Tongues in Aspic - Part II (By Robert Fripp)

約45分


会場は MANDA-LA 2、勝井さんのゲスト参加が効いたのか、会場は満員御礼後方入り口の方まで立ち見でびっしり埋ってます。19:30 キッカリに吉田さんが一人徐に現われ、ドラムセットに着くなり「是巨人 2nd レコ発ライブにようこそ、前座で RUINS alone」の言葉と共に用意してきた音源(マイナス1のプログラム、恐らく CD 焼き)を流し、それに合わせて叩きまくります。前回の反省というか、吉田さんのことですので、前回の音跳び&演奏の破綻が納得いってなくて、かなり音源に合わせて一人で叩くのを練習したと思われますが、怖いくらい合ってます。どんどん曲が進行していき、「Classical Music Medley」をやって下さいました。なお、ラス前に、メン募のお知らせがありました。こんな音楽が出来る人、やってみたい人募集だそうで、今回はベースに限定せず、Guitar, Key なんでも OK だそうです。我こそはと思う方は吉田さんまで申し込んでみて下さいませ。個人的には、渋さのマルチリード、小森さんが吉田さんと組めば、吉田さんが RUINS で考えていらっしゃる方向性にピタリと当て嵌まる気がします。小森さんは、一度フジロックで RUINS と合わせてますし、2人が組めば、恐ろしい表現世界へ突入して、もの凄いものが出てきそうですからね。最後は「Tzomborgha」で RUINS alone としての演奏を閉めます。


メンバーは、RUINS, 高円寺百景, 大文字, Samla Mammas Manna 等を出すまでも無くグローバルに大活躍する世紀の変拍子ドラマー、吉田達也(dr)をリーダーとし、Bondage Fruit, Coil, Warehouse 等で多岐に渡る表現領域を現在進行形で拡張し続ける奇才ギタリスト、鬼怒無月(g), Altered States, 大文字等で唯一無二の複雑怪奇なファンキーベースを奏でまくっているナスノミツル(b)の3人によるロック・インストゥルメンタル超絶変拍子トリオ、元々は名前の由来である This Heat + Gentle Giant をベースに、そこに即興的要素を盛り込むバンドでしたが、続けていく中で、ポリリズミックなアンサンブルの要素が極致の如く複雑迷宮化され、即興的要素がそこ彼処に顔を出しまくる怪物バンド化してきています。2nd も余りにも多岐な要素がごった煮化されつつも、ファンキーでポリリズミックにまとめ上げられている傑作アルバムに仕上がっています。バンドとしてもレコ発ツアー(主に関西方面)を経て、ここのところの年一ライブバンドのイメージを払拭し、怪物バンドに相応しいグルーヴを生み出してきているようです。「先ずは 1st から3曲やります」との吉田さんのコールから「Arabesque」「Betwixt」「Quicksilver」と続けますが、鬼怒さんのカッティング、ナスノさんのベースランニング、吉田さんのドラムがそれぞれに複雑に動きまくり、ポリリズミックに絡み合う驚異のリズムアンサンブル!それぞれ既に今年3月の 2nd レコーディング前に聴いていましたが、その時より、更に鋭角的に研ぎ澄まされ、かつくらくらと眩暈に捕らわれそうな不可思議で緻密なグルーヴを生み出しています。 2nd からの3曲を終え、空かさず「じゃあ、次は 1st から3曲」と曲を繋ごうとする吉田さんに、「ちょっと待って、少し休憩。吉田さんの曲難しいんですよぉ、凄い緊張するし...」とナスノさん、「じゃあ、トークの得意な鬼怒くん、お願い」と吉田さんから振られ、「我々、是巨人は Dreming なツアーを行なってきまして、ピクニックに行ったり、夜にお互いに夢を語り合ったり...そうして我々もバンドとして成長しました。これからも応援して下さい、ね」と訳分からないトークをいつもの調子で真面目な顔でかます鬼怒さん、演奏中の鬼気迫るキチガイじみたギタープレーとの大き過ぎるギャップが客席の大爆笑を誘います。続く3曲は「Four Holes In The Sky」「Out Of Head」「You Know What You Like」、やはり 1st の楽曲も確実に良くなってますが、2nd の曲に比べるとリズムアンサンブルとしての面白さは 2nd の楽曲に一歩譲ってしまうような印象を持ちました。「Out Of Head」での鬼怒さんの Georg Benson バリのスキャットも私が過去に聴いた中では最も完璧にカッティングと絡んでいたように感じます。再び 2nd の楽曲に戻り「Doldrums」「Exodus」と続けようとするが、ここでナスノさんの2度目の待ったが入り、「4分で取ってれば合うノリのいい曲なんで、ノって手拍子でも...と言ってこの前、神戸ビックアップルでやったらだんだん尻つぼみになっちゃって、失敗したんだけどね」と吉田さん、続いて鬼怒さんの曲解説「次の曲は、ソウル・ドラキュラとかソウル・フランケンシュタインなどの70年代ディスコのソウルものだと思ってもらうといい、ブラックミュージックの伝統に根ざした曲で、皆さんもディスコに行った思い出とか反芻してノっていただけると..」に、ナスノさんが「お客さんみんな、プログレ好きなのにブラックミュージックの話しても...」とツッコミ、「アース・ウィンドアンドファイヤーも有るし、宇宙って付けば何でも有りだよ」と鬼怒さんが返す、最後に吉田さんが「では、ディスコ・プログレということで」とまとめ、演奏を開始、確かに実際は複雑ながら、4分で取って合う曲になってます。しかし、間奏部からはそうもいかず。神戸ビックアップルでの悲劇が偲ばれました。是巨人として最後の「Freestone」、吉田さんは「泣きのギターが入るキャメルタイプの曲」、鬼怒さんは「キャメルじゃないでしょう、どっちかと言うとサムラ」と意見が割れ、「じゃあ、間を取ってサメラだね」と吉田さん。ナスノさんからは嬉しい告知、「7/6 に初台ドアーズで、大文字と KIKI Band の対決があります」、「プログレ対決だと負けるよ、こっちは俺しかプログレ聴かないもん。お互いに平等な湘南サウンド対決とかにしようよ」と負けず嫌いの鬼怒さんでした。最後まで完璧な「Freestone」で是巨人としてのライブを閉めます。


「ゲストに勝井祐二」との吉田さんのコールで、是巨人 with 勝井祐二セッションが始まります。まず1曲目は、皆さんがお互いに探り合うように抽象的なフレーズを交わし合い曲に突入、途中から、勝井さんがアイリッシュフレーズで飛び出す。皆が全くバラバラのように弾きながら不思議な一体感を保ち続け、鬼怒さんが昇降フレーズで勝井さんに絡む、6分ほどで終了。2曲目は、吉田さんがドラムで一気に飛び出し、皆がそれに続く形、全体のバランスを保ちつつ、ナスノさんの高速8ビートランニングとグリスが曲展開を指揮するように方向付ける。途中、皆が曲を閉じようとするが、勝井さんが引き伸ばし、展開を変え、ナスノさんが3拍子でサポート、不思議な展開を見せつつ12分ほどで終了。3曲目は、鬼怒さんがレスポールにて、繊細かつ不思議なコードヴォイシングで刻み、勝井さんがフリーキーなバイオリンを絡め、吉田さんがバス中心でアンビエントに刻み、ナスノさんがハーモニクスで音像を整えます。テンポアップ&クレッシェンドで一気に激しい展開へ持っていき、後半はまたアンビエントな展開に回帰、7分ほどで終了。4曲目は、鬼怒さんのフリーキーなカッティングと、オモテにウラに縦横に動きつつ煽るナスノさんベースの絡みで曲に突入、勝井さんはワウをかましたバイオリンで鬼怒さんのアプローチにカウンターを当て、吉田さんがそれぞれをズタズタに切り裂くように変拍子で攻撃的に叩きまくります。怒涛の展開へ流れたかと思うとフッとアンビエントな展開へ音像を切替、鬼怒さんがその音像空間を活かして、ディレイ&エコーを効かせたギターで展開をリードし、勝井さんが長いトーンで受ける、光たゆたう永久の響きをイメージさせつつ、8分ほどで終了。永遠に聴き続けていたい素晴らしい4人による即興演奏でした。

アンコールは、なんと「Larks' Tongues in Aspic - Part II」(太陽と戦慄パート2)です!吉田さんも「このメンバーで合わせたら、良いアンサンブルになると思います」と仰ってました。鬼怒さんは、すっかり Robert Fripp 気分でイスに腰を下ろし、レスポールを抱えて準備は万端、ナスノさんの「やっぱり、腰掛けて演奏するのね!」のツッコミを当然と言った面持ちで笑顔で受ける。鬼怒さんの気合入りまくりのカッティングから幕を開け、ナスノさんのベースも John Wetton そのものと言った感じの完コピ状態、4人の一体化したアンサンブルと生み出されるグルーヴは、まさに絶品!間奏部、この凄まじい演奏を受けて、鬼怒さんの「最高!」といった感じの笑顔が非常に印象的でした。極上の素晴らしいライヴ、バンドメンバーとゲストの勝井さん、関係者の皆様に限り無い感謝を捧げます。まだ確定していないようですが、次回の是巨人のライヴ、楽しみにしてます!


n.p. 是巨人アラベスク