05/14(金) 壷井・佐藤・立岩@大泉学園 inF

05/14(金) 壷井・佐藤・立岩@大泉学園 inF に行って来ました。先ずはセットから、

  • 1st Set:

1. Left Window (壷井作曲)
2. Grana od bora (By Bojan Zulficalpasic、佐藤選曲)
3. Antikythera(佐藤作曲)
4. The Fool (立岩作曲)

約60分

  • 2nd Set:

5. Samaii Nahawand(アラブ・トラッド)
6. 今日は阪神が負けたよ(壷井作曲)
7. 006(壷井作曲、頑張れ巨人 by 佐藤)
8. East (佐藤作曲)

  • Encore:

9. 曲名読めない by 壷井(壷井選曲、アイリッシュ・トラッド)

約50分


KBB, Pochakaite Malko, Era, Ausia, etc. で大活躍の壷井彰久(vn)をホストとし、ガレージシャンソンショー、Play post Tango, etc. の佐藤芳明(acc)、Pochakaite Malko, GHOST, etc. の立岩潤三(perc, tabla)の3人としては初のセッション!日本のインプロヴァイザー第2世代の筆頭とも言えるこの3人の組み合わせは、黄金期を支えた第1世代を超えた新たな、刺激的なシーンの形成を切に願うところ、その第一歩とも言えるこのセッションが、どのような方向性を提示していくのか、非常に興味深いセッションです。先ずは、ホストである壷井さんの MC で、メンバーの紹介を行い、自身の ERA での曲「Left Window」から、壷井さんと佐藤さんのこの曲での相性の素晴らしさは、先日の ERA with 佐藤でも既に実証済みであるが、そこに刺激的なリズムアプローチを取る立岩さんの Percussion が絡むと、また一層鮮烈な印象を受ける、1曲目から既にこのセッションが大成功であることを示すような素晴らしいパフォーマンス、途中、早くも壷井さんの弦が切れたのも、この熱い演奏を受けてのものと思えるほど。2曲目は、佐藤さんのライブに行ってらっしゃる方にはお馴染みのボスニアの民謡を Bojan Zulficalpasic が見事にまとめ上げた「Grana od bora」、佐藤さんの希望で、立岩さんにはタブラで叩いていただき、より東よりの色合いを指向し、佐藤さんのテーマ演奏で導入、3人とも曲想に沿ってよく歌っており、バルカンがインドと出会って、オリエンタル文明発祥までも思いを馳せてしまいそうな刺激的かつ原初的エナジー溢れる演奏が素晴らしかったですね。3曲目は、佐藤さんのオリジナルで、タイトルはギリシャの島から取ったとのこと、美しく爽やかな曲調で、冒頭の佐藤さんのテーマから、正にエーゲ海に浮かぶ絶景の美しい島を想起してしまうような美しい曲、この世のものとも思えない佐藤さんと壷井さんの美しい旋律の絡みに、立岩さんのダフがまた素晴らしく映える。そして、1部の最後は、立岩さんの Spiral Tones 時代のオリジナル曲、「The Fool」、アプローチそのものが既にインド様式で、かつ立岩さんの幅広い音楽活動が反映されたかのような難解な曲、そんな曲に超一流演奏者としての壷井さんと佐藤さんがどのようなアプローチを取るかが気になっていましたが、立岩さんのタブラにアイリッシュフレーバー漂うフレーズで壷井さんが絡み、続いて佐藤さんが、タブラの上で独自の解釈により、テーマを変奏しながらソロを取り、不思議な、新鮮な音像を構築します。それを引き継ぐかのように壷井さんが、テーマを変奏しつつ、やはり壷井さんならではのソロに昇華させていきます。その2人のソロを、時に激しく煽り、時に高らかに歌い上げ、そして常にリズムアプローチを変化させながら立岩さんのタブラが進行をサポートします。一瞬の濃密な世界と悠久のたおやかな世界が同時かつ多面的に存在するような素晴らしい楽曲と演奏でした。2部の幕開けは、アラブ系の曲「セマイ・ナハワンド」、リリカルなアラブ旋律が美しい曲で、3人の演奏の絡み合いが素晴らしく、途中からのテンポアップし、クレッシェンドしてゆく辺りが堪らなかったです。演奏後には、立岩さんのミニ・ダフ講座もあり、世界各国でのダフと同系の楽器の呼ばれ方や音の意味などを分かり易く解説していらっしゃいました。続いては、「曲が足りなかったので作ってきました」(by 壷井)との発言に空かさず「また、後ろ向きな...」と佐藤さんが突っ込んでまして、「3人で是非やりたいと思って作ってきました」と壷井さんが言い直してました。激しい展開で少々暗黒調な展開だったためか、演奏後に「今日は阪神が負けたよという曲でした」と壷井さん、それを受けて次の「Ripple」に「頑張れ巨人」と勝手にタイトルを変えてコールし、壷井さんに追討ちをかける佐藤さん、演奏と共に MC でも良いコンビネーションをみせています。そして、2部の本編最後は、東ヨーロッパに影響を受けた佐藤さんのオリジナル曲「East」、ブルガリア民謡の色合いが強く、ポチャで慣らした壷井さんと立岩さんは、当然のようにブルガリア独特の 11/8 拍子(西ヨーロッパ的 11/8 とは違う拍子)に合わせていく、佐藤さんも2人の反応の良さに、益々ディープなコード変奏で進行させていく、そんな3人による素晴らしき演奏を終え、当然のようにアンコール要請を受けて、壷井さんが準備してきたアイリッシュ・トラッドでライブの幕を閉じます。予想通りの3人の相性の素晴らしさ、この3人による第一歩、初演の場に立ち会えたことは、本当に心の底から光栄に思います。恐らく3人で今後もライブを行なっていってくれると思います。個人的には、そのままバンドにしてしまって欲しいぐらいでしたね。興味と機会のある方は、是非とも必ず有るであろう次の機会をお見逃し無く!


n.p. UA「SUN」