04/30(金) る*しろう/ピラルク/大文字@三軒茶屋グレープフルー

eiji002004-05-01

04/30(金) る*しろうピラルク/大文字@三軒茶屋グレープフルーツムーンに行って来ました。セットは以下です、

Opening:
吉田・菅沼ツインドラム

る*しろう:
1. ???(裏る*しろう: 金澤(g), 井筒(dr), 菅沼(key) )
2. くねり腰
3. いぬ
4. トルコの... ( Featuring 狩俣道夫(ss, fl, vo) )
5. 魅惑のハワイ旅行
6. 鳥
7. ヌマジックカーペットライドパ(マジックカーペットライドとヌマザパの Mix )

約55分


ピラルク:
即興

約25分


大文字:
1. プログレ第一楽章 (約22分)
2. プログレ第二楽章 (約12分)

大文字&る*しろう・ダブルトリオ:
3. プログレ第三楽章
4. プログレ最終楽章

約50分


変拍子ナイト番外編ということで、新世代フリークアウトバンド、る*しろう(金澤美也子(key), 井筒好治(g), 菅沼道昭(dr) )とプログレモンスタートリオ、大文字ホッピー神山(key), 吉田達也(dr), ナスノミツル(b) )の対バンが実現し、そこに沖縄からピラルクというギターデュオが加わる形での一夜、かなり濃かったです。オープニングは「8・8」レコ発ライブでゲスト参加したナスノさんの予告通り、オープニングから吉田・菅沼のツインドラム!吉田さんがヴォイスを絡めながら、攻撃的に展開をリードし、菅沼さんがそんな攻撃的な展開に巧みに合わせつつ様々なアプローチを試みます。いきなりオープニングから、予定調和を壊しまくりのイベントで、すっかり呆気に取られていると、2人のツインドラムを聴くために客席前方にいらっしゃってらしたと思われた金澤さんが、行き成りすくっと立ち上がったかと思うと、つかつかとステージに歩み寄り、井筒さんのギターを手に取ってストラップを回し、ギターを弾き始めました!そして、井筒さんが吉田さんに変わってドラムセットにつき、叩き始め、菅沼さんがキーボードにつきます。この時点でやっと気がついたのですが、各メンバーが楽器の持ち替えを行って演奏に入っているようで、金澤さんはすっかりその気になって、タッピングを絡めつつ思いっきり、チョーキングとグリスで煽ります。肝心の曲なのですが、る*しろうの演奏で聴いたことがある気がするのですが、タイトルが分かりません、ちょっと「ドイツの医者」のモチーフも使われた気がします。演奏自体は、ちょっとギコチないですが、十二分にサプライズとなりました。やはり予定調和はこの場には一切存在しないようです。金澤さんの MC によると、今後も編成を変えて、このような裏る*しろうでの演奏を行うそうで、今後のライブもどうなっていくのか楽しみです。続いては「くねり腰」、最近のライブで用いられ始めた4ビートでの導入で、非常に味のあるライブならではのアレンジと言えるでしょう。逆回転ものが2曲続き「いぬ」、この曲も逆回転サウンドと共に金澤さんのエレピが凄まじい展開をみせる良曲で、早くも 2nd でのレコーディングが待ち遠しくてなりません。続いては、ゲストとして、金澤さんが在籍しているタブラレス・サランギの狩俣道夫(ss, fl, vo)さんを呼び込む、どこかで名前聞いたことあるなぁと思っていたら、ポチャの立岩さんと愚弁で一緒に演奏されている方で、私、狩俣さんも演奏に加わっているビデオ「愚弁 LIVE Ⅲ」、しっかり持っていました。演奏される曲は「トルコの...」、シュールでアンビエントなこの曲に、狩俣さんが「赤いマントを着てみたいと思ったことは無いですか...」とヴォイスを絡めたり、ss をフリーキーに奏でていらっしゃいました。先日のレコ発に続き、ゲストとの競演で様々な色合いをみせる、やはり良い曲ですね。続くは「魅惑のハワイ旅行」、これまた 2nd 収録が早くも待ち遠しい素晴らしい曲で、金澤さんの想いが鏤められたそこかしこでキラキラと自己主張を繰り返す、チープな感じの不思議なフレーズが魅力的です。やはり、橋田壽賀子ドラマ的チェンバーという思いを更に強く持ちましたね、更に今回は個々のフレーズの深みが増したように感じました。そして「鳥」、もまた、不思議なフレーズと魅惑的な展開による素晴らしい曲で、ライブ映えします。最後は驚きの「ヌマジックカーペットライドパ」、2曲を半分くらいミックスしたとのこと、まだ未完成らしく、次回のライブでは完成する見込みのようです。途中、レイヤーを成すように2つの曲が同時に進行する箇所で、初めからこのように合わせられるべくして生み出されたように感じられました。完成形がひたすら待ち遠しいです。

続いては、ピラルク、ギターデュオのようですが、ノイズ系エレクトロニカの色合いが見て取れました。一人がギターをシーケンシャルにかき鳴らし、もう一人が、ヴォイスを絡めたり、エフェクトをいじってループを絡ませていくような感じで緩やかに、ノイジーに展開していきます。音響的には、折り重なる深い残響がお好きなようで、真っ暗闇の深海的な響きを感じました。また、途中から2人のギターを重ねる展開に入るのですが、その際に、琉球旋律的モチーフも使われてましたね。個人的には、もう少し、予想外の装飾音や深い深海的音像に切り込むような旋律等も絡めて欲しかった気がします。少々、展開そのものが単調であるように感じてしまいました。


トリは、大文字!この日は、ホッピーさんが映像を準備してきていらっしゃいまして「プログレといったら、シンメトリーってことで、いい感じの映像持ってきました」とのこと、本日の1曲目は、吉田さんのヴォイスが先行し、そこに警戒音のような音をホッピーさんが絡めた形でスタート、それを受けての吉田さんのドラムの展開が見事!いつもながら、とても即興とは思えない構築美で、また、ナスノさんの8ビートランニングもそんな吉田さんの見事なドラムにカッコ良く絡んでくるのですよね、ホント、この人達素晴らし過ぎです!しかも、不気味でシンメトリックな映像が絶妙に流されていて、もう、クラクラと眩暈に襲われる程の濃い空間が演出されます。ふっと音像が転換したかと思うと、吉田さんとホッピーさんのヴォイスによる絡み、またそれを受けるように演奏が艶やかに妖しく展開していきます。最後にヴォイスを絡めながらクレッシェンドして演奏を閉じますが、あっと言う間の22分、もう、この人達凄過ぎて表現する言葉が見つかりません。2曲目は、暗黒チェンバー風に不気味な音像でスタート、ホッピーさんの不気味なオルガン音を受けて、吉田さんが雰囲気を壊さない程度のファニーなフレーズを叩き、それを契機として、グルーヴィーなアップテンポへ、ホッピーさんがヴォイスを絡めて雰囲気を整え、フリーキーな電子音で煽ります。それを受けて、吉田さんが、一瞬、ワルツ風にリズムチェンジして、受け流しそうに見せかけつつ、ホッピーさんを煽るようにリズムチェンジし、素早くホッピーさんが、またフリーキーな電子音にて吉田さんの要請に応えつつ、演奏を締めます。

ここで、ホッピーさんが「それではこっからはダブルトリオで!る*しろうに大きな拍手を!」とる*しろうの皆さんを呼び込みます。ナスノさんが井筒さんと並ぶようにおどけて「なんか似てるよねー!」と2人が似ていることを観客にアピールすることを契機とするように演奏がスタート、そんな和やかなスタートにも関わらず、いきなり吉田さんが、真っ先に先陣へ切り込むように、攻撃的な怒涛のフレーズで展開をリードします。それに合わせるように叩きつつ、展開を変えようと契機を作る菅沼さんを無視するように繰り返し攻撃的なフレーズで叩きまくる吉田さん、かなり突っ走っていらっしゃいました。そんな1曲目に触発された狩俣さんが、慌てて楽器ケースから fl を取り出し、2曲目からは狩俣さんの fl とヴォイスも絡めた形で恐ろしいまでのフリーキーな即興演奏を展開してました。途中、どこから入ろうか契機を掴みかねて、探るように伺っていた井筒さんの表情が、このダブルトリオ+1の凄まじい演奏を物語っていたようにも思えます。この奇跡的な出会いの場に立ち会えた幸せとそんな素敵な場で素晴らしい演奏で魅了して下さった出演者の皆様に深い感謝を捧げたいと思います。


n.p. 大文字「Improg」