04/13(火)松原東洋(舞踏), 高岡大祐(tuba), Kimmo Pohjonen(acc)

eiji002004-04-14

04/13(火)松原東洋(舞踏), 高岡大祐(tuba), Kimmo Pohjonen(acc)渋谷gabowl に行って来ました!

即興音楽空間 ★barr vol.11★ と言うことで、昨年7月より、音楽を聴く人、演奏する人が渾然一体となった新しくて懐かしい音楽空間を作る実験の場として、渋さ知らズの tuba 演奏者として知られる高岡さんが月一で試みているイベントに、今回初めて音楽家でない表現者として、舞踏家の松原東洋さんを招き、さらにスペシャルゲストとして、Kluster TU で来日していたフィンランドアコーディオン奏者、Kimmo Pohjonen を招いた奇跡のセッションが、信じられないことに実現してしまいました!

そしてなんと、90分1本勝負(完全即興)でした!

事前より機材の搬入の問題があると聞いていたのですが、行ってみて納得しました。Kimmo は、なんとセルフ卓(サウンドプロセッサと卓を 80cm x 80cm ぐらいの専用トランク×2に収納)を持ち込んでおりまして、ボタンアコーディオンから、ペダル類(6種類ぐらいのスイッチャーとヴォリュームペダル)を一体化させたモジュールにつなぎ、直列につないだ2台のマルチエフェクトを経由してコンソールへつないでいました。さらにヘッドセットタイプのマイクは無線で飛ばしてコンソール接続しており、到着して30分も経たないうちにセッティング、サウンドテストを終えて、涼しい顔をしていました。見ているこっちは、開演前から、呆気に取られっぱなしです。高岡さんは、通常のマイクロフォンとタッチマイクの2系統で tuba から音を拾い、ヴォリュームペダルからマルチエフェクトを経由して、コンソール接続。ブースター等が無いため、ゲインがちょっと足りなくて、サウンドチェックに手間取っていたようですが、何とか無事サウンドチェックを終えます。ステージ向かって左に Kimmo が、3m x 3m の舞台を挟んで、右に高岡さんが配する形、21:00 をちょっと回った頃、高岡さんから、冒頭の挨拶として、メンバー、イベントの趣旨の紹介等があり、即興演奏をスタート、まずは、Kimmo がテーマをアンビエントに変奏し、高岡さんがそれをサポートするようにサウンドを重ねる形で進行しますが、いきなり2人の生み出すサウンドに愕然としました!明らかにアコーディオンの表現可能性を一歩も二歩も拡張し、完全にコントロールされた Kimmo のサウンドが、これまた tuba の表現可能性を拡張した高岡さんのサポートを得て生み出される音響空間の壮大さと繊細さ、とても2人で演奏しているとは信じられないオーケストレーションを生み出しています。本当に美し過ぎる程に美しいチェンバーの音像です。暫らく経ってから、東洋さんが、白塗りに継ぎ接ぎの着物を羽織った形で、店内後方より現れ、バーカウンターに立ち、乗り越え、客席中央のテーブルを緩やかに舞いながら超えて行き、ステージ中央の舞台に立ちます。2人のオーケストレーションを受けた形で、その舞によりストーリーを瞬間的に紡いでいっています。裸電球を青や黄色のセロハンで覆った照明も巧みに用いながら、表情を含む体全体でその表現を溢れんばかりに吐露し、時に音楽に沿って、時に静止して、表情のみで表現したり、彫像のように屹立してこの空間を彩ります。演奏を開始して、30分を過ぎた頃、激しく演奏がクレッシェンドし、Kimmo が呪術のようでもあり、神聖なる古代の祝詞のようでもあるヴォイスを、これまたエフェクトを巧みに凝らしながら乗せてきます。高岡さんもディレイとエコーを巧みに用いながら、パーカッシヴに tuba を叩き、マジックの如き音を鏤めます。凄まじいばかりの演奏を受けて、東洋さんが舞台を降り、舞いながら、客席内に入っていきます。再び現れた東洋さんは、今度は同じ白塗りにエメラルドグリーンの艶やかな内掛けを羽織る形で登場し、舞台にて再び舞い始めます。60分を過ぎる頃にも、3人の生み出す即興空間のテンションは全く衰えず、見守っている我々には、ホンの一瞬のようでもあり、悠久の時を経たようでもある不思議な感覚に包まれ続けています。最終的に、演奏を始めて90分を過ぎようとする頃に、演奏を終えるのですが、当然のように、この3人の才能が、交流し、共に築き上げた素晴らしい即興空間に向けて、嵐のような拍手が店内を支配します。素晴らしいパフォーマンスでした、この感動的な空間を生み出して下さった3人の演者と関係者へ、限り無い感謝を捧げ、レポを閉じたいと思います。


n.p. Kimmo Pohjonen「KLUSTER