Prog Power USA Ⅳ@Atlanta, GA

Prog Power USA Ⅳを見に、Atlanta 行って来ましたのでご報告まで。

この ProgPower USA Ⅳ( http://www.progpowerusa.com/ )は、タイトルにも有るように 1999年から開催されており、今年で5回目、本場と言えば、オランダの方で行なわれている ProgPower Europe( http://www.progpower.com/pp_europe/index.htm )の方ですが、そのアメリカ版と言ったところです。世界中から Progressive 指向を持った優れた HR/HM 系バンドが選りすぐって一同に集められるイベントで、今年は、REDEMPTION, MERCENARY, VANDEN PLAS, NIGHTWISH, SYMPHONY X, PAGAN'S MIND, SECRET SPHERE, CIRCLE II CIRCLE, EVERGREY, RAGE の計10バンドが2日間に渡り熱い演奏を繰り広げてくれました。会場は、アメリジョージア州アトランタの EarthLink LIVE( http://www.earthlinklive.com/ )、近いところで言うと、KANSAS の DVD「Divice - VOICE - DRUM」が収録された VENUE ですので、そちらでご覧になった方もおられるでしょう。勿論、演奏が素晴らしいのは勿論のこと、USA では、協賛企業のバックアップもあってか、その他、AUTOGRAPH SESSIONS と称して、参加バンドのサイン会が、ステージ転換の合間に会場の一角で行なわれます。それも、公式ガイドブックに、参加バンドのインタビューが載っており、そこにサイン欄がしっかり確保されている形で、スタンプラリー風なゲーム形式として参加者の熱を煽るような嗜好が凝らされています。また、SHOWCASE SAMPLER として2枚組の公式サンプラー、協賛企業である CENTURY MEDIA からのサンプラー等も併せて配布され、非常に楽しめる要素が嗜好を凝らせて盛り込まれている一大イベントとしてショーアップされています。また、Laser's Edge や Century Media が、会場内に出張店舗を立てて物販を行なっており、信じられない種類のバンドTシャツやCDが販売されて、満面の笑みでこれらを山ほど抱え込んでいる観客が多く見られました。急がしそうでしたので、声を掛けられなかったのですが、メガネで髭をたくわえた物腰柔らかそうな方が Laser's Edge の店舗で物販を行なっていましたので、恐らく Ken Goldman 本人では無いかと思われます。そんなイベントのスケジュールは以下のような感じ、

  • BAND SCHEDULES:
  • Sep 5th, FRIDAY:

REDEMPTION: 5:30 - 6:15
MERCENARY: 6:45 - 7:30
VANDEN PLAS: 8:00 - 9:00
NIGHTWISH: 9:30 - 11:00
SYMPHONY X: 11:30 - END

  • Sep 6th, SATURDAY:

PAGAN'S MIND: 5:30 - 6:15
SERCRET SPHERE: 6:45 - 7:30
CIRCLE II CIRCLE: 8:00 - 9:00
EVERGREY: 9:30 - 11:00
RAGE: 11:30 - END

  • AUTOGRAPH SESSIONS:
  • Sep 5th, FRIDAY:

SYMPHONY X: 5:00 - 5:30
PAGAN'S MIND/SECRET SPHERE: 6:15 - 6:45
RAGE: 7:30 - 8:00
CIRCLE II CIRCLE: 9:00 - 9:30

JON OLIVA: 6:15 - 6:45

  • Sep 6th, SATURDAY:

REDEMPTION: 6:15 - 6:45
VANDEN PLAS: 7:30 - 8:00
MERCENARY: 9:00 - 9:30

RAY ALDER: 6:15 - 6:45


では、本編へ、先ずトップバッターは、REDEMPTION です。個人的に最も期待を持って臨んだ関係上、一番詳しくなってます(^^); Set-List から、

SE
1. As I lay Dying
2. Desperation, Part Ⅳ

    • M.C -

3. New Song

    • M.C, Ray Alder came in as guest vocal -

4. Desperation, Part Ⅱ

    • M.C -

5. Window To Space
6. Desperation, Part Ⅲ
7. Desperation, Part Ⅰ

    • M.C -

8. Synchronicity Ⅱ

勇壮な SE に伴われ、幕が開くとメンバーが次々と現われ位置につきます。演奏が始まったところで、Vocal の登場、1曲目は「As I Lay Dying」、アルバム版では、Mark Zonder のドラム展開をリスナーに堪能させる為、周りの演奏は少し音圧薄めにまとめる展開となっていましたが、今回はライヴ向きアレンジとして、ギター2本とベースと Key、更にはヴォーカルもより厚みのあるハイトーンとして、音塊でオーディエンスに先制パンチを喰らわせるかのようなアレンジで持ってきたようです。ただ、一つ問題は、会場の PA で、ステージに向かって右側の4連スピーカーのヴォリュームが明らかに大き過ぎます。通常の音も少し潰れた感じになってしまう状態で、REDEMPTION の音塊に耐えられる筈もなく、度々泣くスピーカーの悲鳴がかなり耳障りで、気になってしまいましたね。続く「Desperation, Part Ⅳ」も明らかにアルバム収録版とは違うアレンジで、「As I Lay Dying」を受けた形でまとめてきています。やはり、同日のトリで SYMPHONY X が出演する為、Nick に「彼のスケジュールが空くのを待ってアルバムの録音を始めた」と言わしめた Jason Rullo の不参加は痛いと言わざるを得ないでしょう、彼ほど、Guitar や Key の弦の響きやオーケストレーションが引き立つように、ドラムの音色、出音、展開を演出できるプレイヤーは居ませんからね。その中で Nick は、1st の再現ライヴと言う形に見切りをつけ、今回のメンバーで、ライヴとして楽しめるように全体構成を練ってきているのだと実感しましたね。続く曲は新曲とのことで、やはり、前2曲を受けたような形の曲で、恐らく、2nd Album は、よりこう言ったライヴでのアグレッションを指向した方向性になるのでは感じさせる新曲です。これもライヴを体験したことも有って、また、より一層、REDEMPTION の 2nd が楽しみになりりましたね。そして、「Ray Alder !」のコールを受け Ray が登場すると、もう会場は一体となって、凄まじいばかりの歓声で迎え入れます!曲は勿論「Desperation, Part Ⅱ」、流石としか言えないニュアンスの付け方で、圧巻のヴォーカルを見せつけてくれました。再び Corey Brown がヴォーカルを取って「Window To Space」へ、この曲の後半は、個人的に RUSH へのオマージュパートと認識しているんですが、その辺りも今回のライヴ向けアレンジで大きく様変わりしていました。しかし、最も心惹かれたのは、「Window To Space」〜「Desperation, Part Ⅲ」の繋ぎでして、この繋ぎの余りの美しさに自然に涙が流れていまったぐらい個人的には感動しました。そして、ここで一旦、ライヴをまとめ上げるかのように「Desperation, Part Ⅰ」を持ってきて、そのアグレッションとライヴ向けアレンジでまとめ上げた後、Corey の「次は Police の曲で...」の M.C に個人的に狂喜乱舞してしまいました!この「Synchronicity Ⅱ」は、1st に収録する為、録音され、MP3 で一時期オフィシャルに上がったにも関わらず、最終的にアルバムにも収録されず、ボートラとも成らず、突然何も無かったかのようにオフィシャルから姿を消した曰つきの楽曲でして、恐らく A&M からのクレームで待ったがかかったものと思われます。しかも、1st に収録された楽曲には、多くの Prog Metal Band に対するオマージュパートが存在しますが、この曲だけは、元々、カバーとして録音、収録しようとしていました。個人的な想像に過ぎませんが、それだけこの曲の持つ、音像における空間的対比、その音空間のコントロールによる心理的効果がまさに 1st で Nick が指向しようとした方向性を的確に示していたと思っています。素晴らしいカバーで幕を閉じてくれました、やはり、Nick van Dyk は、才気溢れる素晴らしいコンポーザ、エンジニア、プロデューサ&プレイヤーであることを改めて見せ付けてくれたライヴでした。

MERCENARY は、Prog Metal 色の強い Death Metal なんですが、Vo に Death Voice は使っていません。割と SOILWORK に影響受けているような気がします。しかし、SOILWORK 程アグレッションは高くありませんで、ゴシック的な雰囲気作りも上手い形で取り入れているようです。安易に女性ヴォーカルを取り入れることなく、男性コーラスの入れ方、響かせ方で工夫して、雰囲気作りを志向しているようで、とても楽しめました。

VANDEN PLAS は、厳かな S.E とは対照的に、メンバー各自がバラバラな統一感の無いファッションで、それぞれが勝手気ままな感じでステージ上に散らばりました。「お前等コアバンドかっ!」が第一印象です(^^); しかし、メンバー各自がバラバラな方向を見ながら突然始めた演奏を聴いたとき、愕然としてしまいました。聴かなきゃ良かったと思うぐらい、化物級に上手いバンドですね。結果的に出てくる個々の楽器の音一つ一つ、バンドとしての音一つ一つが、一切の不安定な要素もなく、完璧にコントロールされているのですね。通常、機械で正確に出した音も、原音としては正確だとしても、その途中経由するエフェクターやアンプの特質、性質によって、揺らぎやブレが発生し、結果的な音としては不安定な要素が発生するのは当然な事なのですが、それが彼らの演奏においては、トーンチェンジをしようが、エフェクトを変えようが、一部の狂いも無く完璧にコントロールされた音以外が全く出てこないのです!考えられるのは、ピッキングニュアンス、タッチ、叩き分け、それぞれを結果として出てくる音のフィードバックを正確に得つつ、信じられない精度でコントロールしているとしか考えられないのです。途轍も無い拘りと、完璧主義を貫くリハ、PA スタッフとの徹底した意思疎通を経て、初めて出せる音と言う印象が強いですね。コントロールされた音のみで演奏を行なうという意味において、現在最高峰のバンドではないかと思います。こんなの聴かせられちゃうと、「音楽はテクニックじゃない」と思いつつも、トーンコントロールミスやピッチミス、有ってしかるべきの他のバンドの演奏のムラが気になってしまいますね。嫌な物聴いちゃった印象を持ちました。恐らく、統一感の無いバラバラなファッションも、この演奏を引き立たせる為の意図的な演出でしょう、こんな変質狂的な演奏をこなせるのもドイツ人だからこその印象を持ちましたね。

NIGHTWISH は、本当はトリの筈なのですが、バンドが翌日の朝早く Finland に帰国する為、バンドの希望でこの位置です。ドラマティックなメロディアス・パワーに綺麗な女性オペラヴォーカルを加えた形ですが、ターヤの発する美しきヴォーカルと神秘的なオーラは、半ば宗教じみた異様な盛り上がりを聴く者にもたらし、会場全体を NIGHTWISH 一色に染め上げました。ターヤのお色直しは計2回、スケスケのシルク系を基本としながら、スーツタイプやドレスタイプへと次々と変えていたようです。お色直しの間、他のメンツで、オジーの「Crazy Train」なんかもやってました。

SYMPHONY X は、2枚組ライヴアルバムのまんまと言う印象を持ちましたね。おっ、「Grass Prison」のカバーかと一瞬思ってしまう例の曲も、ライヴで聴くと、また違った面等も見つかりますし、やはり、Jason Rullo のドラムは、その脇役に完璧に徹している辺りが堪りませんね。しかし、如何せん疲れました...(^^); 多くの SYMPHONY X ファンには申し訳無いのですが、疲れの為、途中退席してしまいました(^^); 結局、次の日、聞いたところによると、しっかり1時間30分演奏した後に、アンコールで「The Odyssey」をまるまる20分やったようです、聴きたい気持ちは山々でしたが、残って聴いていたら、倒れていたような気がします(^^);

という訳で、1日目終了。

2日目は、

1日目にも増して予想以上に濃かったです。先ずは、

PAGAN'S MIND、2nd を聴いた時には、個人的にイマイチだったんですが、ライヴ見てガラリと印象が変わりました。ここ、ドラムがかなり良いですね。Dark Power 的なギターと Sympho 的な Key の間をダイナミズム溢れる空間的なドラムが縦横無尽に走りまくり、構成される音像は、スペイシーでありながら冷たく、氷の惑星を想起させるようで、かなり楽しめました。タム使いなど随所に Mike Portnoy の影響を感じますが、フォームの綺麗さから言うと、Neil Peart から直接の影響かも知れません。また、かなりユニークなシンバルワークも非常にビジュアル的にも映えました。帰ってきて、改めて 2nd 聴き直しているんですが、ライヴ体験後は、かなり楽しめています、やはりドラムが良いですね。

SECRET SPHERE、もう初っ端からベタのイタリア風味でした、Vocal は見るからにナルシス入ってますし、行き成りステージに入って来る時から両手にアメリカ国旗とイタリア国旗を結びつけて、両手を振って交差させるパフォーマンス辺りから、既に突っ走りまくりで、半ば観客を置いていって暴走している感さえ伺えます。途中の MC でも、「次の曲をここにいる全ての女性に捧げます」とかやってまして、男のファンは要らないらしいです(^^); と、ステージパフォーマンスが先行する形ですが、Key のいかにもイタリア風なフレージングや、女性コーラスを配してのオペラティックな音楽的演出もなかなか優れていますし、やはり、ここに出てくるだけあって、音楽性そのもののレベルは高いように見受けられました。しかし、個人的には完全に引きまくってしましましたが(^^);

CIRCLE II CIRCLE、行き成り予定時間10分前に厳かな SE を伴ってステージが幕を開け、休憩していたアリーナ立ち見の観客は慌てて戻ったような形です。メンバーの演奏に合わせ、ザッカリーが登場しただけでも会場の盛り上がりは、半端ではありませんでした、もうこの人のステージングと言うか、ライヴでの雰囲気作りは、半ば神懸かってますね、まさにカリスマ!1曲目は Circle II Circle のアルバムからでしたが、2曲目には、何の断りも無く「ガタバレッ、ガタバレッ」とかやってました...で、終了後に「次は新しいアルバムから」って、("";)バキッ☆\(--;) Circle II Circle は一枚しか出してない新人バンドやん!と突っ込みたくなる気持ちは、会場の多く人が抱いたことでしょう、その後も出るわ出るはの SAVATAGE の曲、やはり CIRCLE II CIRCLE は、実質 SAVATAGE ですね。終いには、Jon Oliva が Guest Key で入ってきて、怒涛の Sava World ! 勿論、「Sesus Saves」もしっかり Jon Oliva を加えて演っていました。という訳で、予定の1時間を15分超える感動のライヴが幕を閉じました。 CIRCLE II CIRCLE のステージに関して言えば、WACKEN 目じゃ無いっすねっ!最高でした!!

EVERGREY、個人的にはこのスロットは EVERGREY には辛いんじゃないかと思っていましたが、さに有らず、US での彼らの人気ぶりは、かなり凄まじいですね、彼らも、ライヴで初めてやる曲を結構盛り込んで、ProgPower USA Ⅳ向けの Special Set-List を練り込んできたようです。3日前のシカゴ公演から付いて来ているファンが、ちょっとボヤキつつも、かなり嬉しそうでした(^^)

そして、ラストを飾るのは RAGE、3ピースでの音の厚みとアグレッションには定評のある20年選手ですが、ちょっと、主催側の先取り(最近の Prog Metal シーンのシンプルなアグレッションへの揺り戻し)を見越してのブッキングだと思うのですが、少し先走り過ぎた感が有りますね。かなりの客が、トリを見ることなく帰って行ったようで、アリーナ後方には隙間が出来てました。しかし、中には濃いファンがいて、その空間を利用して一人モッシュで暴れまわっていました(^^); 流石、US では数少ない濃い RAGE ファンと言った感じでしたね。

という訳で、なかなか濃い2日間を過ごしてきまして、かなり楽しめました。チケット代、旅費、滞在費、全てひっくるめても、15万円を切る感じですね。安く上げようとすれば、10万円も切れますので、興味と機会のある方は、来年、是非 ATLANTA でお会いしましょう!