Jan 19th, 2002 Eric Johnson & Alien Love Child @ Hollywood, CA

Jan 19th, 2002 Hollywood, CA ROXY THEATRE で行われた Eric Johnson & Alien Love Child のライヴレポです。

セットリストは以下、

1. Zenland
2. Bloom
3. Friends
4. Trademark
5. Trail of Tears
6. Venus Reprise
7. 40 mile town
8. Elevator Sky Movie
9. New Song(Country Base)
10. Look out, Look In (Tribute to George Harrison)
11. Rain
12. Last House on the Block
13. SRV
14. Righteous
15. Your Sweet Eyes
16. Desert Rose
17. Shape Im in
Encore -
18. Cliffs of Dover


ここ、West Hollywood は、ビバリーヒルズの北側、丘の中腹に位置し、東西に伸びる Hollywood Blv の一区画南側に並行して走る Sunset Blv が、Hollywood Blv を越えて更に西側に伸び、丘にぶつかり、南に迂回した先にあり、この高台からの南東に位置するダウンタウン、南下に見えるビバリーヒルズの夜景がとても美しく、約1年ぶりに会えるであろう、今夜の EJ のギタートーンを想起させ、嫌が上にも期待は高まりました。この辺りはライヴハウスが多く、そこかしこのライヴハウスでライヴが行われており、Hollywood に近いため、Tatoo 屋さんの多さが目に付き、如何にも Rock 系と思しき人々でごった返していました。会場となる Roxy Theater は、外から見ると小さく、ちょっと古ぼけたライヴハウスで、看板となる ROXY の電飾も、派手でチープなもので、えっ、既にグラミー常連とも言える EJ がここで?という感は否めませんが、小屋に掛かった Eric Johnson & Alien Love Child の文字が間違い無く書いてあり、ALC「Live & Byond」の背景をバックに EJ のアップが嬉しいポスターが張られているため、どうやら間違い無さそうです。会場の入り口に立っていると、中のリハの音が漏れてきて(漏れるレベルは越えて、完全に聴こえてました(^^);)、更に期待は高まり、湧き上がる興奮を抑える事が出来ずにいると、何時しか待っている人の列が長蛇の列として、Sunset Blv 沿いに連なっており、更にショウの始まりが近づいていることを物語っていました。会場に入ると、中はせり出した低いステージの前が、50㎡ぐらいのフロアになっており、そのホールの後方に 50cm 程の段があり、テーブル席が配置、更に同様の段とテーブル席が配置され、テーブル席は全部で100席程度、ステージ向かって右手の壁沿いにバーカウンタがあると言った感じでした。ステージが低いこともあってか、見た感じ如何にもな機材好きな人達はステージ最前列に陣取っており、私は、その後方の3列目、ちょっと Chris 側(ステージ向かって中央右側)に決めました。入場後、20分程過ぎた PM 7:50、幕は閉めたまま、ステージのせり出し部分を使って、オープニングアクトが演奏の準備を始め出しました。どうやら3ピースらしく、白のストラトを携え、革のパンツに黒のシャツ、黒のテンガロンで SRV を意識したかのようなギター、何故か Kieth Richard のTシャツにプレジョンを持ったベース、マーカスミラーに良く似た風貌のドラム、そして、ギターのトリルから演奏が始まりましたが、やっぱりそうきたかと思わずにはいられない、ブルースベースでゴリ押しのギターを中心としたバンドでした。ギターが SRV を意識しているのは明らかで、それにしてもカッティングのダウンストロークが強過ぎて、アタック音は良いものの、ここまで力を入れると同時に発生するノイズが気になってしまいます。2曲目にはヴォーカルも披露してホワイトブルース的ないい味は出してました。一番良かったのは3曲目で、ブルースを基調としたバラードですが、指とピックを同時に使ったピッキングは Danny Gatton を彷彿とさせ、非常にいい味を出していました。そして最後の4曲目、ドラムとギターとのヴォーカルデュオが素晴らしいパワフルなナンバーで閉めました。そこからのセッティングが異様に長かったです。45分程待ちぼうけをくらってしまったのですが、ステージが低く、エフェクタや配線、その他のセッティングが手に取るように分かるため、最前列に陣取る機材好きな方達には堪らない時間だったようです。私の位置から見えたのは、EJ が日本公演時にも使用してた円形のワウペダルが組み込まれたエフェクタ群、そこからステージ前面に配したハコを経由してアンプに配線が行っており、そのハコからちょっと小さなイコライザーを配したような卓が出ていました。CM のエフェクタ群は Roland のフットペダルを経由してアンプに配線が伸びており、このフットペダルで切り替え、調整を行っていたようでした。日本公演でも見かけた巨体の兄ちゃんが、EJ のストラトを持ってきて、各エフェクタのチェック、トーンのチェック、ハウを起こす位置を探ったり、フィードバックの掛かり具合を入念にチェックしていました。同様に CM のフェンダージャズベを持ってきて、チェックを行い、十分に時間を掛けて、納得の行くまでセッティングを行っていましたが、それもそのはず、ステージを見渡すと、どう見ても 30年以上経過したような骨董品とも言えなくない機器で構成されており、これらの機器を手懐けるのは並大抵のことではないはずで、更に、EJ の”あの”トーンをライヴで再現させようとしているのだから、時間の掛かるのは仕方が無いのだなと妙に納得させられる光景でした。そして予定時間を完全に過ぎたPM 8:55、会場内が暗転となり、ベースを抱えた CM がステージ向かって右手に、BM が後方のドラムセットに腰を落ち着けると、ペンライトで足元を照らされた EJ がストラトを抱え、ステージ中央に出てきました。マイクに掛けてあったプラグをつなぎ、徐に抽象的なフレーズを展開したかと思うと、一気にステージが照らされ、すかさず1曲目の「Zenland」が始まりました。EJ は日本公演時の短髪をそのまま伸ばしたような、ちょっとボサボサ気味の髪、カーキ地に7色の縦ストライプのパンツ、黒のTシャツに黒のワイシャツで始めから少しにこやかな笑みさえ浮かべ、CM は EJ とは対照的に日本公演時の顔が見えないくらい長かった前髪を少し短めに、黒の革パンに黒のTシャツ、そして俯きがちだった日本公演時と違って、いきなり真正面を向いている!BM は少し低めにセッティングされたドラムの上から、いつもの笑顔を見せ堅実且つ温かみのあるドラミングで演奏全体を支える。少し、EJ のギターがハウッたが、すかさず、ステージ前面のハコにて調整して音を立て直す、何より驚くのは CM のベースの音の良さ!日本公演時より、明からに磨かれた音で、ここまで音の良いベーシストはちょっと思いつかない、フィードバックも絶妙な取り方、所々のチョーキングは直接心を抉るように突き刺さってくる。2曲目「Bloom」では、EJ の噂のヴォーカルチャレンジは無く、インストで閉める。そして3曲目は「Friends」、何時の間にか手にしたスライドバーが軽やかにフレットを滑り、美しい音が生み出され、そして、まるでマジシャンのようにスライドバーを暗闇に消してしまう。まだ完全では無いものの、3曲目にして既にヴォーカルが立ち上がっている、更に思わず我が目を疑ってしまったが、EJ が情感たっぷりに、訴えかけるようにヴォーカルを取っている、そしてコブシまで絡ませてくる!ステージングも日本公演時に比べると派手なアクション(一般的にはそうでもないですが、EJ がすると驚いてしまいます(^^);)を取って見違えるよう、音自体も信じられないクオリティで、気のせいか日本公演時より良くなっている気がする。このレベルの音のクオリティで更に完璧を目指し続けるアーティスティックな探求心には正に感服で、流石と心より拍手を送らざるを得ません。そして3曲終ったところで、いきなりの MC、ある人に捧げられた曲として「Trademark」、そして思わせ振りな態度でスペシャルなマジックドラゴンバージョンでと強調され「Trail of Tears」を紹介、相変わらず素晴らしい Trademark、EJ のソロも良かったけど、それを煽る CM のベースがまた堪らない、この人のベースの良さは天性のメロディセンスと、恐らく多くを EJ から学んだベースの音のよさ、それもその筈、EJ の音の拘りと飽く無き探求は、一般人をすら魅了し、虜にさせるのですから、況や才能あるミュージシャンが刺激を受け、短期間に大きく成長しない筈がありません。そして続けて「Tail of Tears」、日本公演でも是非とも演奏して欲しいとの声があがった曲、それもライヴで演奏する上では、ヴォーカルのハイトーンが必要なため、EJ のヴォーカルの調子が良くないと演奏されないでしょう、逆を言えば、この曲をやると言う事は、それだけ EJ のヴォーカルの調子が良いのでしょう、それは言わずものがなで、一聴して、この日の EJ のヴォーカルの調子が良いことが窺い知れる素晴らしいハイトーンでした。更にギターソロの気合の入り方がまた凄い、ヴォーカルの調子の良さが後押ししているのか、飛んでました(^^); 最後のフェイドアウトを、高速フレージングで閉める辺り、素晴らしかったです。気合が入りまくった EJ は、早くも汗をかいている様子で、シャツを脱ぎ捨て、CM と同じ、黒のTシャツ姿となりました。そしてまたまた、EJ の MC、Venus Isle からと言う EJ の言葉に続いて、海岸に打ち寄せる波の SE、曲は勿論「Venus Reprise」美しきギターの調べに心は既に持っていかれてます。空かさず持ってきた曲は「40 mile town」、哀愁の調べと絶好調の思い入れたっぷりなヴォーカルで、穢れた心を洗い流し、疲れた心を癒してくれるようです。続く曲は「Elevator Sky Movie」、この曲における EJ と CM のどこまでも高く、高く上がっていくかのような掛け合いが堪らなく好きです、2人の向かい合って演奏しているときのアイコンタクトとフレーズコンタクトが見ているこちらにも伝わってくるようです。本日は軽快な MC を連発する EJ より、次は新曲で、まだ曲名は決まって無いんだけど、結構前から出来上がってはいて、カントリーをベースにした曲です、の言葉に続いて演奏された曲は、カントリーベースと言えば、確かにカントリーなのですが、割とポピュラーとなっている軽快なノリのそれでは無く、ホントにベタッとしたファニーな曲調で、リズムの裏を重めにシャッフルした感じが後ノリを強調し、このノリで入れてくるとは考えられない EJ のフレーズが意表をついていて楽しめます、これは次作(ALC としてか Solo としてかも気になりますが(^^);)の一つの方向性なのかもしれません、間違い無く新たな新境地であることは確かです。そしてまたまたマイクを取った EJ により、ジョージ・ハリソンに捧げる曲としてコールされたのが「Look in, Look out」、EJ のヴォーカルがここでも力強く展開され、GH に対する尊敬と感謝の意が良く込められていたように感じました。続いて、ギターを ES に変えつつ MC を取り、その中でグラミーについて触れ、テキサスが生んだ偉大なグラミー受賞者として EJ により、CM がコールされ、ちょっとテレ気味の CM に対して、オー、グラミー、オー、グラミー・ボーイ!とか言いつつ、CM を茶化す EJ は、まるで子供の様で、その無邪気さが良く現れていて、後ろで温かい笑みで2人のやり取りを見つめる BM と共にとても雰囲気が良い感じでした。そして、Chris による「Rain」と EJ にコールされると、CM にスポットが当たり、思い入れたっぷりな「Rain」が演奏され、途中の間奏にては、2人が向き合い、お互いのフレーズで会話をしているように演奏が行われ、その2人の演奏を大らかに包み込むような BM の柔らかく温かいドラムが印象的でした。そして、空かさず、演奏された曲は「Last house on the block」、もう、この曲の頭のフレーズだけで観客の興奮は最高潮に達し、狂喜の歓声が辺りを支配します、勿論、EJ の気合の入り方も半端なものではなく、見ているこちらにまでビシビシ伝わってきます。そして、そのノリを高めに高めたジャムパートが、当然ですが、恐ろしくなるぐらい素晴らしかったです。EJ のフレーズも昇降フレーズを繰り返しながら信じられないスピードで流麗に展開し、それに輪を掛けて信じられないのが、その EJ のフレージングとベースで対等に渡り合う CM のプレーで、見ている我が目を疑う素晴らしさです!目の前で見ているのに信じられないません!同音異弦をスキップしつつ展開される恐ろしいまでに早く正確な指によるピッキング、生み出される至上のメロディとハーモニー、パッション、それらは、EJ との掛け合いでどこまでもどこまでも高みに上り続けるようで、完全に茫然自失してしまって、目の前での起こっている事をただただ追っていくだけしか自分には許されて無いように、完全に時の過ぎ去るのを忘れていると、EJ と CM が目配せし、後ろでこれまた、凄まじいドラミングで2人の掛け合いを煽っていた BM にアイコンタクトし、通常パートに戻りました。これぞ、ALC の真骨頂であることは言うまでもありません、とにかく素晴らしかったの一言です。EJ が、ストラトにギターを変え、その後ろで代わりに BM が Stevie Ray Voghan へ捧げる曲として「SRV」をコールしました。ここで、EJ は明らかに SRV を意識し、トーンは EJ のトーンながら、スライドバーでニュアンスをつけ、ヴォリュームを高めに、ピッキングを強めに、そしてミュートさせての空ピッキングを交えながら、SRV への思い入れたっぷりな演奏を見せてくれました。そして、「Righteous」、「Your Sweet Eyes」、「Desert Rose」と曲は続き、冴え渡る3人のプレイが完全に会場の空気を支配します。甘く切ないこれらの曲で、全ての聴衆がうっとりと時間が過ぎるのも忘れて聴き惚れているこの空気、これを共有できる喜びに満たされ、いよいよ近づいているであろうライヴの終わりがこのまま来て欲しくないという想いに満たされました。しかし「Shape I'm in」です、またもや向かい合う EJ と CM が熱いジャムセッションを展開し、BM が笑顔でいながら、タイトなプレーで2人を煽り続けます、熱狂が渦巻く中、EJ がもう一度、CM と BM をコールし、楽屋裏へ消えていきます。ふと、時計に目をやると、時間は、2度目のステージの開演予定時間である PM10:30 を既に回っています。しかし、ここでまだ納得できない観客は悲痛の叫びでアンコールを要請し、それに応え、EJ がストラトを片手に暗転のステージへ現れます。そして、徐に、何かを探すような抽象的なフレーズを奏で続け、何かを見つけたと思われた瞬間、トーンがガラッと変わり、「Cliffs of Dover」へ、もう観客の歓声で会場内は満たされ、EJ のフレージングに合わせて体を激しく揺らし、狂喜の叫びがそこかしこから飛び出します。ここで、大きくハウリングを起こしますが、EJ が落ち着いて場所を探し、ギターを弾きつつ、片手で、ステージ前面に設置してあるハコの抓みを調整し、ハウリングを押さえ込みます。そこからの展開がまた素晴らしく、ステージ横で(時間を)心配するスタッフをよそに、CM、BM と何時果てるとも無く続くかのように演奏を続け、最後の最後まで観客を楽しませてくれ、本日、3度コールされた CM と BM と共に EJ が楽屋裏へ消えると、観客からのアンコール要請が出る前にスタッフが慌てて照明をつけ、ライヴは終了しました。時計は既に PM10:45 を回っており、スタッフは会場を早く出るようにマイクで観客に訴えかけていました。外に出ると、既に2回目の公演を待つ観客が長蛇の列を成しており、予定では私も2回目のチケットを取っていたのですが、夜中の2時過ぎまで及ぶことは十分予想され、初めての L.A でそこまでの無謀はちょっと出来ないと諦めて家路に着きましたが、もう心は満足で満たされ、何の不満もありません。最後に、この素晴らしいライヴを届けてくれた EJ と ALC、関係スタッフに感謝しつつレポを閉じたいと思います。