Jan 16th, 2002. Dixie Dregs @ Palo Alto ICON NIGHT CLUB

Jan 16th, 2002. Palo Alto ICON NIGHT CLUB で行われた Dixie Dregs のライヴに行ってきました。

セットリストは下記、

1. Country house shuffle
2. Aftershock
3. Sleeveless in Seattle
4. Assembly line
5. Hereafter
6. Jessica
M.C. Steve -
7.Dance of the Maya (Mahavisnu Orchestra)
8.Refied Funky Chicken
9.Odyssey
10.Busy Bodies
11.The Bash
12.Cruise control
Encore -
13.Kat Food
14.Take it off the top


会場は古めかしい”まさに”ナイトクラブといった感じで、500㎡ぐらいのフロアの後方はテーブル席が1、2階(と言っても全部で20席ぐらい)に有って、フロアの両側にカウンターバーが設置されていました。昔はダンスホールとして使ってたらしく、ホール中央の天井にはミラーボールが釣り下がってました(^^); スピーカーや照明も古めかしく、音自体も籠もり気味、味といえば言え無くもないのですが、ここで本当に”あの”Dixie Dregs が演奏するとは信じられない雰囲気でした。演奏開始予定時間の PM 9:00 を少し過ぎた頃、オープニングアクトの3ピースバンドが登場しました。バンド名は J.J、見た感じ、ロカビリー系としか見えないギター、ロジャー・ウォータースに非常に良く似たドラム、神風(ネと申が分かれて縦書き(^^);)ストラップに赤いスカーフのベースという不思議な連中で、North California 一帯で活躍しているバンドらしいです。音楽自体は、60年代後半から70年代初期のハードロックをベースとしている感じで、7曲、1時間ほどやったのですが、「Spoonfull」 丸々カバーや「Achilles Last Stand」〜「Heartbreaker」 ... と続くメドレーを演奏してまして、John Bonham 風のドラムセットが壊れそうなドラムはちょっとうるさかったですが、流石に Dixie Dregs のオープニング・アクトをやるだけあって上手かったですね、特にギターの「Spoonfull」時の間奏のソロは Eric Clapton のような繊細かつ流麗なボリューム奏法とは違った、力強さを前面に出し、パワフルな Alvin Lee のようなソロを取っていて印象的でした。そんな熱い演奏が終了し、セットアップが終了した頃、会場は人で溢れ返り、立錐の余地も無い位に混んでました。流石に彼らの人気は、US では正しく認識されているようですね。そんな中、私はステージ正面3列目、Steve Morse との距離は 2m 位の位置を確保しました。この位置は音は少し後ろに流れるようで回ってくる感じを少々感じますが、彼らのステージ上に漂う空気に少しでも近くで触れたくて、この位置に来ました。回りはクレイジーな連中ばかり(私もその中の一人(^^);)で、ビール片手に早くも興奮しまくりと言ったところで、今や遅しと Dixie Dregs を持ち構えている感じでした。PM10:05頃、遂に Dixie Dregs の面々がステージに現れました。Guitar は勿論、大殿こと Steve Morse、Bass は Dave LaRue、Drums は Rod Morgenstein、Keyboad は T.Lavitz、そして Violin は Jerry Goodman、本当に彼らがひとつのステージに立っているのです!この興奮足るや何とも言い知れない高揚感に自らが支配され、立っている感覚が無くなり、浮遊感さえ感じる状態でした。Steve は、いつものように Music Man のブルーのギターを携え、タンクトップで、髭を落としてスッキリした面持ちを感じさせながら、青く深い瞳で会場を見渡しており、Dave はステュを思わせるようなサングラスを掛け、4弦フレッテッド・アームつきのアイボリー木目調のベース、T.Lavitz はメインの Key を前面に、サイドにオルガン、その上に Sub の Key を置き、グレーのTシャツ姿、Jerry はルーズなシャツで大柄な体を包み、対照的に小さく見える黒のエレクトロニック・ヴァイオリンを携え、Rod は小さい体を完全に覆い隠すようなドラムセットの間から、人懐っこい笑顔を振りまいてました。そして、Rod のドラムによりライヴの幕が開きました!1曲目「Country house shuffle」から、メンバー全員がノリにノッていて、いきなりの G, B, V, Key による恐ろしく切れの良いユニゾンフレーズ、それを煽るようにフィルをかませながら、自由に展開するドラム、もう1曲目から”これだ〜!!これが Dixie Dregs のライヴなんだ!”とでも言うような圧倒的な演奏で、会場は早くも興奮の坩堝と化してしまいました。全ての演奏者が個々にとてつもない事をしていながら、全体の調和は取れている、凄まじい展開かと思うとブレイクには完全な静寂が一瞬現れる、そしてまた怒涛の展開、そして何よりメンバー各自が楽しそうに演奏している、笑顔でアイコンタクトしながら、引き継がれる個々のソロのリレー、かと思うとソロを奪い合うかのようにソロが重なる時の心地良い緊張感、あっと言う間に時が過ぎていってしまいます。そんな中、4曲目の「Asembly Line」では、少しのドラムソロのあと、Dave と Rod のコラボレーション的ベースとドラムの掛け合いがあり、ドラムがまるで高らかにメロディを歌い上げるかのようで、非常に印象的でした。続く5曲目、「Hereafter」で、Dave がベースを Music Man 青の5弦フレッテッドに変え、メロディアスなラインで Steve を誘い込みます。それに乗った Steve のソロがまた圧巻!得意のフレット上でのピッキングハーモニクスとタッピングを絡ませながら、幻想的に展開し、そして通常ポジションでのピッキングにて、確実かつダイナミックなヴォリューム奏法を展開する。これが本当にギター?と思わせるような素晴らしく甘美かつ幻想的なソロでした。ここで初めてマイクを取って Steve の M.C. となる訳ですが、会場の観客とやり取りしながら、ここ、Palo Alto でのライヴは2度目であること、基本的に陽気なカリフォルニアの連中は好き、昔来たときとは自分の立場が全く違うので新鮮な感覚がある、宣伝じゃないけど(そんなに金欲しいかの声が会場から飛ぶ(^^);)Steve Morse Band の新譜がリリース準備ができて、サイトでアップしてるから聴いてみて、もし良ければ買ってみて(ほらみろの声が飛ぶ(^^);)、ところで Dixie Dregs のメンバーとして Jerry を迎えているわけだけど、彼はご存知のように Mahavisnu Orchestra に在籍していた。全く同じように出来る訳じゃないけど、聴いてみて、の言葉に続いて「Dance of the Maya」、Dave は4弦フレテッド・アームつきにベースを持ち替え、スラッピングで Steve を誘い、Steve が表情から見てそれと分かるように思い入れたっぷりに弾きまくる。「Refied Funky Chicken」を挟んで、9曲目「Odyssey」にて3度ベースを持ち替えた Dave が持ってきたのは、待ってましたの5弦フレットレス、どこまでもメロディアスに、Jaco を彷彿させるかのようなフレーズも飛び出す。続いての10曲目、Dave が4弦アームつきにベースを持ち替え、演奏し始める聴き慣れない曲に、ステージ奥のセットリストをかろうじて見ると「Busy Bodies」と書いてあった(と思います、多分)Jerry のソロが始まると、Steve と Dave が顔をつき合わせ、時計に目をやって、長くかかるぜのジェスチャー、そこで煽りを掛けまくる Rod と Jerry が凄まじい掛け合いを始めると T.Lavitz が楽屋裏に消え、続いて Steve が消えていく、Rod との掛け合いは Dave に引き継がれ、Jerry も楽屋裏に消える。Dave と Rod の熱い掛け合いが頂点に達する頃、メンバー全員が戻り、凄まじい切れの良さで曲を閉める。続いては、待ってましたの超絶技巧カントリー曲「The Bash」、もう、本当に改めて思いますが、Deep Purple での Steve は明らかに 60% 程度、本当の、100% の Steve Morse を聴くなら、やっぱり Dexie Dregs 以外に考えられません!凄まじさを通り越して放心状態で追い続けるしかない、Steve と Jerry の高速フレーズの応酬、時にスウィープも交えながら、信じられないスピードで、弾き倒す Steve、負けじと凄まじいフレーズを繰り出す Jerry、アコースティックピアノの音色で高速ブギフレーズ、高速オルガンフレーズを紳士的な風貌と対照的にガンガンかませる T.Lavitz、凄まじ過ぎる超絶技巧の応酬、でも、ベースはカントリー、メンバー全員が陽気に笑顔で弾きまくる。続く「Cruise control」は、演奏開始後、しばらくすると、Rod 一人を残し、全員が楽屋裏へ消える、一体何人で叩いているの?と感じさせる独創的なドラムソロの後が、また圧巻でした。おもむろに後ろを向いた Rod がプログラミングを作動させ、自らがヘッドホンを付けて、そのプログラムされたオーケストレーションに合わせて、これまたドラムによるオーケストレーションを展開するという凄まじいソロタイムでした。この人の場合、途轍もなく凄いことをやっていても、余りにもドラミングが安定していて、音の切れが良いため、一聴してはそれと気がつかないことが多いですが、流石は Rod !技術点満点だけでは無く芸術点も満点の素晴らしいソロでした。そして全員が戻ってきて、個々にソロを展開し、曲を閉めて、終了。しかし、この火が点いてしまった観客の熱狂がそれを許すはずも無く、アンコール要請の拍手、時計を見ると PM11:40 に差し掛かるような状況、しかし彼らはアンコールに応えて、再びステージへ、「Kat Food」、「Take it off the top」とアンコール曲が演奏される中、一人、時間を気にしていた Dave が印象的でした。曲が終わり、覚め有らぬ興奮の中、Steve、Dave が Pic を撒き、Rod がスティックを投げ、それらは私の直ぐ近くに集まったのですが、放心状態で、取りに行くのが遅れ、何もゲットをすることは出来ませんでしたが、もう完全に満足に浸っていて、悔しい思いも全く沸いてきませんでした。その後、ふと気がつくと、観客が居なくなり、時計は夜の12時を回っていました。そして、私は家路に就きましたが、12時間以上過ぎた今も夢見心地です。本当に素晴らしいライヴでした。