10/15 King Crimson @ 中野サンプラザ

King Crimson の追加公演に行ってきました。

総体としては、とても良かったと思います。昔より巧くなってる”おっさん”Robert Fripp と”超人(宇宙人?)”Adrian Belew には脱帽です(^^); 凄すぎ...、だけど King Crimson と捉え難い思いがあります。Belew with Fripp だったとしたら、もう手放しで最高のライヴだったと思います。冒頭の円陣→ Robert Fripp のパワーをメンバーに授けるパフォーマンスから、大ウケ、いきなりの「VROOM」で幕を開けたライヴは、異次元の音楽体験をもたらしてくれました。しかし、Pat のドラムは、より攻撃的になり、フィルとロールの巧みな演出で随分と成長が伺えるものの、相変わらず音が硬すぎ(と思うんですけど (ー_ー#) )のタム、スネア、バス、曲によっては良いときもありますが、Trey のベーストーンが、柔らかいんでどうもしっくりリズム隊が一体化しない部分が多い気がします。Trey は本当にトップレベルのテクですし、最高のフレージングを奏でるものの、地味すぎ、というより我を前面に押し出さなすぎ、King Crimson は最高の演奏家同士の相乗効果で、今まで誰も経験した事の無い、音空間を構築し続けるからこそ、King Crimson たり得る気がします。Trey のスタジオミュージシャン然とした演奏はダブルデュオの King Crimson のメンバーとしては、やっぱり納得いかないです。「何故、こんなにいいフレーズを弾いていながら、後ろに引っ込むのぉ?」とか、「そんな大人しく、全体のバランス整えてないで、Belew と Fripp を押しのけるぐらい、前面に出てきなよ!」と言った感じでしょうか、演奏自体は素晴らしいだけに、猶の事、彼の前面に出てくるアティテュードが見てみたい気がします。とは言うものの、本当に素晴らしい、ライヴであるのは間違いありません。Adrian Belew のソロかと思わせる選曲も随所に鏤められていましたね、'98年の「Sarad Days」にも収められていたエレアコ弾き語りの「Three Of A Perfect Pair」途中のアドリブにも完全に脱帽でした。また、「Thela Hun Ginjeet」もやってくれたし、「Elephant Talk」もやってくれた。予想だにしなかった「Pretty Pink Rose」までくるとは...これで Belew 版「Heartbeat」でもやってくれたら、KC じゃなくて、まさに Belew with Fripp の様相、一時、KC の方向性に納得できず離脱しようとしていた Belew を引止めたのは、(Fripp との)このソロタイムの約束?と勝手なことを考えてました(^^); そして何といっても「Fructured」における Fripp のプレイ!これは神技でしょう、55歳のおっさんと思えないどころか、プレイが神懸かっていますよ。とてつもなく速いシーケンシャルなフレーズをフルピッキングでトーンコントロールをしつつ、10分近くも弾き続けている。こんなことできるのは、世界広しと言えども、世界中でこのおっさんだけでしょう、考え方とか、スタイルは個人的に性に合いませんが、今世紀最高のギタリストの一人であることは間違いないでしょう。やっぱりこの2人は唯者じゃないですよ、とてつもないテクニックをバックグラウンドとして、さらにテクニックを超えた唯一無二の音世界を表現している。この辺りを考えてみるにつけ、やっぱり、今世紀最後を飾る King Crimson は、「Dicipline」のメンバーで有って欲しかったなぁと強く思わずにはいられません。僕にとっての King Crimson の最高傑作は「In The Court Of The Crimson King」でも「Larks' Tongues In Aspic」でも「RED」でも無く、「Dicipline」に他ならないのですから。