11/13(火) CUATROCIENTOS@南青山マンダラ

11/13(火) CUATROCIENTOS@南青山マンダラ に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. La Cumparsita - カーニバルの行列 - ( By Geraldo Hernan Matos Rodriguez、約5分)
02. Por Una Cabeza - 首の差で - ( By Enrique Santos Discepolo/Carlos Gardel、約4分)
03. Milonga Septima (会田桃子作曲、約6分)
04. あなたと朝ごはん (会田桃子作曲、約4分)
05. Cancion de Abril - 4月のうた - (会田桃子作曲、w/t 堀越 dr、約8分)
06. Escualo - 鮫 - ( By Astor Piazzolla、w/t 堀越 dr、約3分)
07. 悲しみの中の狂気 (会田桃子作曲、w/t 堀越 dr、約5分)
08. CANDOMBE 400 (会田桃子作曲、w/t 堀越 dr、約8分)

約53分

2nd Set:
09. 人吉森のブルース (林正樹作曲、w/t 堀越 dr、約7分)
10. 恋ひ (会田桃子作曲、w/t 堀越 dr、約6分)
11. Cavalla - 鯖 - (林正樹作曲、w/t 堀越 dr、約5分)
12. Christmas Eve (会田桃子作曲、w/t 堀越 dr、約7分)
13. Por la vuerta - 再会を祝して - ( By Jose Tinelli/Enrique Cadicamo、会田 vo、約4分)
14. 秋の匂い (会田桃子作詞・作曲、会田 vo、約5分)
15. Mi-Chi (林正樹作曲、約9分)
16. 私の希望の全て (会田桃子作曲、約5分)

Encore:
17. カルカッタ (林正樹作曲、w/t 堀越 dr、約5分)

約69分

CUATROCIENTOS Member:
会田桃子(vn,vo)
北村聡(bn)
西嶋徹(cb)
林正樹(pf)

Special Guest:
堀越彰(dr)



東京公演としては5ヶ月ぶり、前回と同様に堀越彰さんをゲストに迎えて場所も同じここ南青山マンダラ、流石に今となってはの豪華なこのメンツ、どうしても メンバー間のスケジュール調整が困難を極め、間が空いてしまうのでしょうね、リーダー会田桃子さんの苦労は想像に難くありません。本日のライヴは、とても 嬉しいことにその殆どをオリジナル曲で固めて下さいました。タンゴと言うとどうしても過去のスタンダードの演奏中心となってしまうことが多いため、スタン ダードジャズと同様に過去の音源発掘で十分なイメージがどうしても強く、余りライヴ空間で楽しむ意義を見出せずに私的にはライヴに足を運ぶことが遠のく傾 向が強かったのですが、このクワトロシエントスのライヴは、勿論深く過去の偉大なる先人に敬意を払いつつ、今この瞬間にここにあるタンゴ、このメンバーで あって初めて織り成すことが出来る今を生きる瑞々しく、そして唯一無二の素晴らしい”音楽”を瞬間の中に見事に描いて下さいます。タンゴとはタンゴである 前に”音楽”であったのだ、そのことを強く実感できる素晴らしいライヴでした。

ライヴの冒頭は、先ず偉大なる先人に敬意を払うように「La Cumparsita」と「Por Una Cabeza」を純粋なクワトロシエントスの4人のみで演奏、「La Cumparsita」のアレンジがまた見事で鮮烈な印象を受け、続くしっとりと華麗に描かれた「Por Una Cabeza」に早くも心捕らわれる。続けて行き成りここで来るとは驚きの会田さんオリジナル曲「Milonga Septima」、その名の通り 7th を使った明るいミロンガ、個人的には林さんの傑作「カルカッタ」に対抗するリーダー会田さんのアンコール演奏曲というイメージがあるのですが、序盤で早く も爆発!会田さんの弾けるようなスタッカートの効いたボウイングに心躍らされ、林さんの絶妙のアクセントが効いたハイキータッチに更に煽られ、西嶋さんの 優しく高貴なアルコにうっとりし、北村さんのバンドネオンの表現可能性を更に拡張したかのようなボタンタッチに打ちのめされる。続いてやはり会田さんのオ リジナル曲「あなたと朝ごはん」、このロマンチックなワルツもやはりこのクワトロシエントスならでは演奏で見事に描ききる。

続いては会田さんのコールで堀越彰さん登場!ここからは、堀越さんを加えた Quintet 編成の趣があり、QUINIENTOS 的アプローチにて、会田さんが京都神宮で見た枝垂桜からインスパイアされた「四月のうた」、ピアソラの「鮫」、そして会田さんの前回初演だった「悲しみの 中の狂気」、最近お書きになった「CANDOMBE 400」と4曲演奏して 1st Set が幕を閉じる。堀越さんのドラミングは、通常のリズムの支配者的なそのドラミングではなく、漣のような、連太鼓が打寄せるようなポリフォニックなアプローチを取る為、他の主にメロディ奏者のフレージングや表現の起伏で変わる個々の奏者のリズムを邪魔することなく、逆に包み込むように他の奏者個々のリズムを サポートする辺りが、このクワトロシエントスとのコラボレーション演奏では見事に結実している印象ですね。

休憩を挟んで 2nd Set は冒頭から堀越さんを加えた QUINIENTOS での演奏、林さんのタンゴとブルースとの融合曲「人吉森のブルース」、会田さんのまたまたロマンティックな新曲「恋ひ」、林さんのピアソラの「鮫」を意識 したこれまた名曲「鯖」、そして会田さんが客船から見た神戸の冬の夜景を元に書いた名曲「Christmas Eve」がやはり見事なまでに叙情的に、そして情熱的に描かれる。

続いて、堀越さんが外れ、純粋な CUATOROCIENTOS のカルテット編成となり、会田さんが事前の告知通りヴォーカルを披露、エンリケの詩の日本語訳を読み上げた後「Por la vuerta」を、そして「調子に乗って、作詞もしちゃいました、てへっ♪」とテレながら新曲「秋の匂い」の2曲で見事なヴォーカルを取る、寄り添うよう な林さんのリリカルなタッチが、包み込むような西嶋さんのアルコが、愛の言葉に応えるような情熱的な北村さんのパッセージが一体となり、これまた CUATOROCIENTOS ならではの見事な演奏に纏め上げる。

そして本編最後は「私達はまだまだこれから成長していい音楽を作って行きたいと思っていますが、この時点で中間発表的な作品を演奏したいと思います。前回 も演奏しましたが、林君の Mi-Chi という曲と、私の私の希望の全てという曲です、聴いて下さい」の会田さんの言葉につづき、林さんの”道”とも”未知”とも取れるようにとの想いを込めた 「Mi-Chi」、そして会田さんの正に想いの全てを込めて書かれた「私の希望の全て」を演奏、両方とも楽曲がもうホントに素晴らしくて、それをこの CUATOROCIENTOS という才能の塊りが結実しかつ相互作用的化学反応で唯一無二の音楽を作り出す素晴らしい演奏で本編を締めます。

勿論、アンコール要請の大拍手に応えて、堀越さんを加えた5人編成にて、アンコールと言えばの林さんの名曲「カルカッタ」を自由にのびのびと全員のソロを フィーチャーさせた形で演奏し、見事な大団円。素晴らしいライヴを堪能させていただきました。


n.p. Cuatorocientos「四月のうた」