07/16(月) Clepsydra@関内 KAMOME

07/16(月) clepsydra@関内 KAMOME に行ってきました、セットは以下です。

1st Set:
01. North Rider (井上淑彦作曲、井上 ts、約15分)
02. 耳の洞の主 (林正樹作曲、井上 ts、約11分)
03. Flight for the 21st (林正樹作曲、井上 ss、約8分)
04. Kamameyo-Ho! 〜 仙道 perc solo 〜 Kamameyo-Ho! (佐藤芳明作曲、井上 ss、約14分)
05. Spirit of the Forest (林正樹作曲、井上 ts、約10分)

約64分

2nd Set:
06. Little Tree 〜 (井上淑彦作曲、井上 ss、佐藤 kh->acc、約3分)
07. 〜 Beyond the Frame ( By Bojan Zulfikarpasic、井上 ts->ss->ts、約15分)
08. Teleido scope (井上淑彦作曲、井上 ts、約11分)
09. 仙道 perc solo 〜 猪との決闘 (林正樹作曲、干支シリーズ #3:亥、井上 ts、約8分)
10. アンジュール (井上淑彦作曲、井上 ss->ts、佐藤 kh->acc、約17分)

Encore:
11. ずっと (井上淑彦作曲、井上 ts、佐藤 kh->acc、約8分)

約71分

Clepsydra Member:
井上淑彦(ts,ss)
佐藤芳明(acc,kh)
仙道さおり(perc)
林正樹(pf)


関西ツアーも成功の内に終え、知る人ぞ知る素晴らしいカルテットから、全国的な素晴らしいカルテットに変貌を遂げ、発祥の地、関内 KAMOME に久々に戻って来た言わば凱旋公演となる本日、当然ながら客入りは上々、開演間近には、KAMOME の店内はごった返し、ほぼ席が埋まる盛況ぶり。これは外せないとの思いを抱えつつ、かつツアーを経てサウンド自体にどのような変化がもたらされているかを実感したくて、楽しみに足を運ばせていただきました。

佐藤さんはいつものビクトリアのアコーディオンに1本マイクで音を取る形、傍らに斜め上からセットされたマイクがありますので、恐らく鍵盤ハーモニカも使用される模様。仙道さんのパーカッションセットは、オリジナルさおりモデルのカホンに座り、パンデイロ1つ、スネアは響線オンオフ可能なもの正面1つ、その上にボンゴを2つ、シンバルはクラッシュ2つに、スプラッシュ、ライドが一つづつ、そしてコンガ側にもスプラッシュ1つ、コンガは2本で向かって右側、その前にハイハット、向かって左側にはジェンベが一つ、マイクスタンドに各種鳴り物が所狭しと吊り下げられ、シェーカー&チョーカー等小型鳴物、スティック、ブラシ類はマイクスタンド下の鳴物用クリアケースの上に揃えてありました。林さんは会場据え置きの YAMAHA グランドピアノ、井上さんは本日もソプラノサックスとテナーサックスを持ち、2種のスタンドを傍らにおいてます。

いつものように厳かにステージに現れる4人、しかし驚くべきことに、仙道さんがいきなり MC を始めます。「皆さん、カモメにお出でいただき、誠に有難うございます。私達は Clepsydra [クリプシドラ]と申しまして、私が名付け親なのですが、何のこっちゃよく分からないと思いますが、古代の水時計を意味してます。が、私はその水時計がどんなものか見たことがありません。では、メンバーの自己紹介を、私は仙道さおりと申します。」続いて慌てて鍵盤ハーモニカ用のマイクを取り出して「佐藤芳明と申します、今後ともよろしくお願いいたします」と佐藤さん、「あ、林正樹といいます、ピアノ弾いてます」と林さん、そして「井上淑彦です」と最もシンプルな井上さん、仙道さん再びマイクを握り「先ずは、2曲続けて演奏させていただきます。1曲目が井上さんの曲、North Rider、North Rider、続けて林さんの曲、耳の洞の主、耳の洞の主、何のこっちゃ分からないタイトルですね、ではご本人から説明していただきましょう」、に大慌ててでマイクを掴み、一呼吸おいて「この曲は」のところで「と言う訳で、では演奏を始めます」と意地悪に仕切る仙道さん、この調子で最後まで終始仙道さん MC が炸裂してました。

1st Set は5曲演奏するのですが、林さんの曲が3曲、佐藤さんの曲が1曲、森山威男グループの楽曲を支えコンポージングに定評のあるリーダー井上さんの曲が1曲というこの状況を考えると、少なからず違和感を覚えますが、ある意味、それだけ林さんのコンポージングを井上さんご自身が認めているとも言えるでしょう。そしてクリプシドラといえば、忘れちゃいけない仙道さんのパーカッションソロ、1st Set では「Kamameyo-Ho!」の間奏部分に持ってきます。先ずは、スティックを使用しボンゴをメインとしたソロなのですが、スネアの響線をオフに、カホンへの踵キックをバスドラ的に使い、左足にはカシシを付けてハイハット的に使います。時折コンガも使用しつつ、キレのある激しい展開を次々に持ってきます、続けてマレットに持ち替え、コンガをメインとして、掌ミュートや肘ミュートを巧みに用いつつ、時折嵐のようなシンバルワークを絡めてくる。そして掌に移行、踵キックと左足のカシシでリズムベースを作り、コンガとボンゴをポリリズミックに展開させていく、そしてスティックに持ち替えつつ締め、「Kamameyo-Ho!」に戻る。そして 1st Set の締めは「Spirit of the Forest」、4曲目までは、ツアー前に比べてかなりアグレッシヴにサウンドアプローチが変わった印象だったのですが、やはりこの曲では、どこまでも繊細に、丁寧に、そして優しく音を奏でていく4者、フィトンチンがタップリ含まれた森林浴のように、音が聴く者の身体の中に入ってきて癒すように、たおやかに緩やかに、静謐な時を刻むように流れていく、Clepsydra ならではの見事な演奏で幕。

続いて 2nd Set、またまた行き成り仙道さん MC にて演奏曲2曲の紹介に続き冒頭は井上さんの「Little Tree」から、佐藤さんが鍵盤ハーモニカを取り出し、イントロを哀愁漂う絶妙のサウンドにて奏でる、これが「Little Tree」の持つノスタルジーを絶妙に引き立たせる。ここから続けて Bojan Zulfikarpasic「Beyond the Frame」、'95年発売の 2nd「YOPLA!」収録のこの曲も Clepsydra 風の見事な演奏に仕上がっていました。井上さんの「Teleid Scope」を挟んで、林さんの干支シリーズ第三段、亥編「猪との決闘」を持ってきます。ここでの決闘は勿論仙道さんと林さんのアルカイックコンビ!林さんもここではいつもにも増してアグレッシヴ、トンでもない抽象的変拍子フレーズで、仙道さんに仕掛けまくり、受けて立つとばかりに次々に切返す仙道さん、井上さんと佐藤さんは半ば呆れ気味に二人のやり取りを苦笑を伴なって見つめている。佐藤さんは二人に置いて行かれたのが余程悔しかったのか、鬼の形相でこれまたアグレッシヴな仕掛けで二人の間に割って入らんと試みるも、あえなく玉砕、益々お二人の決闘は熱を帯び留まるところを知らない。終いには、遂に出た仙道さんの犬の吼え声!それすらも猪の鳴き声で「ブヒブヒ」(ブタみたいな)と返す林さん、ここは一体何処?何をやってるの?的狂乱動地の演奏の中、まとめ上げて演奏を閉じる圧巻の決闘でした。

最後の曲前ということで、仙道さんが MC を取りつつ自ら告知、どうやらカホンの教則 DVD かなりの売れ行きのようで、1ヵ月半で、1,200枚が売れているとのこと、でもライヴでは売れないので買って欲しいとのことでした。林さんも告知があるようで、マイクを受け取り、来月の Clepsyadra と Salle Gaveau のそれぞれのライヴの紹介と 9/1 に、@公園通りクラシックスで行われる、林正樹(pf)/会田桃子(vln)/香月さやか(vln)/佐藤桃子(vla)/友納真緒(vc)/井上淑彦(sax)/さがゆき(vo) ゼクステットスペシャルライヴにて、井上さんのストリングスアレンジも演奏すると説明しつつ、是非是非足を運んで欲しいとのことでした。

最後の演奏、アンコールと両演奏にて佐藤さんが鍵盤ハーモニカ導入を行い、見事にまとめ上げる。やはり Clepsydra、毎回毎回、期待を上回る素晴らしいライヴを楽しませて下さいます。



n.p. 井上淑彦 Fuse「live fuse