03/05(月) SXQサックスクインテット/Salle Gaveau/ヒカシュー

03/05(月) SXQサックスクインテット/Salle Gaveau/ヒカシュー丸ビルホール に行ってきました、セットは以下、

SXQサックスクインテット:
01. 即興 (約30分)

約30分

SXQサックスクインテット Member:
松本健一(ss)
立花秀輝(as)
藤原大輔(ts)
吉田隆一(bs)
木村昌哉(ss,ts)


Salle Gaveau:
01. Alloy鬼怒無月作曲、鬼怒 ag、約8分)
02. Parade (鬼怒無月作曲、鬼怒 LP、約5分)
03. Nullset (鬼怒無月作曲、鬼怒 LP、約8分)
04. Pointed Red (鬼怒無月作曲、鬼怒 LP、約8分)

約32分

Salle Gaveau Member:
鬼怒無月(gt)
( LP:Bacchus Les Paul Model、ag:ガットギター:新調)
喜多直毅(vn)
佐藤芳明(acc)
鳥越啓介(cb)
林正樹(pf)


ヒカシュー:
01. TENTEN - 転々 - 〜
02. 〜 NYU-NEN[Elavolative] - 入念 - (約11分)
03. IKIRUKOTO[Living] - 生きること - (約10分)
04. DIGITAL NA FRANKEN[Digital Frankenstein] - デジタルなフランケン - (約10分)
05. MOTTAINAI-HANASHI - もったいない話 - (約4分)

約35分

ヒカシュー Member:
巻上公一(vo,cor)
三田超人(g)
坂出雅海(b)
清水一登(key,bcl)
佐藤正治(per)


Art Director:
副島輝人


東京芸術見本市2007、International Showcase 2007 の初日「2007年、ジャズの新しい展開」、主催は何と文化庁、行き成り官房審議官の挨拶から始まる。会場には、海外からのお客さんも多数訪れ、同時通訳も準備されている状況。いやー、素晴らしい!文化振興という意味で、これ程意義のある税金の使い方、初めて見た気がします。日本の文化、芸術をもっともっとこのような形で、世界に発信していただきたいところです。その価値が十二分にあることは、本日のこの3組が見事に体現しています。

今回は、空くまで Showcase という事で、持ち時間は、転換&アートディレクタである副島さんの各バンド紹介含め約40分づつ、実質の演奏時間は30分程度ですが、その持ち時間でも、十二分にこの3バンドの魅力は掴めます。サンプラー的に使って、実際に気に入ったバンドの個々のライヴにてより濃密に楽しんでいただくことを明確に志向していますね。

しかし、この3バンドのメンバーを見るだけでもホレボレしてしまいそうな陣容、改めて日本の、東京の音楽シーンが世界最先端で先鋭かつ前衛的な音楽芸術文化を世界に向けて発信していることが実感できます。その様を、日常的にかつリアルタイムにライヴ空間で体感できる我々は何て幸せ者なのでしょう、素晴らしい限りですね。


SXQサックスクインテットは、即興一本勝負、客席後方含みバラバラに配置したところから演奏スタート、一切の予定調和を取り去ったアンビエントかつアバンギャルドな即興演奏、個々に調和を敢えて外し、微妙にアンバラスな感覚を保ちつつ張り詰めた緊張感と危うさ、儚さを空間に放ち、個々に思うがままに移動しながら音を発してゆく、途中、準備しておいたラジカセの女性のフランス語による詩の朗読に合わせ、日本語訳を松本さんが朗読すると、吉田さんが突然止める、そしてまた演奏しながら思うが侭に移動を続ける。尖りに尖ったサックス五重奏、何度かラジカセを松本さんがつけ、吉田さんが止める形が続き、徐々に五人が中央周辺の移動になってゆく、そして緩やかながらも徐々に自然な形で調和が生じ始め、約30分の即興演奏を纏め上げる。メンバー紹介に続く、松本さんの MC にて「本日は、出来立てホヤホヤ(3日前の 3/2 に完成)の SXQ の 1st、100枚持ってきていますので、皆さん先を争って持って帰って下さい、無料です」とのこと、おぉー、流石は松健さん、太っ腹!!と言う訳で、私はしっかり先を争って SXQ 1st Album「in your head - 頭ン中 -」ゲットして来ましたぁ、わーい!


転換、副島さんの紹介を挟み、続いて Salle Gaveau、本日の鬼怒さんはエレキが Bacchus Les Paul Model、ガットギターが最近新調したと思われるもの2本で準備万端。副島さんの紹介が終わるや鬼怒さんガットギターを抱えつつ「よし、30分キッカリな!」とメンバーの皆さんに気合の一言!1曲目は「Alloy」から、もう現在の Salle Gaveau の演奏は、毎回自らの世界記録を更新する如く、新たな境地、新たな表現世界を切り拓く!まさに奇跡的な演奏としか言えないような至高の即興演奏が展開される。喜多さんのアバンギャルドなアプローチ、とても同一人物とは思えないリリカルに歌うフレージング、林さんのアブストラクトな超高速パッセージ、佐藤さんのアバンギャルドな分散和音、鳥越さんのパーカッシヴな美しきランニング、鬼怒さんのフラッシーなレガートパッセージ、メンバーの皆さんが、それぞれに他の4人がやっていること(仕掛け含め)をリアルタイムで確りと把握した上で、自らの色を、カウンターを、サポートをものの見事に織り込んでゆく、かつ5人が同時に個々の在り方を音楽表現にて提示しても、微塵も他の表現を損なわない、損なわせない形となっている。結局、短い時間で纏めるとしたら、最高の形であろう4曲の選曲で、完全に30分という枠を使い切った見事な神懸かった演奏、当然のことながら、会場からは割れんばかりの拍手が包み込み、無理とは承知しつつもアンコールを促がす拍手まで出てました。やはり世界は確実にこの Salle Gaveau の音楽表現認めます、ある意味、RIO 2007 のプレビューといった趣も漂わせつつの素晴らしい演奏でした。


そして、副島さんと巻上さんの対談の形でヒカシューの紹介を行い、ヒカシューの演奏へ、相変わらず全員がぶっ飛びの発想にて音をポップに重ね、先鋭性とポピュラリティが同居する結成30年来唯一無二のヒカシューサウンドがものの見事に展開する。余りにぶっ飛びの展開に、予定していた6曲は30分枠に収まりきれず、「オーロラ」と「びろびろ」はカットして、予定していなかった「もったいない話」にて纏め上げる。巻上さんの完全反則パフォーマンスを受けても、少しも動じずに、見事に切り返す”怪物”清水さんには改めて感服しました。


素晴らしい企画、素晴らしいバンド、素晴らしい演奏!この奇跡のショーケースを世界に発信できたこと、参加された全ての演奏者と関係者に限りない感謝を捧げます、ありがとうございました。



n.p. SXQ saxquintet「in your head - 頭ン中 -」