09/17(土) Orquesta Nudge!Nudge! @新宿 Pit Inn

eiji002005-09-17

09/17(土) Orquesta Nudge!Nudge! @新宿 Pit Innに行ってきました。セットは以下、

1st Set:
1. Waltz - PE 〜 Rumba #5 (芳垣安洋/高良久美子作曲、約16分)
2. N'dung (芳垣安洋作曲、約10分)
3. Toy1,2,3 〜 Vibrapan 7 (芳垣安洋/高良久美子/岡部洋一作曲、約23分)

約62分

2nd Set:
4. 新曲 (芳垣安洋作曲、約11分)
5. Oferere- Batuka (芳垣安洋作曲、約9分)
6. D'Gong 〜 Baja Waltz (芳垣安洋/高良久美子作曲、約13分)
7. Bunbaka 19 ~ Tinga! Tinga! (芳垣安洋作曲、約15分)

Encore:
8. 屋上の飛行機凧 (芳垣安洋作曲、約5分)

約68分

Orquesta Nudge!Nudge! Member:
芳垣安洋(per)
岡部洋一(per)
高良久美子(per)
山北健一(per)
関根真理(per)
坂田 学(per)
Ryu-Dai(per)
茶谷雅之(per)
高田陽平(per)
Taichi(per)


リズム&ドラム・マガジン10月号で最高峰のリズム・アーティストと評されている芳垣さんが率いる、10人のパーカッションによるアンサンブルユニット、Orquesta Nudge!Nudge! の 1st アルバム「BATUKA」発売記念ライブ、やはり凄いことに成っていました。ステージ向かって左奥に岡部さんスペース、その前で芳垣さんが指揮を執る形で、その前、客席側に大きく場所を取る形で高良さんスペース、その三人に対峙する形でその他の奏者が向き合う形、前列左端と言うかステージ中央が関根さん、その向かって右隣が山北さん、高田さんが右端、右奥が坂田さん、後列は向かって左側から茶谷さん、Taichiさん、Ryu-Daiさんと言った配置、壮観でした。この日様々な場所で開かれている多くのライブでは、きっとパーカッションが足りなくて困ったことでしょう、実際、 祝・ヨーロッパ凱旋!ライブ@SPC では無く、こちらを取った関根さんもしっかりいらっしゃいました(実は私自身、渋さとこちらで最後まで迷い、SPC の前迄行って新ピに戻って来たのです...)、圧巻&驚異のリズムアンサンブルを心幸まで堪能させていただきました。以下のような配置でしたね。

岡部----茶谷--Taichi--Ryu-Dai---坂田
芳垣----関根----山北--------高田
高良

まず1部は、20:20 に時計が差し掛かる頃、客電が消え、静かにぞろぞろとメンバーの皆さんが楽屋からそれぞれのスペースに着こうと出てくるのですが、客席を侵食する形でビッシリと据えられたパーカッションの数々に、楽屋からの移動がかなり大変なご様子でした。漸く全員が配置に着くか着かないかの頃、徐に関根さんと高田さんがアンビエントな小鐘を用いてのリズム空間を演出する、その際の関根さんの小鐘を鳴らしながら空間を漂わせてかけてくるビブラートのかけ方が絶妙、流石本日の紅2点の一角を担う関根さんです。どんどん皆さんが配置に着いて行き、準備が出来た方から絡んで来るのですが、この場に居合わせる皆さん、異様にセンスが良いパーカションばかりで、これだけで心地の良いアルファ波全開の音空間が構築されます。そして見事に構築されたリズム空間の上を、岡部さんと芳垣さんが縦横無尽に仕掛けやフィル、フェイクなどを絡め刺激的なリズムスパイスを加え、全体のリズムアンサンブルのバランスを整えます。ただ、お二人のアプローチは時として棘があり過ぎますので、実はウラで高良さんがマリンバビブラフォンで全体をまろやかに整える重要な役を担っているように感じました。流石は本日紅2点のもう一つの一角を担う高良さんです。途中、曲が変わるも、このアンサンブルの形態は維持されながら、クレッシェンドしていく形で進行、この時点で、後列の3人はお互いに協調し合いながらもポリリズミックにベースリズムを重厚に構築し、そのサイドでファニーでシンプルなリズムを高田さんが加え、動きのあるミドルを坂田さんと山北さんが押し上げるようにアプローチし、ミドルが充実した上でその上モノ的に関根さんが立体的にリズム空間を膨らませ、岡部さんがビシバシフィルをかませてソロを取り、其処彼処の空間を見事に使いきり、切れ味鋭い先鋭的なリズムでカッティングするかのように芳垣さんが全体のリズムコーディネーションを取り、高良さんが美しきヴェールを柔らかく掛けて行く。1曲終わったところで、芳垣さんがメンバー紹介、客席の反応の良い Ryu-Dai さんには「おっ、人気あるねぇ」と添え、茶谷さんには「新婚ですよ、彼は、ホヤホヤの新婚さん」と冷やかしつつ自らは「そして司会と進行は芳垣安洋です」、相変わらずです。「アフリカものを書く筈がヘンな曲になってしまった、自分でタイトルつけても何て読むか分からないのですが、多分、N'Dung です」との言葉に続き、山北さんのコンガから次々にそれぞれがポリリズミックに加わってきて、高田さんがファニーなベルを添えつつ進行、後半被る高良さんのマリンバがまた絶妙!素晴らしい演奏でした。続いては、岡部さんと芳垣さんの掛け合いで幕を開けます、岡部さんは金属製で壷状となって、底が空間になって、口に当たるところは格子状となっている不思議な楽器、芳垣さんは、最近良くお使いになる超特大シンバルを据え、ベントさせたりしながら叩き捲くりますが、ソー演奏に近い印象を持ちました。お二人の掛け合いはしばらく続き、頃合を見て曲に導入、これまた素晴らしいアンサンブルで、芳垣さんと岡部さんが次々に持ってくる楽器を見ているだけでも十分に楽しめそうな程、次から次への楽器を変え、アプローチを変えて音像を織り成していきます。ビリンバウなども飛び出す展開に終始心を奪われてしまいました。あっという間の60分が過ぎ、1部を終えますが、本当にあっという間に時が過ぎてしまいます。

続いて2部です「折角久しぶりにやるので、新しい曲を。まだ、もうちょっと手を加えようと思っているんですが」との芳垣さん言葉に続いて、コンガアンサンブルでポリリズミックに明るい民族音楽調でスタート、途中からそのアンサンブルに岡部さんが切れ味鋭くフィルイン、芳垣さんはサポートに周り様々な楽器を持ち替えつつ音を整える。程好く進行したところでブレイクを挟み、また初めに戻って音を積み重ね始める、岡部さんと芳垣さんが次から次への楽器を持ち出す。ダルブッカやビリンバウ等も出てくる、展開パターンをその都度変えながら、何度かブレイク、再構築を繰り返す、確かに細部の緻密なアレンジはまだ施されていないながらも、1曲目からかなりのハイテンションを導き出します。続いては「どっから、曲が始まっているか分かんないよ」のメンバー(誰だったか分かりませんでした)の泣き言に、岡部さんが「俺について来い!」とドスを効かせ、会場がどっと沸く、2曲目は「Oferere- Batuka」なので、冒頭で軽い鳴り物が必要であったのに、休憩時間中に坂田さんに渡すのを芳垣さんが忘れたようで「あっ、しまった渡すの忘れた、これでも使って」と鳴り物の束を、手渡しリレーで坂田さんへ、他のメンバーも余った鳴り物をどんどん坂田さんの方に手渡していき「もういいよ!」状態に。冒頭、全員の鳴り物シェイキングから曲に導入、高田さんのファニーなベルに合わせるように芳垣さんがハンドマイクで口火を切り、皆の「オーレーオレ、オペレオレ」のコーラスを呼び込む、高良さんのマリンバに高田さんがティンドラムを被せ、芳垣さんが絶妙のハンドマイク・サイレンで場の緊張を高め、最後はクレッシェンドして壮烈に纏め上げる。続いて、皆がバラバラに抽象的な音をアンビエントに漂わせ、冷めた音響空間を演出、この際の関根さんの小鐘&小鐘を空間に漂わせてのビブラートもまた素晴らしく、全体にアンビエント感を保ちつつ進行、暫くし、芳垣さんのスティックカウントを受けて、曲調は一変する。幾重ものリズム空間が立ち並び、その上を岡部さんのソロが浮かび上がる、際立った特色あるリズムが全体を引き締めつつ進行、まるで、岡部さんパーカッション協奏曲的色合いで、他のメンバーのリズムアンサンブルが構築したリズム空間の壁と対峙する形で岡部さん一人が立ちはだかり、オケとの掛け合いを行っているかのような演奏、後半部には、高良さんのビブラフォンとそれ以外のメンバーの掛け合いも挟まれ、これまた素晴らしかったです。演奏終了後、再びメンバー紹介を行い「架橋になってきたので、いつも架橋でやる曲をやります、最後なんだけどね」「本当はチューブフォンという楽器なのですが、岡部さんと高良さんが良く知っているベーシストが勝手にブンバカと商標登録しちゃいまして、後で裁判にならなきゃいいなと思うんですが、僕はそのブンバカと言う名前を使わせてもらっています」との芳垣さんに紹介され、ステージ中央客先スペースに被る形でブンバカを設定。高良さんと芳垣さんが、その両端で対峙する形でお二人で叩き始め曲に導入、お二人のみがブンバカを連弾しつつ進行し、芳垣さんの頭上での指揮に合わせて、芳垣さんと高良さんが激しいフレーズに移り、他のメンバーも曲に切り込む、程良いところでブレイクし、再び芳垣さんと高良さんのソロの掛け合いで再開する。その流れを2,3度繰り返し、かなり盛り上がってきたところで、芳垣さんと高良さんはブンバカを高良さんのビブラフォンの横に片付けつつ、それぞれのスペースに戻る、その動きに呼応するように、岡部さんが大きなトランクを抱え、元のブンバカスペースへ、タイミングを伺って何をするかと思えば、トランクの中一杯に入った打楽器鳴り物類を床に振り落としてしまう、その後は落ちた打楽器鳴り物類を拾い集めて、再びトランクの中に落とす始末。この辺りは岡部さんから目が離せなく、最早独壇場の様相、岡部さん最後には床一杯に並べた鳴り物をスティックでドラムセットのように叩き捲くります。クレッシェンドが最高潮に達する辺りで、大団円のうちに曲の終了。最後に三度メンバー紹介、割れんばかりのアンコール要請の拍手に、芳垣さんも、そのまま楽屋へ戻らず、元のスペースに戻る形。「CD 売ってます、今日は全員のサインできます、あと、今日は特別に岡部がパーカッション落としてくれますし」の芳垣さんの言葉に、岡部さん再びドスを効かせて「血を見るぞ!」、前回のボンフル同様(鬼怒さんにかなり突っ込まれてました)、"I Love おにくやさん" T-Shirts に身を包みつつドスを効かせ凄む岡部さんに、「そんなキャラだっけ?」と芳垣さん、最後はしっとりとと言うことで、アンコールは Vincent Atmicus の「屋上の飛行機凧」を全員のハンドベルで、Orquesta Nudge!Nudge! 初めてのカバーだそうです。最後はしっとりと幻想的に纏め上げて下さいました。パーカッション・アンサンブルの可能性に極限まで挑戦し続ける Orquesta Nudge!Nudge! の活動からは、そのリーダーである芳垣さんの動きと共に目が離せません。次のライブ予定はまだ決まっていないようですが、近い内に何とかやりたいとの芳垣さんの言葉を信じ、楽しみに待たせていただきましょう!


n.p. Orquesta Nudge!Nudge!「BATUKA」