04/01(金) 喜多・黒田・佐藤@六本木 alfie

04/01(金) 喜多・黒田・佐藤@六本木 alfie に行ってきました。セットは以下、

1st Set:
01. 兄と妹 (喜多直毅作曲、約8分)
02. Antikythera (佐藤芳明作曲、約8分)
03. 吹雪 (喜多直毅作曲、約10分)
04. 千年前の村 (喜多直毅作曲、約7分)
05. 夢 (喜多直毅作曲、約9分)

約47分

2nd Set:
06. Grana od bora ( Bosnia Trad、佐藤・喜多 Duo、約10分)
07. Once Upon A Summertime - リラのワルツ - ( By J.Mercer/E.Marnay/M.Legrand/E.Barclay、喜多・黒田 Duo、約9分)
08. Short Music For A Clarinet Solo (喜多直毅作曲、仮タイトル、約9分)
09. Ondine - 水の精 - (黒田京子作曲、約8分)
10. 板橋区 (喜多直毅作曲、約11分)

Encore:
11. Utviklingssang ( By Carla Bley、約12分)

約73分


今宵は、ただ只管に美しい、夢のような音楽に満たされました。喜多直毅(vln)黒田京子(pf)佐藤芳明(acc)、このトリオ、不定期活動のようですが、是非とも定期的に演奏を行って欲しいですね。やはり、特筆すべきは喜多さんの素晴らしい充実振りで、以前ですら最高レベルだと思われていた表現の深み、テーマに対するアプローチと発想が信じられない事に更に深度を深め、スケールアップしている感があります。個人的に、Live で触れた Violin Player として最高位に位置しているのが、Itzhark Perlman @ '99年来日公演時なのですが、喜多さんの表現レベルは、この辺りの人達を引き合いにするレベルに、若くして達しようとしている印象ですね。そして、喜多さんは、コンポーザーとしても非常に優れた方で、数々の名曲を生み出していますので、本日のように喜多さんのオリジナル曲が大フィーチャーされるような喜多さん自身がイニチアチヴを取られているライブが、その類稀なる表現力を100%に近い純度で堪能出来る気がして、楽しみに足を運んだのですが、その期待をも上回る素晴らしいライブを堪能させて下さいました。勿論、百戦錬磨の黒田さんの全盛時の Martha Argerich を彷彿とさせるようなリリシズム溢れるタッチとダイナミックなフレーズ構成、佐藤さんの全てを包み込むような、リズム的にもコード的にも変則的ながら、立体的なアプローチを垣間見せる深いアーコーディオン表現、それらが、喜多さんの至極の楽曲の中で、絢爛豪華なる音楽的美の創造を瞬間の中で紡いで下さっているようで、瞬間の音の中で悠久の時を感じさせて下さったように思います。特に「千年前の村」の中での、時が折り重なるようにフレーズにレイヤ構成を持たせ、かつ遥かな時空を越えて聴こえて来るかのように添えられた黒田さんの郷愁を誘う「ずいずい、ずっころばし」「もーいいかい、まーだだよ」のヴォイス、「夢」における空間の歪みと現実性からの乖離を表現するかのような喜多さんの微分音フレージング等、数々の山場が、素晴らしい演奏の中に凝縮されるように昇華されていた印象です。この辺を恐らく予想されてた喜多さんが、弓を2本準備していらっしゃいましたが、アンコールまでには1本が完全に死んでしまい(喜多さん談)、残る1本も不安な状況であったため、「ごめんなさい」と仰って、Carla Bley の「Utviklingssang」をアンコールに演奏されてました。勿論、この曲も途轍も無く素晴らしい演奏だったのですが、恐らく喜多さんのオリジナル「機械のカラダ」辺りを準備されてたのでは無いかと思われます。喜多さんの今の表現に触れる機会を逃されない事を、広く全ての音楽を愛する方達に対してお祈り申し上げます。今週の 4/7(木)には、Dusan Bogdanovic小沼ようすけさんとの共演があるようです。私は残念ながら、仕事の関係で観に行けないのですが、機会と興味をお持ちの方は、是非ともSTB139に足を運んでみて下さいませ。(実は、Dusan Bogdanovic「Worlds」と小沼ようすけ「The Threee Primary Colors」は非常に気に入って、好んで聴いていたりします...悔しい(T T))


n.p. Dusan Bogdanovic「Worlds」