12/19(金) 猿・リンガム@大泉学園 in ”F”

12/19(金) 猿・リンガム@大泉学園 in "F" に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. 恋におちて - Fall In Love - (湯川れい子作詞・小林明子作曲、猿:鬼怒 ag、約6分)
02. うぐいすだにミュージックホール (山本正之作詞・作曲、猿:鬼怒 ag&vo、約6分)
03. The Sound of Silence ( By Paul Simon、猿:鬼怒 ag、約6分)
04. 青い珊瑚礁三浦徳子作詞・小田裕一郎作曲、猿:鬼怒 ag&vo、約4分)
05. 即興 (鬼怒 eg & 八木 箏 duo、約12分)

約45分

2nd Set:
06. 仏は常に (山田流筝曲、リンガム、約10分)
07. 悲しい酒 (石本美由起作詞・古賀政男作曲、猿リンガム:鬼怒 eg、約7分)
08. 不思議の森の物語 (中村明一作詞・作曲、猿リンガム:鬼怒 eg、約6分)
09. Moonchild ( By Robert Fripp/Ian McDonald/Greg Lake/Michael Giles/Peter Sinfield、猿リンガム:鬼怒 eg、約6分)
10. 遠出 (リンガム作詞・作曲、リンガム、約8分)
11. 他人の関係 (有馬三恵子作詞・川口真作曲、猿リンガム:鬼怒 ag&vo、約4分)

Encore:
12. うぐいすだにミュージックホール (山本正之作詞・作曲、猿リンガム:鬼怒 ag&vo、約7分)

約64分

猿・リンガム Member:
三橋美香子(vo)
鬼怒無月(g,vo)
( ag: ガットギター、eg: Vanzandt Stratcaster Clear Blue )
八木美知依()



これは外せませんよね、三橋美香子さんと鬼怒無月さんの幻のデュオユニット”猿”と三橋美香子さんと八木美知依さんのデュオ”リンガム”のコラボレーションライヴ、猿・リンガム@大泉学園 in "F"!この7年ぶり2度目のコラボレーションライヴ、猿も聴きたかったし、リンガムも聴きたかった、そして流石三橋さん、キチンと心を汲んで準備して下さいました鬼怒無月八木美知依デュオ!その場に居合わせるだけでも幸福と思って足を運んだのですが、生み出された音楽が結果何より素晴らしかった!!

先ずは猿が先発、鬼怒さんの即興を織り交ぜた伴奏と三橋さんの先鋭的な独自解釈ヴォーカルによる「恋におちて - Fall In Love -」、原曲のメロディーの美しさはそのままに、斬新な切り口と先鋭的なフレーバーを纏って演奏される「恋におちて - Fall In Love -」、このお二人にかかると、ゴールデンヒット的歌謡曲も新たな息吹きを吹き込まれ、新鮮に生まれ変わる、お見事!はっきり言って、この一曲で既に大満足でした。

続いて、鬼怒さんのガットギターによる超絶技巧的即興演奏とナレーションから導入する「うぐいすだにミュージックホール」、オリジナルナレーション@笑福亭鶴光を彷彿とさせる卑猥で下世話なナレーションが、鬼怒さんの口からクールに出てくることにも驚きですが、その即興演奏をしながら弾き語りますかっ!に何より驚かされます。日比谷カタンさんのそれは、実は鬼怒さんの方がずっと先にそのスタイルを確立していらっしゃったのだと改めて驚愕させていただきました。三橋さんのヴォーカルも加わり、何なのこのぶっ飛んだ音楽世界はっ!音資料は YouTube だったそうで、三橋さんの御自宅で YouTube の音資料を元にリハやったそうですが、三橋さんによると鬼怒さんが関連映像の方に走ってしまって困ったとか。

ガラッと雰囲気がまた変わって、何とサイモン&ガーファンクル!「The Sound of Silence」、三橋さんのハイトーンが凛として美しく、鬼怒さんのフレージングがまた見事に楽想を象徴しています!

そして猿パートの締め括りは、猿のアルバム「女ミコシ」にも収録されている「青い珊瑚礁」!鬼怒さん曰く「この曲って、ギター難しいんだよなぁ」って思いっきり勝手に難しくして弾いているのは貴方様でございます!「声出るかしら、この当時の聖子ちゃんは凄いですね」の三橋さんに「そうなんだよね、結構松田聖子って凄いよね」と鬼怒さん、いえいえ、この超絶アレンジでやっている貴方様方が、トンでもなく凄いです!

1st Set の最後には嬉しい久々の鬼怒無月八木美知依デュオ!御二人の即興演奏、ホント大好きです。個人的には即興だろうが曲だろうが、聴いて良かったら良い音楽だし、悪かったら悪い音楽、以外の観点を持ち合わせていない為、通常は即興演奏と聞くと足を運ぶ気が萎えるのですが、このデュオにおいては曲をあまりやって欲しくないとさえ思える程に、美しく、物悲しく、壮麗で、艶やかで、新鮮で、先鋭的な音楽が瞬間の中に生み出されます。鬼怒さんのライトハンドとスウィープを組み合わせた超高速即興フレージングが駆け抜け、同時に八木さんの怒涛の漣箏フレージングとボーイングによる超高速即興フレージングが交錯する空間には、美しき演奏風景が先に観客の目に辿り着き、音が後からやってくるとさえ思えます。余りの一瞬毎の情報量に受け止めた後感動が爆発するまでに時間がかかる凄まじい即興演奏でした。

2nd Set はリンガムスタート、先ずは八木さんの流派である生田流とは異なる山田流筝曲「仏は常に」から、古き善き日本の艶やかで風流な世界が、御二人の先鋭的な感性で斬新に描かれる。演奏後、八木さんの説明があり、箏が江戸時代に磨かれた時に、主に三味線と合わせることで演奏技術的に発達した生田流と主に唄の伴奏として唄わせ方が発達した山田流という流派の違いがあるとのこと、なるほどと納得させていただきました。

そしてここからは鬼怒さんが加わり、猿とリンガムの合体ユニット”猿リンガム”にて演奏を行います。先ずは猿の「女ミコシ」にも収録されている「悲しい酒」、三橋さんのどっしりと力強い幹を有しているかのようなヴォーカルが、鬼怒さんと八木さんの厳かで荘重な伴奏を得て見事に空間に映える。

「不思議の森の物語」はリンガムの持ち曲らしく、これを猿リンガムで。幻想的な世界の描き方がまた秀逸。

そして、何とキングクリムゾンの「Moonchild」を猿リンガムで。プログレを超えたハイパープログレが炸裂っ!!猿リンガムは、プログレ的世界観の遥か先に存在していることを改めて認識させていただきました。

「遠出」はリンガムのオリジナル曲とのこと、これを猿リンガムで。これまた幻想的な世界が美しく描かれていました。

本編最後は、猿の「女ミコシ」収録の「他人の関係」を猿リンガムで。猿リンガム、サイコーっ!!

アンコールに応えて下さり、八木さんの提案でもう一度「うぐいすだにミュージックホール」を、今度は猿リンガムで!


魅惑のコラボレーションライヴ、心より堪能させていただきました!次回はまた7年後と仰らず、是非とも間を置かずに再現していただきたいところですが、先ずはこの素晴らしき歴史的ライヴに立ち会えたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。



n.p. 八木美知依Seventeen