10/22(日) KIKI BAND@青山月見ル君想フ

10/22(日) KIKI BAND@青山月見ル君想フ に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. Squirrelly Dragon (梅津和時作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約8分)
02. Monkey Mash (鬼怒無月作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約4分)
03. Dowser (早川岳晴作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約9分)
04. ンゴメコンベ 〜 Joe dr solo 〜 ンゴメコンベ (梅津和時作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約10分)
05. Flying Head - 空飛ぶ首 - (早川岳晴作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約7分)

約40分

2nd Set:
06. Viva Chuo-Line Jazz - ビバ中央線ジャズ - (鬼怒無月作曲、梅津 as、鬼怒 Les Paul、約6分)
07. The biginning was failed - 発端は破綻 - (梅津和時作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約10分)
08. Dressler#36 (早川岳晴作曲、梅津 sn、鬼怒 Strat、約8分)
09. A fort of Zanzibal (梅津和時作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約7分)

Encore:
10. Vietnamese Gospel (梅津和時作曲、梅津 as、鬼怒 Strat、約9分)
11. Fucking Ada ( By Ian Dury/John Turnbull、梅津 as、鬼怒 Strat、約5分)

約60分

梅津和時KIKI BAND Member:
梅津和時(as,sn)
早川岳晴(b)
鬼怒無月(g)
Joe Trump(dr)


KIKI BAND の今年2回目のツアー3日目、勿論足を運びました。オレゴン州ポートランド在住の Joe Trump が参加した新生 KIKI BAND は、どうしてもライヴの頻度が落ち、タイトなスケジュールとなってしまう為、元々素晴らしく価値あるライヴであったのが、更にその一回一回の価値を高めている状況、今回ツアー中1回となる本東京公演は是が非でも外せないところ、期待を裏切らない真の、魂のプロフェッショナル集団、KIKI BAND はモノの見事に期待を超える、男臭い、タフで、聴く者の魂を揺さ振り、心に炎を宿す熱い最新最高のライヴを体験させて下さいました。

メンバー一人一人が、一音でその生き様、在り方を語ることが出来る各楽器の巨匠揃い、メンバーの皆さんの物理的な背は決して高くは無いどころか低い筈なのに、一旦ステージで音を奏でるや、その音の存在感で巨人と化すツワモノ揃い、そんなツワモノが相乗効果を持って織り成す骨太な魂の音楽、それはライヴの幕を開ける1曲目の「Squirrelly Dragon」の頭の全員の一音で全てが理解できました。

何といっても、鬼怒さんのストラトの音が強烈に良い!一音でシビレます、太いんですよ、骨太でしっかりとストラトのアクが効いていて、この一音以外何も要らない、ずっと聴いていたい至高のギターサウンド、それが溢れるように、洪水の如く豊かな歌心と音楽性を伴なって奏でられるとき、究極の鬼怒ワールドが爆発する!鬼怒さんもその辺の意識は強く持っていらっしゃるようで、見事にシンプルなエフェクト、明らかに早川さんの方が多かった!このストラトの生鳴りの素晴らしさをじっくりと観客の皆さんに堪能して欲しいというお気持ちが現れているかのようでした。とは言え、この曲だけは Les Paul でやっぱり弾いて欲しいと思っていた「ビバ中央線ジャズ」はしっかり Les Paul +ボトルネックにての狂気の爆烈疾走ギター、これまた心の中でガッツポーズ!やはり、鬼怒さんのギターサウンドに対する”想い”の強さは史上最強、勿論、その結果は、頭の一音から、アンコールの「Fucking Ada」でフェイドアウトさせるところまで徹頭徹尾貫かれていました。

そして、Joe Trump、凄く凝ってます、彼のセット。左手にある小さいスプラッシュ、中央のカウベルとその上部の重ねプレート、そしてその上に一際高く配置された重ねシンバル、オープンハンドセッティングチューニングもタイト過ぎず、ルーズ過ぎず、彼の持ち味であるとてもオープンハンドとは思えない強靭な(スナップではなく)腕全体での重量感のあるショットを活かす絶妙のチューニング、相変わらずバスも一撃必殺、John Bonham のパワフルさと Vinnie Colaiuta の bpm 単位での出し入れが可能な超絶テクニックが同時に一人の身体に存在している、このドラムは強烈過ぎです!

リーダー、梅津さんのアルトサックスも相変わらず素晴らしいですね、魂の篭った心の咆哮が気合と共にアルトサックスを介して飛び出してくる。このサウンドの迫力、テクニック、情感、どれを取っても他の追随を許さない唯一無二の梅津サウンド、「Dressler#36」のみソプラニーノを使用し、その他の曲は全てアルト一本による潔い演奏、もう風格が違いますね、突き抜けています、梅津さん!!そして梅津さんの書かれるオリジナル曲も素晴らしい傑作曲ばかり、特にバラードの味わいは格別、本日の「発端は破綻」「Vietnamese Gospel」、聴いていて、溢れ出る涙が止まりませんでした。

そして、お待たせしました! KIKI BAND と言えば早川さん!と言うぐらい板についている、比類無き豪腕ベーシスト早川岳晴さん、暴力的なまでの横殴り轟音ベースは普通なら完全に浮いてしまうところ、ところが KIKI BAND では完全にバンドサウンドとして一体化し、そのバンドサウンドの強烈なフックと味わいに欠かすことの出来ないものとなっていますね。本日演奏して下さった早川さんのオリジナル”傑作”曲「Flying Head - 空飛ぶ首 - 」、'96年の「HAYAKAWA」で衝撃を受け、'01年に KIKI 1st での取り上げで再び衝撃を受け、'06年この新生 KIKI BAND による本ライヴ演奏にて5年毎三度の衝撃を与えて下さった大傑作曲!梅津さんはこの曲の紹介を「早川君の傑作曲、だれが言ってるのか知りませんが」と仰ってましたが、私が言ってます!そして、会場でこの曲の演奏に触れて下さった全ての人が思っている筈です!

強烈な魂のグルーヴは最初から最後まで貫かれ、アンコールの2曲目、最後を飾る「Fucking Ada」にて4人全員の魂の大絶叫、凄まじく、神々しく、美しい演奏でした。素晴らしい KIKI BAND の演奏、また来年、より一層進化した形でお会いできることを楽しみに待ちたいと思います。


n.p. KIKI BAND「Dowser」