08/08(火) Sufoffo 解散ライヴ@大泉学園 in F

08/08(火) Sufoffo 解散ライヴ@大泉学園 in F に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
01. ラリる (林正樹作曲、約10分)
02. Do you know what it means to miss New Orleans ( By Louis Alter/Eddie DeLange、約10分)
03. The Summer Knows ( By Michael Legrand、約9分)
04. Thema of Sufoffo (鳥越啓介作曲、新曲:初演、約8分)

約53分

2nd Set:
05. 混乱 (鳥越啓介作曲、約9分)
06. Solar ( By Miles Davis、約10分)
07. Seven Stars ( By Russel Ferrante、約8分)
08. Sufoffo を忘れない (林正樹作曲、新曲:初演、約5分)

Encore:
09. Smile In A Wave ( By Miles Davis、約8分)

約55分

Sufoffo Member:
林正樹(pf)
鳥越啓介(cb)
田中栄二(dr)


林正樹(pf)、鳥越啓介(cb)、田中栄二(dr) と言う意外な組み合わせのトリオ、スフォッフォ(Sufoffo)が解散ライヴを行う、そんな寝耳に水の話を認識したのは、林正樹さんのオフィシャルスケジュールにて。実はお恥かしながら昨年の11月に初めてこの組み合わせを大泉学園 in F のスケジュールで見た際にも「あっ、Pot Heads のフロントを佐藤芳明さんから林正樹さんに変えたセッションやるんだ、でも林さんの綺麗な美しい音楽世界と鳥越さんと田中さんのリズム隊が合うとは思えないなぁ」なんて不遜な考えを抱きつつ、足を運ぶのを見送っていたのですが、また年が明けてもスケジュール表にこの組み合わせが出てきていたことから「へー、実は合うんだこの3人、機会見つけて聴きに行かなきゃ」と思いつつ半年が過ぎ、定期セッションではなく、”スフォッフォ”という名前のパーマネントなバンドで活動を進めることが分かった段階で「そりゃ、絶対行かなきゃ!」と思い始めた折も折、解散ライヴとのこと、そりゃ何をおいても聴きに行かなきゃと思うのが人情と言うもの、しっかり予約して、いざ行くぞと思ったら、何のことは無い集客効果を狙った偽装解散であることが分かりました@田中さんのブログ、思ったことは「本当の解散じゃなくて良かった〜!!」でして、何もそこまでしなくてもこのメンツならミーハーな田中ギャルと鳥越ギャルでそこそこ埋まるでしょうにと思っていたのですが、実際に足を運んでみて驚きました、お客さんが女性ばかりなのは予想通りなのですが、驚くほどに少ない「えっ、あのいつものギャルズは何処に?」状態、これはテコ入れのための偽装解散もしたくなるのが納得できますね。

で、結論から先に言いますと、演奏内容は素晴らしく良いですね。Pot Heads はライヴに足を運んでみても、音源となる 1st Album「ゆげ」を聴いてみても容易に理解できるように佐藤芳明さんのリーダーバンドなのですよね。佐藤さんが、その音楽キャリアの中で初めて佐藤さんのやりたいことがやりたいままに実現できる(た)のが Pot Heads な訳で、鳥越さんと田中さんが思うが侭に出来ているかというと、そんなことは無い訳ですが、Sufoffo では、かなりの部分、御二人のやりたい事が思いっきり出来ている印象です。想い起こせば、この若手最高峰リズム隊(そろそろ呼称も”中堅”に進みましょうよ)は、私的には Phat で初めて認識しました。Phat東芝 EMI からのメジャーデビュー前、沼直也さんが参加される以前にドラムを叩いていらっしゃったのが誰あろう田中栄二さんだった訳で、その時点からこの”若手最高峰リズム隊”は実現していたのですよね。ただ、ドラムが沼さんに変わった後も、当初 Phat のかなりの比重を締めていた”リズム隊”が、藤原さんのリーダーシップの拡大の中で徐々にその色のコントリビューションが少なく、小さくなっていき、程なく解散してしまったという悲しい過去を持っていますが、その最も色鮮やかに光り輝いていた”リズム隊”が、”天才(災?)”林正樹を得て、よりその本来持っていたポテンシャルを余すところなく放出し始めている、それがスフォッフォを初めて聴かせていただいた第一印象ですね。

実は私は変に生真面目で、キチッとしていないとその空間に身を置いているのが”嫌”な傾向が強くて、本日のスフォッフォのルーズでいい加減なスタンス(入り方何回間違えた?4回ですよ、4回!)と、デタラメ MC(いい加減な妄想的内容ばかり)は苦手なのですが、結果的にはその空気感の中から出てきた音楽が非常に高度なポテンシャルを保ちつつ楽しめる要素満載、素晴らしい限りでしたので、”音楽”以外の余計なことは一切忘れる程に心の底から楽しめました。やはり、この”若手最高峰リズム隊”は、ルーズな空気感の中を自分達の主体的に奏でる音でクールに埋めていく時、その本領を発揮するするのだと認識できましたし、その上で結果的に生み出された整合性の高いキッチリとしたリズムやグルーヴを、瞬時に崩しにかかる林さんによって、意味不明、解析不能な展開を辿って、益々リズムやグルーヴが磨かれて行くと言う相乗効果が大きく生まれてきますし、林さんにとっても崩すそばから強力に立ち直ってくる崩し甲斐のある超強力リズム隊はまさに望んでいたところ、かくして生まれるスタンダードなピアノトリオ編成のフォームを持ちつつも、180度方向性の違う先鋭的なアバンギャルドジャズ、今後が益々楽しみなスフォッフォですね。

この素晴らしい音楽の可能性を早くから見抜き、地道で定期的なサポートにてスフォッフォのライヴを通して、次代のシーンを担う素晴らしい若手(既に中堅?)を育てて下さっている in F のマスターには、改めて頭が下がります。やはり、素晴らしき”音楽”というものは一朝一夕にポンと出てくるものじゃなく、長い時間をかけて、温かい眼差しで、じっくり育てることによって初めて花が開くものなのだと実感できました。このスフォッフォのメンバーの皆様は勿論のこと、なかなか集客が厳しい音楽でも、大切に、じっくりと育てて下さっている in F マスターと厨房を担うユカさんに、改めて限りない感謝を捧げます、ありがとうございます。これもまた一つのトーキョーミュージックシーンですね。

本物の鳥越啓介ファン、田中栄二ファン、林正樹ファン、そして、ジャズと言うフォームにはまだまだ先鋭的な未来があると信じる真の音楽ファンに、是非とも体感・体験していただきたい素晴らしい音楽です、興味と機会をお持ちの方は是非とも次回のスフォッフォのライヴ(再結成ライヴ?、レコ発ライヴ?、大物ゲスト参加ライヴ?)に足をお運び下さいませ。



n.p. Phat「色(shiki)」