10/31(月) 八木・鬼怒デュオ@大泉学園 inF

10/31(月) 八木・鬼怒デュオ@大泉学園 inF に行って来ました。セットは以下、

1st Set:
1. 即興1 (約31分)
2. 即興2 (約13分)

約46分

2nd Set:
3. 即興3 (約36分)
4. 即興4 (約6分)
5. 即興5 (約7分)

約57分

八木美知依(十七絃箏)
鬼怒無月(gt)


ソロ作品としては3枚目となる「SEVENTEEN」を先月10月8日に発売し、各種メディアを賑わしている八木さんと、相性抜群の鬼怒さんとの久々のデュオ、お恥かしながらまだ「SVENTEEN」を未入手であったこともあって(当然、inF につき、落ち着くなり開演前に購入させていただきました)足を運んだところ、異世界へと誘う夢幻の音世界が構築されていました。勿論、全編即興演奏ではあったのですが、其処彼処に「SVENTEEN」からの様々なモチーフを取り入れて(と言うか、八木さん的には新曲を演奏したのでしょう、恐らく)様々なアプローチと手法で音を紡ぐ八木さんの箏、時に支え、時にリードし、そして時に対峙する鬼怒さんのギター(本日は12弦セミアコも準備してらして1部2曲目に使用しようとされたのですが、機材の調子が悪かったようで結局 Vanzandt の水色の Stratcaster モデル1本で通していらっしゃいました)、御二人の音世界は、途轍もなくアバンギャルドな音響空間を構築するかと思うと、King Crimson 的メタリックさを有したプログレッシヴ・ロックにもなり、艶やかなる雅楽の響きを感じさせるたおやかな音空間、そして、箏を交えての土臭いデルタブルース、プリミティヴなネイティヴ・アメリカンの優しく乾いた力強い響き、様々に交錯しつつ奏でられる色鮮やかに移り行く夢幻の音世界、本当にこの御二人の音の相性は抜群でデュオでの活動機会を是非とも増やしていただきたいですね、ちなみに、

即興1は、前半八木さん主体、鬼怒さんサポートカッティング+高速パッセージを絡め、アバンギャルドな展開、八木さん俯き加減に鬼のような掻き毟りフレーズをかませ、途中から Deley を思いっきりかけ、Bow で音を重ね、鬼怒さんはそれに合わせ、タッピング主体でサポート、八木さん更に柱を大胆(ダイナミック)に動かしつつ、Bow とカッティングを合わせ、かつ柱を挟んだ逆サイドを思い切りよくプルするわ、柱の反対側を押してベンドさせ捲くるわ、スティックを取り出して擦り付けるわ、スティック2本使って叩きまくるわのハイパー・アバンギャルドなアプローチ、鬼怒さん少しも慌てずワウかけて音を添えたり、ヴォリューム奏法で空間的に音を広げたりの見事なサポート、後半は八木さんが「SEVENTEEN」収録の「ROUGE」のフレーズを用いて暗黒シーケンシャルに展開をつくり、鬼怒さんが高速パッセージで動きまくって、King Crimson の「太陽と旋律パート2」や「レッド」を彷彿とさせる音像にて進行しつつ演奏をまとめる。

即興2は、鬼怒さんがスライドバーを用いてスティール風フレージングで演奏をスタートさせ、八木さんが今度はカッティングでサポートする形、途中、八木さんの見事なハーモニクス展開と絶妙ミュートが鬼怒さんのパッセージと美しいコントラストを織り成し、優しく乾いた音像をみせ、アーシーでネイティヴ・アメリカンな雰囲気を漂わせる原初的響きで、見えてくる風景も荒野を感じさせる素晴らしい演奏でまとめる。

2部に移って、即興3は、再び八木さんが荒々しくアバンギャルドに展開をリードする。余りの激しい絃へのアタックにどんどん柱が倒れてゆくが、一切構わずたたき付けるように、掻き毟るように、そして狂ったように Bow とスティックを交えながら音を織り成していく、鬼怒さんもその一つ一つの音のアプローチを支え、受け止め、寄り添うように様々にギターフレーズを重ねていく凄まじい展開、突然嵐が去ったように激しさがなりを潜め、鬼怒さんの優しいヴォリューム奏法によるギターだけが漂う空間、その間を利用した八木さんが柱を一つ一つ元に戻し、微かな音を響かせチューニングも同時に行う、そして再び八木さんが紡ぎ出す音は、この世の音とは思えない神秘の響きを有し、その響きに絶妙に合うクリアトーンに変えた鬼怒さんのギターと無上の美しさを見せて絡み合って進行してゆく、ここぞと見た鬼怒さんがクリアトーンによるレガートフレーズによるパッセージを流麗に響かせ、八木さんがジャパネスクフレーバーをたっぷり効かせた神秘の箏フレーズで合わせる、余りの音像の美しさに思わず涙が頬を伝ってしまいました。この音楽の前には平伏す以外の対応を私は持っていません。

即興4は、行き成り鬼怒さんがスライドバーを用いてデルタブルース然とした演奏を始め、そのまま進行させていきます、八木さんはここでは完全にサポートに周り、鬼怒さんの今にもヴォーカルが飛び出さんばかりのブルースサウンドに絶妙なカッティングを絡め、そのまま変化無く曲を纏め上げます。


また、時間見つけて更新します。


n.p. 八木美知依SEVENTEEN